【令和の胸キュンドラマ10選】TVガイド60周年コラボ企画

2022/08/30 20:08

『令和の胸キュンドラマ10選』と題して、創刊60周年の「TVガイド」と「TVガイドみんなドラマ」が初コラボ! 令和の胸キュンドラマを厳選して紹介いたします。

『ユニコーンに乗って』功の控えめな熱視線に「ムズキュン」

まずは、現在放送中のこのドラマ「ユニコーンに乗って」。近年の胸キュンドラマブームを牽引する、TBS火曜10時枠ドラマの最新作です。この枠は一貫して女性主演が貫かれていて、女性脚本家が起用される割合も高く、女性目線の「ムズキュン」ラブストーリーを数多く輩出しています。そんな「ムズキュン」最新作の主人公は、永野芽郁さん演じるスタートアップ企業のCEO・佐奈。彼女を支えるビジネスパートナー・功役に杉野遥亮さん、地方銀行から転職してきたおじさん新入社員・小鳥役に西島秀俊さんを配し、三角関係の行方とともに、夢の実現に向けて走り続ける佐奈の奮闘ぶりを爽やかに描いています。

永野さんがCEO役というのは意外な感じですが、恋も仕事も軽やかにこなすバリキャリガールとは一線を画す彼女のちょっと不器用で頼りない風情が、時代の空気を反映していますね。次々に訪れるピンチに、小鳥さんや功をはじめ、個性豊かな仲間たちが自然と手を差しのべていくストーリーも、佐奈のどこか放っておけない等身大の魅力ゆえに、不自然に感じません。そして、恋の行方も気になるところ! おじキュンムーブメントを引き継ぐ西島さんの包容力も魅力的ですが、終始控えめに友だちとして佐奈を見つめる杉野さんのクールな熱視線に思わず胸キュン。母性本能をくすぐられちゃいますね。がんばれ、功!!


「ユニコーンに乗って」放送情報
TBS
2022年7月5日(火)スタート 毎週火曜 後10:00~

脚本:大北はるか
出演:永野芽郁、西島秀俊、杉野遥亮ほか

『最愛』一途でひたむきな大ちゃんに「熱キュン」

2021年秋、大きな話題を呼んだオリジナルサスペンスドラマ「最愛」。二転三転する事件の行方と次第に明らかになる真相への期待で、回を追うごとに人気を博しました。そして何よりタイトルにもある「最愛」――吉高由里子さん演じる主人公・梨央への大輝(松下洸平)や加瀬(井浦新)の想いの深さが、私たちの胸を打ちましたよね。特に、学生時代から互いに思い合っていたのに思いがけず引き裂かれ、15年後に事件の重要参考人と刑事として再会した梨央と大輝の運命の皮肉。互いの立場が2人の間に立ちはだかるという設定はよく分かるのですが、とにかく初回から大ちゃんの梨央への愛がダダ漏れなんだもの。でも刑事としての疑念は消し去れないから、大ちゃんいっつもしかめっ面で…。

この手の設定でこれだけ恋心が表沙汰になるドラマも珍しいと思いますが、松下さんの誠実な演技もあってそれが全然イヤじゃなかった! 加瀬さんも含めて、梨央への想いは最初から最後まで変わらないんです。どんでん返しが当たり前のサスペンスドラマの中で、最後までそれが貫かれていたっていうのが本当にスゴい。そんな一途でひたむきな「熱キュン」ぶりがファンの支持を集めた一番の理由だったのではないでしょうか?


「最愛」放送情報
TBS
2021年10月15日(金)スタート 毎週金曜 後10:00~

脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
出演:吉高由里子、松下洸平、田中みな実ほか

『消えた初恋』自分を認めてくれる周囲の優しさに「ほっこりキュン」

コミック原作を黒岩勉脚本でドラマ化した話題作「消えた初恋」。何しろ、青木役の道枝駿佑さん(なにわ男子)と井田役の目黒蓮さん(Snow Man)のツーショットが美しく、また2人が演じる青木と井田の性格の差が、実に愛らしい出色の学園ドラマでした。ボーイズラブの変奏ものですが、カン違いと妄想で互いの気持ちがエスカレートしていく展開は、最新型王道学園ラブコメの名にふさわしい!

