神尾楓珠インタビュー「変化を求める17才の総理・真木」

2022/05/12 13:01

絶賛放送中のドラマ「17才の帝国」(NHK総合 毎週土曜後10:00~)。今作でNHKドラマ初主演となる神尾楓珠さんに、インタビュー!

「けいおん!」「ガールズ&パンツァー」などのヒット作を手掛けた吉田玲子さんが脚本を務める、青春SFエンターテインメントという新しいジャンルのドラマ「17才の帝国」。

本作の舞台である、202X年の日本にある実験都市プロジェクト・Utopi-AI、通称UA(ウーア)。この総理大臣に任命された弱冠17才の高校生・真木亜蘭を演じる神尾さんに、作品への思いや「もしも、総理大臣になったら…?」を伺いました。

弱い部分を隠して強く見せる、このバランスが難しかった

――青春×SFエンターテインメントという新しいジャンルのドラマであり、“17才の総理”となかなか斬新な設定ですが、作品の内容を聞いた時の率直な思いをお聞かせください。

「SFの要素はありながらも現実的な問題に向き合っていく姿を描いているので、身近に感じられる内容だと思います。僕は企画書を見て作品の内容を知ったのですが、“総理大臣”という文字を見た時に、知らない言葉や難しい言葉が出てくるだろうという思いから、『絶対にセリフが多いな、セリフ地獄だ…』って…(汗)」

――真木は17才にして総理大臣となりますが、彼自身はどういう人物なのでしょうか? 演じる中で難しさを感じる部分などはありましたか?

「今後、ドラマで描かれていく彼の過去なども影響しているのですが、すごく熱い思いがあり、『変えたい』という気持ちが強い人物です。ただ、これまであまり他者と関わりを持ってこなかったので、今は、人との接し方を模索している状態。今後、UAの人と接していく中で、人間関係を学んでいくのだと思います。真木を演じるにあたっては、最初から最後までずっと苦労しました(汗)。特に演説のシーンは難しかったですね。改革をするぞ、という独裁者のような雰囲気がある一方で、人前に立つのが苦手で緊張してしまう。彼には、強く見えなきゃいけないけど、根っこには弱さがあるので、そのバランスを保つのが大変でした」
  

――では、もしも神尾さんが総理大臣になったら、どんなルールを作りたいですか?

「殺風景とは言わないまでも、日本には灰色の建物が多いじゃないですか。海外には、オレンジや赤など鮮やかな色合いをした建物が多い国もあるので、建物に“色”を取り入れるルールを作りたいですね」
  

――ちなみにご自身が真木と同じ17才の時は、どんなことを考えていましたか?

「政治のことは…正直に言って考えていなかったです。“モテる”ことばっかり考えていました(苦笑)。政治について考えることが好きな同級生もいましたが、『すごいな~』と思いながら僕は、ちやほやされたいとか、モテたい、ということしか考えていなかったかもしれません(汗)」

――でも、それも“高校生”ですよね! また、真木は第1回の放送で、「間違っていることを間違っていると言わない大人になりたくない」と言っていましたが、“〇〇な大人になりたくない”と神尾さんが思うものはありますか?

「よく知らないうちから、新しい価値観を否定や拒否する人にはなりたくないです。例えば今後、今よりも便利なモノが普及した時に、『僕は使わないから…』と拒絶するのではなく、新しいモノやコトも取り入れられる人になりたいですね。と言いながら、流行りのものに対して、最初は一歩引いてしまうところがあって…。でも、知り合いなどが新しいものを取り入れていたり、お薦めされたら『僕も取り入れたいな』と思いますよ」
  

――“変化”を受け入れられる人って素敵ですよね。その“変化”を求めて真木は、UAで様々な改革を推し進めますが、一人一人の“幸せのものさし”が異なるからこそ思うように進みません。神尾さんにとって、幸せを感じること、感じる時はどんな瞬間ですか?

「『この人のために何かしたい』と思えている時でしょうか。そういう時って、僕自身も周りを見られる余裕があるので、満たされているのだと思います。逆に言うと、周りの人のことを考えられない時は、自分のことで手一杯になっているんですよね。そういう意味もあって、『幸せだな』と感じるのは、周囲のために何かをしたいと思う時です」

――誰かのため、という意味では、真木のために動く登場人物も印象的ですよね。真木の補佐官を務める茶川サチ役の山田杏奈さん、真木の成長を見守る次世代の総理候補・平清志を演じる星野源さんとは、共演してみていかがですか?

「杏奈ちゃんとは今作が4回目の共演なのですが、4回とも全て僕の役は暗くて、彼女の役は明るいという…(苦笑)。(サチは真木の補佐官なので)2人の距離は近いように見えますが、でも近くもないという難しいところ。ただ、僕たちは役者としてお互いのことを分かっているから、『こういうことを考えているんだろうな』と相手の気持ちを汲み取ることができるので、演技もしやすくてありがたかったです」

――星野さんについてはどうですか?

「いい意味で、僕たちが気を遣わなくてすむようにしてくださっていました。気張らずに自然体で演じられるような雰囲気を作っていただいたので、僕も集中して臨むことができたと思います」


――ちなみに今作は、長崎県佐世保市でも撮影されたそうですね。ドラマのメインビジュアルでも印象的な3本の柱は、針尾島にある「針尾無線塔(針尾送信所)」とのことですが、佐世保を訪れての感想をお聞かせください。
  
「全部で1週間ほどしか滞在しませんでしたが、佐世保のことがめっちゃ好きになりました! 初めて訪れたのですが、すごく過ごしやすくて、商店街などの雰囲気も温かいなって。針尾無線塔は、思っていたよりも大きくて、存在感がすごかったです」

――では最後に、今年の4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられたことから、この作品の持つ意味も大きくなると思いますが、ドラマを通して神尾さんが伝えたいことは何でしょうか?

「今までは20歳になるまで子どもでいられましたが、今では18歳になったら大人になってしまう。こういう変化に順応していくのは大変だと思いますが、『17才の帝国』では、18歳よりも若い、17歳の“子ども”が大人と関わって政治をしていきます。その中には悩みや葛藤もあって、変化に対峙した時の描写もある、そういう姿から何か感じてもらえたらうれしいです」


■Prolife
神尾楓珠(かみお・ふうじゅ)

1999年1月21日生まれ。東京都出身。’15年に俳優デビュー、’19年に「左ききのエレン」(TBS系)で連続ドラマ初出演を果たす。現在、「先生のおとりよせ」(テレビ東京ほか)、「オリジナルドラマ 青野くんに触りたいから死にたい」(WOWOW)、「ナンバMG5」(フジテレビ系)のドラマにも出演中。主演映画「20歳のソウル」が5月27日に全国公開するほか、出演映画「恋は光」(6月17日公開)、「HiGH & LOW THE WORST」(今秋公開予定)の公開を控える。Instagram

「17才の帝国」放送情報

NHK総合
毎週土曜 後10:00~