杉野遥亮インタビュー「小平太とともに、“今”を楽しむ」

2023/03/02 10:10

松本潤さん主演の大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合)で、家康の家臣・榊原康政(小平太)を演じる杉野遥亮さんにインタビュー。

誰もが知る歴史上の人物・徳川家康の生涯を、脚本家の古沢良太さんが描くことでも話題の大河ドラマ「どうする家康」。

今作で、家康を慕う家臣・榊原康政(小平太)を演じるのは、大河ドラマ初出演となる杉野遥亮さんです。今回は、小平太を演じる上での思いや、松本潤さん、山田裕貴さんへの思いなどを伺いました。

小平太と平八郎も、僕と山田(裕貴)くんだからこそ引き立て合う

──榊原康政、今は小平太という名ですが、ちょっとニヒルというか斜に構えていたりするのかな、という印象も受けております。

「そういうところもあるとは思います。でも、この先はもっと真面目になっていくでしょうし、違った側面も見えてくるんじゃないかな、というイメージが僕の中にはあります。徳川家が栄えていくにつれて、家中での立場も変化していきますし、小平太自身が体験すること、あるいは体感することによって、人間としても成長していくような気がしているんです。あと、これは個人的な感覚なんですけれど、『殿、殿、殿〜!』という感じで、殿第一に立ち回ってきた人ではないと捉えて、今は演じています。変に気を遣ったり、自分の気持ちをごまかして相手に入れあげたりするようなことをしなかった人なんじゃないかな、と。そうすることが相手に対する一番の礼儀であることを、小平太はどこかで知っていた人なんじゃないか、と僕は感じているんです」        


──なるほど。では、大河ドラマの撮影現場で感じられていることを、あらためてお聞かせ願えますでしょうか。

「撮影現場に入って驚いたのは、セットの豪華さとスタッフさんの多さです。大河ドラマは歴史を描いていることもあって、たくさんのスタッフの方がいろいろなところで密に関わり合っています。セットに関しては、『どうする家康』のスタジオには、池のセットがあるんです。撮影に参加した当初は、ほかの作品の撮影と並行していたこともあって、『こういうことができるんだな』と、ビックリしたのをよく覚えています。しかも毎週、撮るシーンに合わせてセットが変わるんです。『いつ建て込んでいるんだろう』と思いつつ、『ここは先週のセットを活用しているんだな』とか、細かいところまで見ちゃいます(笑)。そういうのも結構楽しいんです」 

──初陣で小平太が纏った甲冑(ちぎれ具足)が手作り感にあふれていたのも印象的ですが、そういった小道具に着目するのも楽しそうですね。

「最初にあの甲冑を見たのが、確か衣装合わせの時だったのですが、初見ではそんなにボロボロに感じなかったんです。でも、実際にほかの人と見比べてみたらボロボロで…。ただ、史実でも小平太がそういう甲冑を着けていたみたいなので、すごくチャーミングだと思いましたし、僕は着ることができてうれしかったです。でも、戦闘には不向きだなと思いました(笑)」

──確かに(笑)。その小平太と本多平八郎(忠勝)の〝平平コンビ〟のやり取りも視聴者に好評ですが、平八郎役の山田裕貴さんと共演されてみて、いかがでしょうか。

「山田くんと僕は、性格が全然違うタイプで、むしろ真逆だと思っています。山田くんは血気盛んと言いますか、役者さんとしても人としても、僕にないものを持っていらっしゃる印象があります。でも、誕生日が一緒(ともに9月18日生まれ)という、運命的なものを感じたりもしているんです。そんな僕らが演じる平八郎と小平太は、のちに2人とも“徳川四天王”になっていきますが、彼らもまた“柔と剛”だったり“攻めと守り”のように、真逆。平八郎が前に出ていく時は小平太が後ろから見ていたり、反対に平八郎が下がると小平太が前に出たり…。そのバランス感覚もあって、とてもいいコンビだなと感じながら、過ごしています。補い合っているというか、お互いに引き立て合う2人なんじゃないかなって」

―─山田さんご本人のお芝居へのスタンスも、杉野さんとは真逆という感じでしょうか?

「あんまりそういう話はしたことがないんですけれど、真逆のような感じがしています(笑)。前に、同じ作品(’21年公開の映画『東京卍リベンジャーズ』)に出演した時は共演シーンがなかったので、こんなに一緒のシーンがあるのは初めてなんです。同じシーンで芝居をしてモニターでチェックしてみると、面白い画が撮れているので、『これもご縁だな』と思いながら、ご一緒させていただいています。ちなみに、ああ見えて今は一応、小平太は平八郎の子分なんですよ…」  


──あまり子分の感じがしないのも面白いですよね。では、徳川家臣団を演じている役者の皆さんとは、どんな雰囲気ですか?

「作品を作るにあたって、皆が同じ方を向いているんだな、というのは感じます。僕は撮影現場ではあまり喋らないんですけど、今回は、自然と皆さんと会話させていただいています。僕自身はどの作品の現場も同じでいるつもりなので、きっとこの『どうする家康』という作品の現場特有の何かがあるのかな、と思ったりしています」 

小平太が成長するように、殿と家臣団の関係値も変わっていく

──そういったフラットな姿勢やスタンスは、お芝居に対しても言えることでしょうか?