主演2人の強力タッグが注目されましたが、決して話題性だけのドラマではありません。やっとのことで付き合い出してからも、“ふつう”を気にして落ち込んじゃう青木のネガティブ妄想女子ぶりも、「オレたち両思いってことでいいんだよな?」と聞いて「いちいち口に出さなくてもわかるだろそんなこと」なんて怒られちゃう井田くんの不器用男子っぷりも、どちらもきちんとリアリティーを持って描かれていました。主人公2人はもちろん、福本莉子さん演じる橋下さんも、鈴木仁さん演じるあっくんも、先生もクラスメートもバレー部員もみんないい人ばっかりで…。ライトなタッチではありますが、誰かを好きになる自由、その素晴らしさを大きな声で伝えてくれて、優しさに「ほっこりキュン」する胸キュンドラマでしたよね⁉


「消えた初恋」番組情報
テレビ朝日
2021年10月9日(土)スタート 毎週土曜 後11:30~

原作:ひねくれ渡
作画:アルコ 
脚本:黒岩勉
出演:道枝駿佑、目黒蓮ほか

『おかえりモネ』#おれたちの菅波、#わたしたちのりょーちんの「Wキュン」

朝の連続テレビ小説からはこのドラマ「おかえりモネ」を。東日本大震災の記憶を胸に抱えた主人公・モネこと永浦百音(清原果耶)が気象予報士となって上京、テレビのリポーターなどで活躍しますが、最終的に故郷の気仙沼で気象の知識を生かして行く道を選ぶという物語。清原果耶ちゃんの抑制された演技が見事でしたが、胸キュンポイントとしてはなんと言っても「#おれたちの菅波」「#わたしたちのりょーちん」と並び称された菅波先生=坂口健太郎さんと、りょーちん=永瀬廉さんのカッコよさ。2人とも肌触りが似ているといえば似ているし、全く違うとも思える。あからさまに対照的に描いていないところが逆に魅力でした。果耶ちゃん含めた3人とも浮わついたところがまったくない沈思黙考タイプだったので、恋の三角バトルは常に心理戦の様相を呈していましたが、その分ときおりほとばしる魂の叫びが鮮烈で。まさに、Wイケメンによる「Wキュン」ドラマ!

そして、彼らの想いはいつも互いが抱えた傷に寄り添っていました。そんな、それぞれの恋と人生との距離感のリアリティーにも胸を打たれたなー。でも、モネと菅波さんはもちろんだけど、一番うれしかったのは、りょーちんとみーちゃん(蒔田彩珠)が結ばれたことでした。おめでとみーちゃん。


「おかえりモネ」番組情報
NHK総合ほか
2021年5月17日(火)スタート 毎週月曜~金曜 前8:00~

脚本:安達奈緒子
出演:清原果耶、坂口健太郎、永瀬廉ほか

『大豆田とわ子と三人の元夫』日常の心の小さな動きに「ちょいキュン」

まだ令和4年ではあるんだけれど、令和を代表するテレビドラマと言えば、「大豆田とわ子と3人の元夫」は外せません。ほかのドラマにはないさまざまな試みと企てを抱えた非常に個性的なドラマです。何より、それを無理なく成立させている坂元裕二脚本ほかスタッフ&キャストの高度なテクニックに舌を巻きます。そして胸キュンポイントも一筋縄ではいきません。3人の元夫たち(松田龍平、角田晃広、岡田将生)はもちろん、斎藤工さんの船長さんとか、谷中敦さんの嫌な社長とか、ラジオ体操をするオダギリジョーさんとか、とわ子(松たか子)を取り巻く男性陣は、とにかく多彩。

そんな男たちにそれなりに振り回されつつ、とわ子は自分の気持ちにいつも素直なんですよね。いい女もたくさん出てきて、元夫たちもちょこちょこよそ見するし。その一つ一つのドキドキやとまどい、小さな心の動きを、このドラマはきちんと描いてくれます。もちろん、ちょいちょい傷つくことも多いけど。私たちの日常は、そんな小さな「ちょいキュン」と「ちょいシュン」の積み重ねでできている…。そんな不思議でステキなドラマでした。


