亀梨和也インタビュー「鷹野のキャラクターを呼び起こした」

2023/05/06 19:07

今夜スタートのドラマ「正義の天秤 season2」(NHK総合)から、主演・亀梨和也さんのインタビューを紹介。再び鷹野を演じる上で、大切にしたこととは?

2021年9月にNHKで放送され、放送終了後も反響が途絶えなかった土曜ドラマ「正義の天秤」が、続編となって帰ってきました。

前作の最終回で、元外科医の肩書きを持つ弁護士・鷹野和也(亀梨和也)が姿を消してから3カ月後。鷹野が、現在も師団坂法律事務所に姿を見せない一方、ルーム1の桐生(大政絢)の元には、ある事件の再審請求の依頼が舞い込み、元ニートの杉村(北山宏光)は、あるゲームのオフ会に参加することになり…。

今作でも、結束力を試すかのごとく、鷹野とルーム1の元に難解な事件が次々と舞い込んできます。果たして鷹野は、師団坂法律事務所に戻って来るのでしょうか? 放送を前に、season2に向けた亀梨さんの思いに迫ります!

前作の絶対的な強さとは反対に、鷹野の揺らぎが見えるシーズン2

――シーズン1から1年半ほど空きましたが、前作の反響などを踏まえて準備されたことなどはありますか?

「シーズン1の撮影が終わった段階で、続編の制作が決まっていたわけではありませんでした。『シーズン2を作りたいね』と、皆さんと話をしながら希望を持ち続けていたので、続編の話をいただいた後に、鷹野というキャラクターを呼び起こしました。シーズン2の台本をいただいてから、感覚だけに頼らず、細かい設定も取りこぼしたくなかったので、前作を見返しました。シーズン1の中での着地点もあったため、今回の向かう先が異なるという意味でも、難しさを感じながらキャラクターを作り上げていきましたね」


――呼び起こすとは、具体的にどのような部分ですか?

「口調や声のトーン、抑揚のつけ方や仕草など、前作でも作り込んでいた部分です。あとは、目線もそうですね。物語の内容も踏まえると、前作より今回の方が、鷹野に人間味があるんです。瞬き一つをとっても意識をしていたシーズン1とは異なり、シーズン2ではより自然体、人間味が垣間見えるように演じていました」

  
  
――そんな鷹野を演じる中であらためて感じた、作品や鷹野の魅力はどういったところでしょうか。

「作品全体として言えるのは、師団坂(法律事務所)の正義との向き合い方が少し独特なので、一般的にいう弁護士の姿とは、かけ離れている部分もあるかもしれません。ただ、そこがこの作品の魅力の一つでもあると思います。こういった部分の解釈のずれに関しては、特に今回、スタッフの皆さんと最後まで意見を交わしました。『正義とは何なのか?』と。鷹野で言うと、シーズン1では絶対的な強さがありましたが、シーズン2では揺らぎなども感じましたね」


――確かに今回は、ルーム1のメンバー一人一人がフォーカスされることで、鷹野が見守るという場面も多く描かれているように感じます。

「そこが、前作と今作の大きな違いだと思います。前回、師団坂を立て直す名目で鷹野はやって来ましたが、どれだけの責任を背負い、また、周囲とどのような関係性でいたのか。そういった部分を、シーズン2でも表現していけたらと思います。とは言え、シーズン1の最終回で鷹野は姿を消したので、責任感という意味では何も描かれていませんよね…。今回、どのように表現していくのか、僕の中では一つのテーマだと感じています」

急な坂道を自転車で登っていくシーンは大変でした(涙)

――1年半ぶりの撮影現場や、共演者の皆さんとの再会はいかがでしたか。

「撮影に入るまでは、ちょっとソワソワしていましたが、いざクランクインすると『ずっと撮影していたのかな?』と、すごく不思議な感覚でした。1年半という時間が、ぎゅっと凝縮されたような…。共演者の皆さんとも、久しぶりという感覚はすぐに消えましたね。ただその中でも、シーズン2ならではの撮影方法、監督の狙いなどがあったので、『シーズン1とは違ったものを作り出そう』という強い空気感がありました」


