【推しメン】萩原利久―ドラマで見せる変幻自在の表情

2022/04/21 05:05

連続テレビ小説「エール」(2020年/NHK)、「美しい彼」(21年/MBS)などで話題の俳優・萩原利久さん。若手随一の演技派、萩原さんを猛烈にプッシュ!

「美しい彼」での平良のまなざしと尊さ

ラジオやインタビューでの話しぶりから察するに、明るい印象の萩原さん。しかし、少し陰のある青年を演じさせたらピカイチ! ひとたび役に入ると、憂いを帯びた表情やアンニュイなしぐさがとても魅力的。「天才か…」とつぶやきたくなるほどの陰キャぶりを見せてくれるのです。
 
そんな萩原さんの陰キャの集大成とも言えるような役、それはFANTASTICSの八木勇征さんとW主演を務めたドラマ『美しい彼』で演じた、平良一成(ひらかずなり)ではないでしょうか。

平良は「吃音症」で言葉が上手く出せず、まわりとうまく馴染めない高校3年生。八木さん演じる、スクールカーストトップの人気者・清居奏(きよい・そう)に対して、狂おしいほどの思いを抱きます。その思いをもてあます姿に、ドキドキさせられっぱなしでした。平良の赤裸々なモノローグとともに物語は進んでいくのですが、なかなか行動に移せない実際の平良とのギャップがたまりません。原作ファンも納得の全6回は本当にあっという間で、“ひらきよロス”に陥る人が続出! 私も例にもれず、本編を配信で見返したり、萩原さんと八木さんのSNSをパトロールしたりと、平良と清居の残り香をたどる旅に出ていました。

第1回は新学期に平良が清居と出会ったシーンからスタートするので、新学期が始まったばかりの春はリピートチャンスです!

続いては、放送中のドラマ『探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~』。このドラマは、滝藤賢一さん演じる“早すぎる探偵”千曲川光が犯人のトリックを解明し、事件が起こる前に防いでしまう、前代未聞の探偵ドラマ。萩原さんは、美津山財閥の会長・美津山秋菜(宮崎美子)の孫・美津山宗介を演じています。

第1回では、広瀬アリスさん演じる十川一華が転んだ拍子に宗介を押し倒し、お互いにドキッとするというラブな展開が! しかし宗介は、倒れたときにボタンが取れたから弁償してほしいと言い出すクールキャラ……。「クールな性格で無愛想。コミュニケーションも下手だが、愛情表現がそれ以上に下手である」という、番組公式HPの役柄紹介を読んだときから期待はしていましたが、なかなかの陰キャぶりを発揮してくれそうです。

美津山家の遺産相続をめぐって、どんなドラマが展開されるのか⁉  宗介はなぜそんなに無愛想なのか⁉ ラブな展開はあるのか⁉ 第2回以降も大注目です!

まだまだあります! 萩原さんを語る上で外せないのが、同じ事務所の先輩である菅田将暉さんが教師役を演じて話題になった、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(19年/日本テレビ)。萩原さん自身も、この作品をきっかけに街で声をかけられる回数が増え、知名度が上がったことを実感したとか。
  
同作で萩原さんが演じたのは、菅田さん演じる柊一颯(ひいらぎ・いぶき)が起こした人質事件の内通者で、成績優秀で頭脳明晰な生徒・逢沢弘樹(あいざわ・ひろき)。上白石萌歌さんが演じた水泳部のエース・景山澪奈(かげやま・れいな)のドキュメンタリーを制作していた逢沢は、クラスで目立つ存在ではないものの、第5回で内通者であることがわかり、物語を動かす一人として圧倒的な存在感を放ちました。なお、『3年A組』で水泳部のイケメンマネジャー・真壁翔(まかべ・かける)役を演じていたのは、神尾楓珠さん。神尾さんと萩原さんは親友で、ファンの間では“ふじゅりく”と呼ばれ、尊ばれています。このドラマには、ほかも豪華な俳優さんたちが生徒役として出演しているので、配信中のHuluでぜひチェックしてみてください!
  