「大豆田とわ子と三人の元夫」番組情報
関西テレビ
2021年4月13日(火)スタート 毎週火曜 後9:00~

脚本:坂元裕二
出演:松たか子、松田龍平、角田晃広、岡田将生ほか

『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』子犬系男子とツンデレ男子に「ドキキュン」

旬の女優が主演を飾ることが多いTBS火曜10時の「火曜ドラマ」枠で、令和に入って2回も主演を務めている女優さんはたった一人しかいません。そのたった一人が上白石萌音さん。まさに「火曜ドラマ」のシンボルのような存在です。そんな彼女の2作目の「火曜ドラマ」が、「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」。熊本から上京した主人公・奈未(上白石萌音)がさまざまな出来事に戸惑いながら、次第に仕事にやりがいを見いだしていくという王道お仕事ドラマでありながら、全編胸キュンシーンの嵐というワクワクドラマでした。

 何より“子犬系男子”の第一人者、玉森裕太さん演じる潤之介の天然フワフワっぷりが最高ですよね〜。こういうフワフワ男子が周りにいて何かとちょっかいを出してくる人生なんてまさに少女コミックの世界ですが、玉森さんはまさにコミックから抜け出してきたようないい意味でのファンタジー感があります。そしてコミックから抜け出してきたといえば、間宮祥太朗さん演じる中沢先輩。絵に描いたようなツンデレぶりで、間宮さん人気が急上昇するきっかけとなりました。2つの「ドキキュン(ドキドキキュン)」が止まらない、ぜいたくな胸キュンドラマでした。


「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」番組情報
TBS
2021年1月12日(火)スタート 毎週火曜 後10:00~

脚本:田辺茂範
出演:上白石萌音、菜々緒、玉森裕太(Kis-My-Ft2)ほか

『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』シンクロ度200%の「ピュアキュン」

大ブームを巻き起こした原作コミックを、見事に実写化した人気ドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」。令和で最もピュアな恋物語だと言ってもいいでしょう。何しろキャスティングが絶妙で、安達役の赤楚衛二さん、黒沢役の町田啓太さんとも、まさに奇跡のシンクロ度。お二人にとって生涯の代表作となることは間違いありません。黒沢の安達に対する想いはあまりに澄み切った感情で、こういう一点の曇りもないピュアな愛がドラマで描かれるということはなかなかないと思います。恐らく、“相手の気持ちがわかってしまう”というトリッキーな設定だからこそ伝わる恋心なのでしょう。

 黒沢の気持ちがわかってからは、2人が並んでいるだけでもう見ているこっちも胸がドキドキキュンキュンしちゃって。人に恋することって、こんなに楽しくて、そして切ないことなんだ、というのが良くわかる「ピュアキュン」ドラマです。2人以外のキャラクターにも目配せが効いていて、脚本の優しい視線を感じます。オフィスが舞台になると一段とドキドキしますね。こんなにもリアルな感じになるか、と不思議です。


「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」番組情報
テレビ東京
2020年10月8日(木)スタート 毎週木曜 深1:00~

原作:豊田悠
脚本:吉田恵里香、おかざきさとこ
出演:赤楚衛二、町田啓太ほか

『私の家政夫ナギサさん』どんな時でも「おじキュン」の優しさが癒やし

新型コロナウィルスの影響をもろに受けたドラマです。放送開始が3カ月遅れて、その間「恋つづ」と「逃げ恥」の特別編が放送されて、こちらの気持ちも結構盛り上がったところでスタートしました。「おじキュン」ブームの火付け役として注目されましたが、それより何より多部未華子さん演じるバリキャリの主人公・相原メイの日々の頑張りが身につまされすぎて…。そうなんです、仕事も家事も大変なんです! メイの気持ちわかる! という人は多かったんじゃないでしょうか。

