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TVガイドみんなドラマ編集部
2022.1.9
🎤岸井ゆきの&高橋一生インタビュー後編「他者の存在が面倒なことに幸福を感じさせてくれる」-『恋せぬふたり』始まります!
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恋愛を前提としたコミュニケーションになじめない兒玉咲子(こだまさくこ)と、恋愛もセックスもしたくない高橋羽(たかはしさとる)が出会い、同居生活を送る様子を描く“ラブではないコメディー”「恋せぬふたり」。アロマンティック・アセクシュアル(※)のふたりを演じる岸井ゆきのさん、高橋一生さんのインタビュー後編では、咲子と羽の関係性や互いの存在など、目には見えない“心の距離”についてお話しを伺っていきます!

※アロマンティック…他者に恋愛感情を抱かない恋愛的指向。アセクシュアル…他者に性的に惹かれない性的指向。どちらの面でも他者に惹かれない人を、アロマンティック・アセクシュアルと呼ぶ。

咲子と羽、ふたりの間で関係性が成り立っていることが重要(岸井)

――前編では、“価値観”の面でおふたりが良いコンビだなと感じましたが、共演されての感想を教えてください!

高橋「(岸井さんは)お芝居を柔軟に受け取って、柔軟に返してくださるんです。繊細に扱うべきテーマでもあるので、撮影現場でその都度、相談させていただいてニュアンスを変える、ということがあったんです。けれど、そういった細かなニュアンスについて、あまり深くお伝えしなくてもお芝居で会話できる部分がたくさんあったので、非常に助けられました」

岸井「嬉しいです(笑)。台本に書かれている言葉をそのまま投げたとしたら、視聴者のみなさんだけでなく、私たちもうまく受け取れないんじゃないか、という部分がありまして…。そういう、気持ちやニュアンスの部分を(高橋)一生さんが変えてくださったりする姿を見て、『その場合、こういうふうに返すかもしれないですね』と私も相談させていただきました。私もすごく、本当に頼りにしてここまで来ることができました」

高橋「嬉しいです」

――ニュアンスをくみ取り合って演じられていたのですね! ちなみにおふたりは、咲子と羽の関係性をどのように捉えていますか?

高橋「人を“好きになること”と“恋をすること”は別、ということは当然のことだと思うのですが、これが同性だけでなく異性に対しても当てはまることについて、あらためて考えるきっかけになりました。 “異性を好きになる”と、触れ合うという肉体的な行動が存在するのが当然とされる一方で、あるセクシュアリティの方においては、それが難しいこともある。だからと言って、人を好きにならないのではない。こういう部分がとても繊細なので、その感覚やニュアンスを感じられたのは、貴重な体験だったなと思います」

岸井「咲子と羽さんは、恋愛には発展しないけど、家族になろうとします。恋をして付き合って、好きな人とあれしたい、これしたい、という感情はないけど、家族に愛されて育ってきたから、自分もそういう家族に憧れているのです。ふたりの間でその関係性が成り立っていることが重要だと感じていて…。どんなセクシュアリティであっても変わらない “ふたりの愛のかたち”を表現できたらいいなと思っています」

他者の存在が“ひとりだったら面倒でできなかったこと”に幸福を感じさせてくれる(高橋)

――ふたりの間で、気持ちの会話ができていることが大切ということですよね。お互いになくてはならない存在、ということでしょうか?

高橋「羽はうどんを手打ちすることが趣味なのですが、『咲子さんがいると、美味しいうどんが食べられる』という言葉は、とても重要な意味をもっていると思っています。ひとりで生活していると、自分ひとりのためだけには手間を掛けられないことはよくありますが、他者がいるからその手間がかけられるという感覚は、とても人を人たらしめている部分ではないかなと。羽という人間を通して、やはり他者の存在は必要だなとあらためて感じました。というのも今は、ひとりで生きて行こうと思えば、限りなくひとりで生きていける世界になっていると思います。けれど、そこに他者の存在があることで、できないこと、面倒でしなかったことをしてみる、その結果幸福を感じる。そういう瞬間があるはずなので、僕自身、羽として疑似体験できたような気分でいます」

