亀梨和也さん主演「正義の天秤」放送終了直後に公開する、制作統括・真鍋斎さんが明かす“今だから言えるネタバレ注意のアフタートーク”の最終回!
TVガイドWebでは、予習編を放送前に公開。みんなドラマでも復習して、より深く「正義の天秤」を楽しみましょう。
――なんというか、圧巻の最終回でした…。何と言っても、南野一翔を演じた千葉雄大さんがすごかったです! まずは、千葉さんの起用理由を教えてください!
「千葉さんの新たな一面を見たいという思いもありましたし、きっとそういう一面があるだろうなという気がしていたんです。NHKでは『いいね!光源氏くん』(NHK総合)で主役をされていましたし、演技経験が豊富でキャリアもある方なので…。極悪で凶悪な本当に救いようがない南野を千葉さんに演じてもらうにあたっては、ピンときたとしか言いようがないですね。南野は長い間捕まらなかった人物で、そういう人物は一見、犯罪者っぽくないのかなと。そうした意味でも、一見虫も殺さないような千葉さんに演じてもらうのは面白いんじゃないかと思ってお願いしました」
――千葉さんご本人とは、どんなお話をされたのでしょうか?
「千葉さんには『南野はうそのない人間なんだ』ということを話しました。ある意味では自分の損得や欲望に対して素直なんです。“うそがない”と聞くと道徳的に“善”という感じがしますが、決してそうではありません。人を殺しても平気というのは、普通の人にない感覚なので、その辺のことをいろいろ話し合いました。千葉さんはそれを自分の中で咀嚼(そしゃく)して、見事に演じてくださいました」
――実際にお芝居をご覧になっていかがでしたか?
「すばらしかったです! 難しい役だと思っていたのですが、想像を超えていました。案ずるより産むがやすしで、さすがプロの役者さんは違うなと感心しました」
――亀梨さんと千葉さんは今回が初共演でしたが、お二人の様子はいかがでしたか?
「お互いに非常に真面目にお芝居に取り組んでいらっしゃいました。法廷シーンだけでなく、鷹野(亀梨和也)と芽依(奈緒)と南野3人だけのすごく長い接見室のシーンもあったのですが、亀梨さんと千葉さんは、お互いに奈緒さんと過去に共演したことがあったらしく、撮影を待っている間は和気あいあいとした様子でした」
――接見といえば、南野が急に泣き出すシーンがありましたよね! あれは南野の計算だったのでしょうか?
「南野は計算して泣いているわけではないんです。そこがさっき言った“うそのない人”ということで。本気でそう思っていて涙を流しているんです。一般の人から見たら感情の起伏が激しい人と思われるかもしれないけれども、彼にとってはそれが自然なことなのだと思います。」
――そうなんですね。そこがさらに狂気を感じる部分ですね。ちなみに、接見室の場面は長いシーンだったとのことですが、どのように撮影されたのでしょうか?
「何回かブロックに分けて撮影しました。基本的には同じ方向で長く回しています。というのも、接見室はすごく狭いので、切り返しで撮影ができないんですよ。例えば千葉さんが写っているシーンを連続で撮影していって、その後、亀梨さんたちが写っているシーンを連続撮影していくという感じで進めていったんです」
――そんなふうに撮影されていたんですね! その後、鷹野が事務所を辞めてなお、南野を死刑にするか無期懲役にするかで悩み、揺れ動く展開でした。このあたりの意図を教えてください。
「これは、ミステリードラマとしてのある種のミスリードを狙っていました。視聴者の皆さんには、鷹野がどう決断してゆくのかはっきりとは分からないけど、どちらかというと死刑にするんじゃないかという方向に思ってもらいたかったんです」
――鷹野はどっちにするんだろうとドキドキしちゃいました。その後、法廷で弁護士バッジを外していた鷹野が再びバッジを付けて、南野を弁護する。このクライマックスの場面を撮影するにあたっては、亀梨さんと何かコミュニケーションをとられたのでしょうか?
「そこは台本に沿ってしっかりと演じてくださいました。ここまで来るともう亀梨さん自身が鷹野になっているので、多くを相談することはありませんでした」
――演出のことを少し伺いたいのですが、第1、2回は片岡(敬司)監督が、第3、4、5回は二宮(崇)監督が演出されていましたが、二宮監督のアイデアで実現したことはありましたか?