 そんな意味でも、大森南朋さん演じる、家事は完璧で、その上いつも優しいナギサさんには本当に癒やされました。出会って恋して、の胸キュンじゃなく、日々の暮らしを柔らかくしてくれるほっこり胸キュン。瀬戸康史さん演じる田所さんはじめ、極端にイヤな人が出てこないところも安心できて、見ていて幸せなドラマでした。ナギサさんを好演した大森さんの抑えた演技も最高でした。でもこうして見てくると、令和の胸キュンドラマって比較的控えめな受け身タイプの男性が多くないですか? そういう男性がトレンドなのかな…。


「私の家政夫ナギサさん」番組情報
TBS
2020年7月7日(火)スタート 毎週火曜 後10時~

原作:四ツ原フリコ「家政夫のナギサさん」(ソルマーレ編集部)
脚本:徳尾浩司、山下すばる
出演:多部未華子、瀬戸康史、眞栄田郷敦ほか

『凪のお暇』元カレ&“人たらし”のゴン、ヤバめ男子のW攻撃に「ヤバキュン」

受け身の男性がトレンドなのかな、と書いた途端にこの作品「凪のお暇」。令和最初の夏に強烈な印象を残しました。一生懸命空気を読みながら、それこそ“受け身”一辺倒で生きてきたOL・大島凪(黒木華)が、現実のしがらみをすべて投げ捨て、しばし「お暇」をいただくという自分探しの物語。OL時代のリアルな展開は見ていてそこそこシンドイですが、それでも第1回のラストまでには、ちゃーんと胸キュンさせてくれます。かたやモラハラ気味の元カレ・慎二(高橋一生)、かたや人呼んで“メンヘラ製造機”の隣人・ゴン(中村倫也)、ヤバめ男子のW攻撃は破壊力抜群。まさに「ヤバキュン」ドラマです。特に、中村倫也さん演じるゴンのかわいさたるやもう…。確実にトロケます。

ちなみに原作では、キスもハグもその先もそれなりにバッチリ描かれていて、こちらにも結構やられます。凪ちゃん含め、慎二もゴンも自分の本心を表現することに本当に不器用で、だからこそ時折のぞく弱さがとにかく愛おしいんですよね。原作コミックがまだ連載中だったこともあって、放送時は途中からドラマオリジナルの展開となり、「凪は最終回で2人のどちらを選ぶの?」と話題になりました。


「凪のお暇」番組情報
TBS
2019年7月19日(金)スタート 毎週金曜 後10:00~

原作:コナリミサト 「凪のお暇」(秋田書店 「Eleganceイブ」 連載)
脚本:大島里美
出演:黒木華、高橋一生、中村倫也ほか

『きのう何食べた?』食卓を囲めば悩みは半分に…「食べキュン」

始まった時はまだ平成でしたが、「きのう何食べた?」も令和の胸キュンドラマとしてぜひご紹介しましょう。原作は、料理コミックの要素が濃くレシピとして利用する人も多い、よしながふみの傑作コミック。そのテイストを繊細に汲み取り、誠実にドラマ化した作品です。ドラマでも料理は重要な要素ですが、シロさん(西島秀俊)とケンジ(内田聖陽)の2人の佇まいには、やっぱりキュンキュンしちゃいます。2人はすでに40代にさしかかり、もちろん仕事でもキャリアを重ね、地に足のついた生活をしています。カミングアウトの問題や、親の問題、仕事の問題、もちろん家計や食の問題など、さまざまなリアルが降りかかってきます。その中で時にぶつかりながら、時にいたわり合いながら、困難に立ち向かう2人の姿が、私たちを幸せな気持ちにしてくれるんですね。

 なんと言ってもケンジがカワイイ! 小日向さん(山本耕史)やジルベール(磯村勇斗)もいいしね。不安なこともあるけど、それでもいくつになってもあんな風に誰かと幸せな食事をしながら暮らしていきたいと思った人は多かったのではないでしょうか。とても素敵な「食べキュン」ドラマでした。


「きのう何食べた?」番組情報
テレビ東京
2019年4月5日(金)スタート 毎週金曜 深0:12~

原作:よしながふみ
脚本:安達奈緒子
出演:西島秀俊、内田聖陽ほか