「そうかもしれないです。特に『どうする家康』はものすごく重厚な時代劇というより、現代に通じるところもあると思っているので、そのバランスが難しいと感じた時もありました。ですが、まだ先々の台本ができていないので、1年間を通して小平太がどう成長していくかが分からないからこそ、常に“今の状況”を楽しみ続けていればいいのかな、というスタンスに行き着いたんです。例えば、第6回(2月12日(日)放送)だったと思いますが、皆の前に“ちぎれ具足”で出ていくシーンは、台本だけを読むと飄々としてキテレツなキャラクターに思えてしまうかもしれないんですけど、僕がクランクインして間もない頃に撮影したので、実は結構緊張していたんです。家臣団の空気が出来上がっている中、前に出ていくのも不安がありました。でも、もしかしたら小平太も同じ気持ちだったかもしれないなと思って、そこをリンクさせたりもしました。そういった感じで、その時々の自分と照らし合わせながら、役を作っていっている感じです。悩んでいる時はそのまま役に投影した方がよいのかな、というスタンスで撮影に臨んでいます」

──ちなみに、印象的もしくは、楽しかったシーンを挙げるとすると?

「一向一揆のシーンは撮っていて楽しかったです。あとは、第11回(3月19日(日)放送)で、武田信玄に出くわしたシーン。殿(家康=松本潤)と僕と本多忠勝役の山田くんの3人が、『おぉ、栗がありますぞ〜!』と栗拾いをしながら、おしくらまんじゅうをしていたんです。そこに武田信玄がやって来たんですけど、信玄だとは気付かなくて…。しかも僕たちにお茶をくれるので、『ありがとうございます〜』なんて素直にお礼をしちゃっている中で、話の流れから、目の前にいる人が信玄だと分かってくるという。ほのぼのしていたのに、信玄の登場で空気が一変するのが面白かったです」


──阿部寛さん演じる武田信玄と対面しての感想もお聞かせください。

「とにかく迫力がありました。阿部さんとは第11回のリハーサルで初めてお会いしたんですけれど、その時点からすでに迫力に満ちていました。しかも、本番でメイクをして衣装をまとわれた姿は、さらに迫力が増すと言いますか…。衣装にもすごくこだわっていらっしゃったようで、そういうところも貫禄と迫力につながっているのかな、と感じました」 

──では、殿=徳川家康を演じている松本さんについても、語っていただけますでしょうか。

「殿と小平太の出会いについては、もちろん第一印象の衝撃もあったと思うんですけれど、殿の小姓になってから、徐々に人として殿に惹かれていった部分の方が大きいのかなと捉えています。出世したいとか、領地がほしいという気持ちが原動力だったとしても、いろいろなことを共に経験したり、くぐり抜けてきたことで、家康への敬意や忠誠心が段階を踏んで深まっていったような気がするんです。特に、第12回(3月26日(日)放送)では、今川氏真(溝端淳平)とのエピソードが描かれるのですが、そこでの殿の姿を見て、自分の中で『やっぱり、この人のことが好きだな』とか『信頼できるなぁ、ついいていきたいし、支えたいな』という気持ちが少しずつ強くなっていったんじゃないかな、と。そんな殿を演じていらっしゃる松本さんのことも、現場で『殿だなぁ』と思って、ご一緒させていただいているんです。僕が言うのもおこがましいんですけれど、松本さんの一生懸命な姿を見ると、僕も頑張ろうと思えてきます。松本さんは、周囲に火をつけてくださる方です」    


──そんな徳川家の雰囲気も、繁栄とともに少しずつ変わっていくのでしょうか?

「最近は、少し先のシーンを撮影しているのですが、平八郎と並んで座りながら、殿に『お顔色が優れませぬが』なんて言うんです。それを見た監督から『小平太、成長したなぁ』と言われ、僕も本当にそうだなと思いました(笑)。また、その雰囲気がとても良くて、序盤から前半での3人とは違った締まった空気感なんです。こういう風に家臣団の関係値も変わっていくのかな、と思ったらすごくワクワクしましたし、これからももっと頑張りたいなと思いました」

■Profile
杉野遥亮(すぎの・ようすけ)

1995年9月18日生まれ。千葉県出身。’15年に、雑誌「FINEBOYS」専属モデルオーディションでグランプリを獲得。映画「キセキ−あの日のソビト−」(’17年)で俳優デビューをして以降、映画やドラマ、舞台などで幅広く活躍。近年の主な出演作に、「直ちゃんは小学五年生」(’22年、テレビ東京系)、「教場Ⅱ」(フジテレビ系)、「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」(’21年、日本テレビ系)、「僕の姉ちゃん」(Prime Video/’22年、テレビ東京系)、「ユニコーンに乗って」(’22年、TBS系)、映画「東京リベンジャーズ」(’21年)など多数。

大河ドラマ「どうする家康」放送情報

NHK総合ほか
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杉野遥亮インタビュー記事

撮影/尾崎篤志 取材・文/平田真人
衣装提供/NULABEL(スタジオ ファブワーク)<シャツ>