「タイトルバックを作ったのは二宮です。今回のこのドラマに合うように意識して、洗練されたスタイリッシュなオープニングを演出してくれました」
――鷹野がスーバーボールを真上に投げながら事務所に入っていくオープニングですよね! あれは二宮監督の演出だったんですね! では、片岡監督と二宮監督の演出の違いなどはあったのでしょうか?
「違いはそんなにないと思いますよ。第1、2話で片岡が敷いたベースを、キャラクターを含めて二宮が踏襲して進めていました」
――話は変わりますが、最終回で鷹野とキャッチボールをしたのは、恋人の雨宮久美子(大島優子)でしたね! 久美子と過去にしたキャッチボールを思い出すとは「ずるい!」と思いました(笑)。そして、一ノ瀬とキャッチボール…なんて言っていた自分が恥ずかしいです!
「久美子でしたね(笑)。あの日は天気がすごく良かったんだけど、ものすごく暑い上に風も結構強くて、環境としてはなかなか大変だったんです。でも大変だったことが分からない素敵なシーンに仕上がりました。鷹野と久美子のシーンは、穏やかな方が合っているので」
――ラストでは、久美子がほほえむシーンに明るい未来が見えるようでしたね。
「あのシーンも、とても素晴らしいシーンになりました」
――ドラマは最終回を迎えましたが、それぞれ“ルーム1”の皆さんのクランクアップの様子はいかがでしたか?
「クランクアップは“ルーム1”で一斉に終わりではなくて、皆さんバラバラだったんです。最初に北山(宏光)さんと佐戸井(けん太)さん、次に奈緒さん、その後に大政(絢)さん、ラストに亀梨さんという順番でクランクアップされました。皆さんには、非常にいい現場だったと楽しんでいただけたようで、ぜひまた集まりたいよねと。今回、出演者の皆さんとも『これ、続編できるよね』とずっと話していたので、視聴者の皆さんにもぜひ盛り上げていただきたいです」
――私も続編が見たいです! 気になる続編はいつ放送されるのでしょうか?
「これは本当に僕も良く分からないです(笑)。僕はもちろん続編を希望しているんですが…」
――来年くらいでしょうか?
「来年はちょっと早いかなあ?(笑)」
――映画化希望の声もありますよね?
「そういう声も頂いていますね。僕は、皆さんからお寄せいただいたご意見の数々や客観的な数字を武器にして『続編をやりましょうよ』とNHK内で訴えていきたいと思います(笑)」
――では、第2弾や映画化、特別編などが実現するために、ファンのみなさんや「TVガイドみんなドラマ」ができることって何かありますか?
「それはもう続編希望の声を上げていただくことですね! NHKのWEBサイトにある掲示板や、皆さんのSNSなどに、ぜひ書きまくっていただけると…(笑)。続きが見られるかもしれません」
――最後にドラマに関しての印象や思い出深いシーンを教えてください!
「最後の法廷のシーンやラストシーンは、このドラマをやってきたことの集大成だったと思います。自分で言うのもなんですが、いろんな意味で良くできたドラマになったかなと思います。このドラマを毎週ご視聴いただいた皆さん、本当にありがとうございました!」
――お忙しい中、毎回快く答えていただきましてありがとうございました! 5回で終わるのが寂しくて仕方ないので、ぜひ続編を熱望しております!!
これで5回にわたってお送りしてまいりました「正義の天秤」アフタートークも終了いたします。最後までお付き合いくださった皆様、誠にありがとうございます。
■Profile
真鍋斎(まなべ いつき)
1991年、NHK入局。これまで大河ドラマ「龍馬伝」(NHK総合ほか)や「立花登青春手控え」(NHK BSプレミアム)で演出を手掛けたほか、「大岡越前」(NHK BSプレミアム)や連続テレビ小説「まんぷく」(NHK総合ほか)で制作統括を担当。現在は、土曜ドラマ「正義の天秤」の制作統括を務めている。
「正義の天秤」放送情報
NHK総合
毎週土曜 午後9:00~