――共演者の皆さんとの具体的なエピソードがあれば…。

「撮影の中盤あたりに、皆さんと食事に行きました。ただ、食事中も熱い芝居談義が交わされていましたね(笑)。僕が皆さんにお声がけをして、お寿司を振る舞わせていただきました。と言っても、僕が作ったわけではないですよ(笑)。撮影中、特に山口智子さんとのシーンでは、台本に描かれていない細かな部分について意見を持ち寄り、撮影現場で1つの形にしていきました。山口さんは本当に多くのアイデアを持っていらして、現場で僕と監督と3人で、よくディスカッションをしていた記憶があります。お芝居に対する柔軟性やポイントのつかみ方は勉強になりましたし、本番直前まで妥協なく意見をくださるなど、作品を豊かにしてくださいました」
  
    
――今回、鷹野が屋外で捜査をするシーンが多く見受けられますが、撮影で苦労したことなどありましたか?

「風ですね(苦笑)。僕が、というわけではありませんが、風の強い日が多かったので、メイクさんが苦労されていました。でも、第1話で急な坂道を自転車で登っていくシーンは、僕もすごく大変でした(涙)。『真っすぐに進まないな』と思ったら、新聞の重みで自転車のハンドルが曲がっていたり…。電動アシストも全く付いていない自転車だったので、いいトレーニングになりましたね(笑)。シーンの一つ一つで、監督が鷹野のキャラクター作りにこだわってくださったため、僕もいただいたアイデアを自分なりに解釈して、作り上げていきました」

――ちなみに、前作ではスーパーボールを触るシーンが印象的でしたが、今回もスーパーボールは登場しますか?

「ありますよ。つかみ方を変えるなど、バリエーションに関して、皆で楽しみながら試行錯誤しました。ちょうど撮影していた時期が、ワールドカップ(2022 FIFAワールドカップ)の直後あたりだったこともあり、『ちょっと足を使ってみる!?』なんて言いながら(笑)。僕は、全て一発で決められるようなタイプではないので、失敗を重ねながら作りました」


――先ほどお話にあった、“より人間味がある鷹野”ということは、新たな表情なども見られるのでしょうか。

「鷹野に関して描かれていない部分もたくさんあるので、映像でどう納得させられるかという課題がありました。変わり者である一方で、そこを誇張しすぎてもいけないからこそ、“天秤”じゃないですが、バランスを意識していましたね。鷹野が重い案件を抱えているので、重くなりすぎないようにと。あとは、鷹野の見せ方で言いますと、登場の仕方に関して、思い切ったことを提案させていただきました。『鷹野は、どういう風に戻って来るんだろう?』と僕も思っていたので、今回初めて登場するシーンでは、僕の顔が映っていない方がよいのではないか、と」


――ますます、鷹野の登場シーンが気になります! では最後に、あらためて今夜スタートするシーズン2の見どころをお願いいたします。

「作品としての素晴らしさや、登場人物たちの時間経過も見どころでありつつ、『彼らが、どのように正義と向き合っていくのか?』という部分にも注目してください。また、キャラクターそれぞれについても掘り下げられていくので、前回は見られなかったような会話やシーンも詰まっています。『正義とは何なのか』と、あらためて考えさせられる、皆さんにも考えていただけるような作品になっていると思います」


■Prolife
亀梨和也(かめなし・かずや)

1986年2月23日、東京都出身。’98年にジャニーズ事務所に入所し、翌年、「3年B組金八先生 第5シリーズ 」でドラマ初出演を果たす。’05年のドラマ「ごくせん」第2シリーズでの出演でさらに知名度を上げ、翌年の3月にKAT-TUNとしてCDデビュー。以降は、音楽活動、映画やドラマ、番組MCのほか、CMやラジオパーソナリティーなど多彩な才能を生かし、活躍の場を広げている。近年の主演作品に、ドラマ「レッドアイズ 監視捜査班」(’21年、日本テレビ)、「連続ドラマW 正体」(’22年、WOWOW)、映画「事故物件 恐い間取り」(’20年)など。Instagramも日々、更新。

土曜ドラマ「正義の天秤 season2」

NHK総合
5/6日(土)スタート 毎週土曜 後10:00~

取材・文/TVガイドみんなドラマ編集部