岸井「咲子にとって羽さんは、自分がずっと抱えてきたモヤモヤを解消してくれた存在です。咲子が、恋愛面に限らず仕事でうまくいかないことがあっても、同居生活での会話を通して、心がすっきりするというか、解決できなくても解消されることがすごく多くて…。私もひとりでいることが多いので、そうなると頭の中で、自分とずっと会話をしているんです。でも、なかなか解決しない堂々巡りというか。だからこそ、他者がいることは、すごく大事なことだな、と咲子を通して感じました」


――確かに、他者がいてこそ可能なこともたくさんありますよね。ところで本作は、“ラブではないコメディー”とのことなのですが、コメディーシーンでの感想を教えてください。

高橋「コメディーだと思っていないんです。特に、セクシュアリティに関する部分では、コメディーの要素は少ないと思っています。生きていく中で『こういうことあるよね』というコメディーの要素を感じるシーンはあっても、当人たちは必死に生きているので、コメディーの部分はあまり意識していなかったかもしれません」

岸井「『ここってコメディーのシーンだよね』という瞬間は…本当になかったんじゃないですかね? 咲子として必死にお芝居をしていて、それが外側から見たらちょっとおもしろおかしく見える瞬間はあると思いますが、私は、切実な思いで演技をしていました(笑)!」

――ちなみに、一番楽しかったシーンを挙げていただくと…?

高橋「ご飯を食べるシーンです」
岸井「ご飯! ご飯! ご飯です」

ふたりの生活から、家の温かさを感じてもらえたら(高橋) 咲子の自分語りは、心のケアにとても重要なこと(岸井)

――“うどん”のシーンは、台本を読みながら食べたくなりました(笑)。そんな食事シーンも含めて最後に、作品の見どころや思いをお願いいたします!

高橋「美術スタッフの方々による、ふたりが暮らすセットの作り込みがとても素晴らしくて、咲子と羽が生活している、生きているんだな、という感覚が画面から溢れ出ていると思います。そのあたりは、(ドラマの)『時間ですよ』のようなホームドラマ感、家の温かさを味わえるのかなと感じます。ふたりの人間っぽさはどのシーンにも詰まっているので、そういうところも見ていただきたいと思っています」

岸井「仰ったように、美術には愛がいっぱい詰まっていると思います。あと、食事のシーンはすごくおいしいんですよ! 本当に毎回、カットがかかってもずっと食べ続けてしまうくらいおいしくて…(笑)。最後までスタッフの皆さんがこだわって作ってくださいます。咲子は、自分のセクシュアリティに対してモヤモヤしていますが、『モヤモヤしているんです! 自分語りしていいですか?』と言ってから、自分のことをバーッと羽に喋るシーンがいくつかあるんですね。これはすごく良いな、と思いました。私も咲子と一緒で、すぐに言葉が出てこないので、会話のキャッチボールが速すぎると、『本当は私、何が言いたかったんだっけ?』って、ちょっと分からなくなる瞬間があるんです。でもそこで、羽さんのような人が、ずっと話を聞いてくれて、合間にすごく大事なことをポンと言ってくれて、『あ! そうかもしれない!』と、咲子が発見するみたいな…。あのシーンは、すごく時間が長くてセリフを覚えるのが大変ですが(苦笑)、心のケアにとってはとても重要なことだと思うシーンなので、ぜひ見ていただけたら嬉しいです』


――ありがとうございました!

岸井ゆきの(きしい ゆきの)

1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。’09年に、ドラマ「小公女セイラ」(TBS系)で女優デビュー。初主演映画「おじいちゃん、死んじゃったって。」(’17年)で、第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞するなど、ドラマや映画など多くの作品に出演している。配信中のドラマ「No Activity/本日も異状なし」(Amazon Prime Video)、4月1日公開の映画「やがて海へと届く」に出演。

高橋一生(たかはし いっせい)

1980年12月9日生まれ、東京都出身。ドラマ、映画、舞台など幅広い分野で活躍。近年の主な出演作にドラマ「岸辺露伴は動かない」(2020年、’21年、NHK総合)、「天国と地獄~サイコな2人~」(’21年、TBS系)、映画「ロマンスドール」、「スパイの妻」(ともに’20年)など。’22年春放送予定のドラマ「雪国-SNOW COUNTRY-」(NHK BSプレミアムほか)に主演する。

恋せぬふたり

NHK総合
1/10(月)スタート 毎週月曜 後10:45~
※リピートあり
※NHK+でも配信あり

 
 
取材・文 TVガイドみんなドラマ編集部
 
 
 

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