  
そんな“ふじゅりく”の共演、さらには怒涛のキスシーンの嵐で話題になったドラマ『鈍色の箱の中で』(20年/テレビ朝日)も印象的でした。このドラマで萩原さんが演じたのは、久保田紗友さん演じる桜井美羽から想いを寄せられるも、全く気づかない高校2年生、辻内基秋(つじうち・もとあき)。この基秋がとにかく鈍感! ずっと寄り添ってくれた美羽の恋心に気づかないばかりか、幼い頃に出会ったキレイなお姉さんに人知れず恋をしているため、振り向いてもくれないのです。鈍感な上に、優柔不断というじれったさ。でも、それがまたイイ! 見ていて少しイラッとするところが、萩原さんの魅力をより一層引き立てます。

基秋は美術部に所属していて、『3年A組』の逢沢は美術部と映画研究会、『美しい彼』の平良は写真サークル所属でした。萩原さんご本人はバスケットボール大好きなスポーツマン、でもアート系の文化部がよく似合う犬顔男子……好きが加速します!“ふじゅりく”のキスシーンが見られるのはこのドラマだけですよ(秘)。
  
一方、『電影少女-VIDEO GIRL MAI 2019-』(19年/テレビ東京)でドラマ初主演を果たした萩原さんが演じた叶野健人は、これまで紹介してきた役柄とはまた違った陰キャです。お金はあるけれど、両親からの愛情を感じられずに成長し、孤独に慣れてしまっていた健人。ひょんなことから発見したビデオテープを再生すると、健人に元気になってもらうために、手段を選ばずに望みを叶えてくれるビデオガール・神尾マイが現れて……というストーリー。これまでマイを手にした人たちは、欲望のままにマイを利用するのに対し、健人は最初に「望みなんてない」と言い放ちます。さらりと言ったセリフに健人の虚無を感じ、マイとの奇妙な関係によって満たされていく様を見事に表現していました。

マイ役の山本美月さん、健人が思いを寄せる人気モデルの同級生・朝川由那役の武田玲奈さんのみずみずしさとともにお楽しみください!

そんな萩原さんは、現在23歳。9歳から子役としてスタートし、実はすでに14年のキャリアの持ち主。『めちゃ×2イケてるッ!』の「オカレモンJr.」のメンバーで、岡村隆史さんから「目立ってないやつ」と呼ばれていたというのは有名なエピソードです。その後、バラエティーからドラマに活動の場を移し、今や演技派と呼ばれるほどに成長した萩原さん。「小島よしおさんに会いたい」という、ザ・小学生な理由で芸能界を目指した息子さんの気持ちを尊重してくださった、萩原さんのご両親にも多大なる感謝を述べたいです。ご両親の影響なのか、ファンクラブに入るほど玉置浩二さんの大ファンという、意外な一面もたまりません。

今回は陰キャ大特集のようなコラムになってしまいましたが、自然な演技で幅広い役柄を演じられる萩原さんは、『探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~』でも新たな一面を見せてくれるはず。4月クールは「春のトリック返し祭り」と同時に、「春の利久祭り」を楽しましょう!
  
  
  


■Profile
萩原利久(はぎわら・りく)

1999年2月28日生まれ、埼玉県出身。2008年に子役としてデビュー。バラエティー番組に出演したのち活躍の場を広げ、映画『イノセント15』(2016年)で初主演。ドラマ『3年A組 -今からみなさんは人質です-』(2019年、日本テレビ)で話題となり、『電影少女-VIDEO GIRL MAI 2019-』(2019年、テレビ東京)でドラマ初主演。その後、NHK連続テレビ小説『エール』(2020年)、『美しい彼』(2021年、毎日放送)など話題作に出演。公式Instagram

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文/石本真樹