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TVガイドみんなドラマ編集部
2022.5.14
✒推しの作家さま#9 根本ノンジさん
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ドラマのハートに相当するのがドラマの作家さんです。編集部ではドラマ作家を日々ウオッチしている編集者・武内さんに、今旬で“推し”の作家さんを語っていただきます。ドラマに吹く“風”に潜む真実とは。また新しい発見がありますように!

推しの作家さま 第9回は「根本ノンジ」さん

   
 毎回、今注目の脚本家をご紹介している「推しの作家さま」。今回推すのは、現在NHK総合で放送中の山下智久さん主演「正直不動産」を執筆している根本ノンジさんです。

 脚本家としてのキャリアも長く、同時に放送作家としてバラエティーなども手掛け、マルチに活躍する根本ノンジさん(以前根本さんが手掛けた「SKE48のマジカルラジオ」が好きでよく見てました。当時のアイドル番組の中でダントツに面白かった)ですが、ここ数年の連続ドラマでの快進撃ぶりには目を見張るものがあります。2018年ころからほとんど切れ目なく登板し続けていると言ってもいいんじゃないでしょうか。特に「監察医 朝顔」では、端正なコミック原作を実写ドラマとして実に自然に転生させていて、その手腕には驚かされました。

 根本さんはコミック原作の「脚色」を手掛けることが多く、今やその第一人者といってもいいでしょう。原作がコミックであれ小説であれ、この「脚色」という技術は脚本家にとっての大きな資質です。「脚色」の出来不出来によって、作品の価値は大きく変わってしまいます。

 特に近年は人気コミックが実写化されるケースが多くなっているので、スタッフには原作の世界観を大事にしながら実写フォーマットに落とし込むことが常に求められます。批判を恐れるあまり、原作を忠実になぞっただけのような稚拙な作品もあったりしますが、そんな中、根本さんは実写化にあたっての再構成が非常に上手な作家です。この構成力が根本さんの最大の特徴であり、武器だといっていいでしょう。

 その個性が最大限に発揮されたのが、昨年夏に放送された「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」です。原作コミックの人気が高く、ドラマ化で作品のイメージが損なわれるのではと心配するファンもいたようですが、キャストの魅力を踏まえた大胆な構成で原作の面白さを連続ドラマとして見事に再構築。原作ファンのみならず、多くの視聴者を引きつけました。まさに“根本脚本”の面目躍如と言えます。

    
 その大胆な手腕は現在放送中の「正直不動産」でも十二分に発揮されています。なにより各キャラクターの造形が素晴らしく、山下さんをはじめとした各キャストの魅力や持ち味に合わせた性格付けの変更が実にさりげなく施されている。コミックの実写化では、このキャストに合わせたキャラクター設定が実は結構生命線なのですが、この作品はその点非常によく配慮されています。この部分はスタッフ全体のチーム力勝負でもありますが、やはり脚本家の力量が物を言います(主要人物についてはある程度当て書きできたとしても、さまざまな状況の変化に合わせられるライターの対応力が必須ですからね)。

 特に主人公・永瀬財地のキャラクターは相当練り上げられているでしょう。おそらく山下さんが演じることを念頭にかなり洗練されたイメージで描かれています。それでいて“風に吹かれる”たびに“正直営業”をお見舞いしてしまうギャップがおかしくて、ドラマ全体を貫くアクセントになっています。

 あんなに風に吹かれまくっているのにカッコ良さが全然変わらないなんて普通ありえないのに、山下さんだと納得させられちゃうというのが、まずすごい。そして、いつもクールな永瀬が、正直モードに入っている時だけ急に少年のように熱くなってる姿にもキュンときます。第6回では、信用を得るために工務店の手伝いを買って出て、ほっぺに泥をつけたままの寝顔まで披露して。そんなギャップ萌えシーンも「野ブタ。をプロデュース」や「5→9〜私が恋したお坊さん〜」で山下さんと同じ現場を経験して、彼の魅力がどこにあるかを知り尽くしている根本さんならではのテクニックかもしれません。

   
 そのほか原作では散発的に登場する数多くのキャラクターとエピソードも、福原遥さん、市原隼人さん、倉科カナさんなどのキャストに合わせて手際よく整理・集約され、プライムタイムの連続ドラマとして見事に成立させています。原作のメッセージや世界観を十分尊重しながらそれを実現しているのは、やはり経験のなせる技だろうと思います。

 そしてもうひとつ。この原作には不動産売買の“裏側”というか、買い手や借り手に隠しておきたい不動産業者の“真実”を知らせる情報コミックという側面があります。原作を読んでいると「よくもまあこんなに」というほど次々と手口(?)が紹介されているのですが、これをそのまま紹介してしまってはちょっと情報が多すぎる。根本さんはそうしたドラマの中での情報紹介の塩梅にも長けていて、結構複雑なお金や法律の話も会話の中でスッと理解できるように加減されています。構成作家としての経験が生きているのでしょうか、これまでも「サ道」シリーズや放送中の「しろめし修行僧」など、テレビ東京一連の深夜ドラマも手掛けていて、まさに「正直不動産」のドラマ化には適任だったと言えます。

   
 物語もここから終盤戦。永瀬が正直営業の可能性に目覚める一方で、登坂社長(草刈正雄)とミネルヴァ不動産・鵤社長(高橋克典)の全面対決が繰り広げられそうです。原作も連載中ですから、ドラマならではの(おそらくハートウォーミングな)結末が待っているのではないでしょうか。山下さんのかっこよさに目を奪われがちですが、この作品には嘘がつけなくなった永瀬の成長物語という一面もあります。果たして永瀬の言うように人は変わることができるのか。山下さん演じる永瀬の活躍を最後まで見守りましょう。

「正直不動産」NHK総合  毎週火曜日 後10:00~10:45

   
      
※文中作品
「監察医 朝顔」('19年・フジテレビ系)主演・上野樹里
「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」('21年・日本テレビ系)主演・戸田恵梨香、永野芽郁
「野ブタ。をプロデュース」('05年・日本テレビ系)主演・亀梨和也、山下智久
「5→9〜私が恋したお坊さん〜」('15年・フジテレビ系)主演・石原さとみ、山下智久
「サ道」('19年・テレビ東京系)主演・原田泰造
「しろめし修行僧」('22年・テレビ東京系)主演・岡部大(ハナコ)


文・武内朗
(TVガイド15代目編集長。毎年テレビ界を支える優秀な脚本家に贈られる賞・「向田邦子賞」運営に長く携わる。現在、TVガイドアーカイブチーム代表として書籍「テレビドラマオールタイムベスト100」、「プレイバックTVガイド」などを手掛ける。今回、ドラマファンの立場から脚本家の方々についておしゃべりをする趣向で当コラムを連載。)
  
  

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ドラマにまつわるコラムや、出演者・スタッフインタビューなど、ドラマをより楽しんでいただけるコンテンツを制作・掲載いたします!

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