【瓔珞】を語る 第5章【尻キック王、乾隆帝】

2022/01/25 00:12

終盤を迎える中国ドラマ「瓔珞」(BS11 イレブン)のキャラクター7人を厳選して紹介(ツッコミ!?)するコラムの第5回。今回は、ちょっと(!?)短期な乾隆帝が登場。

第5章 瓔珞にゾッコン!? 尻キック王
…愛新覚羅弘暦/乾隆帝(アイシンギョロこうれき/演:ニエ・ユエン)

“濃ゆい”キャラクターたちを紹介してきたこの企画、さすがにこの方を避けては通れない、しかしなんとも評価が難しい。皇帝ラブな方っていますか~? 清朝第6代皇帝、乾隆帝こと愛新覚羅弘暦くん!

仕事はデキる(というか、いつも夜中まで仕事=サービス残業?)、愛妻家(だけど側室もたんまりいる)、質実剛健で毒舌、歯に衣着せぬ物言いが痛快(しかしデリカシーはない)…プラスの分だけマイナスもある男、それが乾隆帝。せっかちで短気、いつもズカズカと皇后や妃嬪の住まいへやって来るので、お付きの準備が間に合わない。時々、癇癪(かんしゃく)を起して茶碗を投げたりもする(モノは大切に扱いましょう…)。よく瓔珞にキレて、頭に血管が浮いているよね…。そんな彼の得意技は、尻キックで、お付きの太監・李玉は、お約束のように尻を蹴られている。瓔珞に無礼な振る舞いをした女官にも尻キックを食らわせていただけあり、足癖は悪そうだ。

現代で例えるなら、ちょっと偉いおじさん(乾隆帝)が、ラーメン屋で注文したチャーシュー麺がなかなか来なくて、つい店員に噛み付いちゃう。それを、綺麗で優しい奥さん(皇后)に「すみません、うちの主人は短気で…」なんてフォローされていそう。

皇后娘娘のことは大好きで、よくベタベタ甘えていたし、プレゼントも欠かさなかった。しかし、悪すぎる高妃の泣き落としにほだされたり、ブラック化した嫻妃や純妃の腹のうちには気づかなかったり…人は悪くないのだが、女を見る目はないような(暴)。

そして一見無敵でイケイケ、しかし実は、結構残念な乾隆帝の人生を狂わせたのが、瓔珞との出会い。もともと第一印象は最悪(乾隆帝自らが名前をつけた樹を、瓔珞が殴っているところに遭遇)、しかし、それこそロマンスのセオリー! 最悪の出会いから次第に惹かれ合っていくのがお約束だが、そこまでが激しかった。酔っぱらって瓔珞のデコを叩いたり、ほっぺたをつねったり。「不敵で性根が腐っている」「こんな人相の女子は嫁の貰い手が付かぬ」など言いたい放題。何度か瓔珞、乾隆帝の逆鱗に触れて命が危なかったし…(汗)。

自分のお気に入りの富察姉弟(皇后と傅恒)が肩入れする瓔珞を危険視、というか嫉妬だよね。「あいつはお前たちをたぶらかそうとしている」と言っては、皇后に「何を言っているの(笑)」と、取り合ってもらえない。頭の回転が速く、行動力があるところなどは、乾隆帝と瓔珞は似たもの同士なんだけどな~。「朕に敬意も興味も示さない瓔珞が気にくわん、しかし気になる!」というところから、遂には、瓔珞に転がされるように。天国の皇后は、笑って見ているだろうか…。

皇后を失い、後ろ盾を求めて皇太后に近づく瓔珞を心配し、自分の妃(貴人)にしてしまったのが運のツキ。瓔珞の色気にというよりは、好奇心をくすぐられ、毎日、延禧宮(瓔珞の住まい)に通うように。原題の「延禧攻略」ってそういう意味なのね! かつて瓔珞に皇后への思いを聞かれ、「皇帝が恋などできるか!」とこぼした乾隆帝は、ここで瓔珞に振り回され、「恋」を経験する…。

「コウラン伝 始皇帝の母」(’19年)でも、瓔珞役のウー・ジンイェンと恋人役を演じている乾隆帝役のニエ・ユエン。’78年生まれの彼は、貴州芸術学校の舞踊科を経て、名門・上海戯劇学院を卒業。’00年に時代劇でデビューし、「三国志 Three Kingdoms」(’10年)では人気キャラである趙雲、「皇后の記」(’19年)では清朝第2代皇帝・ホンタイジなど時代劇で大物を演じてきました。プライベートでは、’14年にお子様が誕生。注目の新作には、チェン・クン、バイ・ユー、アンジェラベイビーら豪華キャスト共演で三国時代を舞台とした、戦国ドラマ「風起隴西(原題)」など、大作には欠かせないお方でございます!

さて、瓔珞の手練手管にメロメロになった乾隆帝。とはいえ男女の仲というより、運動部の先輩と後輩みたいにも見える2人のじゃれあい、今後の関係はいかに? 彼の特技、尻キックや茶碗投げが復活せぬことを、李玉に代わって祈っておきます。

「瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~」放送情報

BS11 イレブン
毎週月▶金後3:29~

■DVD発売情報
瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~
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文/熊坂多恵