向井理インタビュー「格好悪いものを集めてもらった」 

2022/02/05 07:07

放送中のドラマ「婚活探偵」(BSテレ東)で、イケメンなのに女性に縁がなく、結婚相談所に通って婚活に奔走する主人公の探偵・黒崎竜司を演じる向井理さんを直撃!

男らしさのギリギリを狙いたかった

――今回、探偵・黒崎竜司役を演じるにあたり、どのように役作りを進めていかれたんですか?

「まず、男らしさのギリギリのところを狙いたいと考えました。ある人たちからすると格好いいけど、一般的に見たら格好よくない。そういう部分を見せた方にリアリティーがあるだろうな、と思ったんです」


――そこから徐々に、黒崎らしい格好よさを作り上げていったんですね。

「格好よさって、人によって違いますよね。髪型ひとつにしても、ある時代は格好よくても、今はそう思われないということがあります。着るスーツや服の色と髪型のバランス、サングラスなど、普遍性のある格好よさの組み合わせを細かく考え、衣装合わせに時間をかけました。その上で、ちょっと“時代遅れ感”を出すことや、あえてバランスを崩すことがとても難しかったです」


――具体的に、どのような作業をされたんですか?

「要するに、“格好悪いもの”を集めてもらう作業をしていただきました。一流のスタイリストさんに『格好いい服を集めてください』とお願いしたら、いくらでもやっていただけると思うんです。でも、“ちょっとズレてる”とか、“もう少し丈が長い”とか微妙なアンバランスさを出すのは難しく、大変な作業になってしまったようです。一方、格好いいスーツに関しては、生地を選ぶところから採寸まで全てやらせてもらいました。格好いい・悪いのすみ分けがちゃんとできていれば、バランスよくいくかなとは思っていました」

――そうして作っていった黒崎の格好よさについて、どう感じていますか?

「探偵をしている時は部下に『格好いい!』って言われるんですけど、それをそのまま婚活の場でやると、やっぱりおかしい(笑)。そのギャップが面白いですよね。黒崎自身が思い描く格好よさを変えないことで、変な感じに見えるのが良いのかなと思います」


――“面白くする”というよりも、黒崎のキャラクターを貫いて、ギャップを楽しんでいる。

「このドラマは、真面目にそのキャラクターを演じ、その人の言葉がちゃんと出てくるようにすると、自然と面白さが出てきます。なので狙ってやることは、あまりないですね。変にいじるより、黒崎の熱意や真面目さ、うまくいかなかったり必死になったりする姿をそのまま見せることで、コミカルさが出ると思っています」

――一方、黒崎のハードボイルドな部分は、どのように作られたんですか?

「まず、海外の刑事・探偵ものの『シャーロック・ホームズ』や『刑事コロンボ』、クリント・イーストウッドさん、さらに松田優作さんなどを参考に、いろいろ抽出しました。真似をするのではなく、一般的に考えられている“ハードボイルド”とはこういうことだろうな、と考えて。そこから足したり引いたりして、キャラクターを形にしていきました」


――改めて、向井さんから見た黒崎の魅力とは、どのようなところでしょうか?

「本人だけが気づいていない何か変なところがあったり、こだわりが強かったり。でも、とにかくピュアなところでしょうか。自分が信じた道を一途に生きてきた人で、その道に全く疑問を持ってこなかった、信念が強い人。だからこそ、婚活を通じて新しい人や新しい出来事に出会うと、『今まで何だったんだ?』『あ、そうなんだ!』ということの連続になるんです」

――まさに婚活をしている時の黒崎を見て、ギャップやもどかしさを感じてしまいます!

「それが、黒崎のキャラクターだと思います。言葉遣いや真面目なところ、ハードボイルドを目指していたところが、洗練とまではいきませんが、だんだん変化していく。婚活シーンを演じるにあたっては、服装は変わっても髪型を変えないように、しゃべり方は全く変えないように気をつけています」


――婚活を進める黒崎は、成海璃子さん演じる婚活アドバイザー・城戸まどかから様々な情報を教えてもらい、厳しい指導も受けますね。

「今回、婚活事業をされている企業に指導していただき、実際にあること・起こっていることが脚本に盛り込まれているそうです。なので、婚活の内容や教えられることに関してはリアリティーがあると思います。僕は婚活をしたことがないので、黒崎と同様に、未経験の世界に入っていく感覚は新鮮でしたね。知らないことを知るのは楽しいですから」

――第1回で黒崎は、まどかと模擬デートをしましたが、結果が100点満点中13点! それについては、どう感じられましたか?

「黒崎は対人関係に慣れてないので、そもそもそんなに点数が高くないでしょう。しかも最初の状態、いわゆるハードボイルド状態でテストを受けるので、見た目も悪いし清潔感もない。これでは、点数は全く取れませんよね(笑)」


――そんな黒崎が婚活相手の女性と対面する場や会話が、このドラマの魅力のひとつですね。

「黒崎は、これまで女性とあまり触れ合ってこなかったということもありますが、相手と対面した時に緊張感が、自分の生き方と真逆のことをする時に不器用さが出ます。そこでのボタンの掛け違いが面白い。真面目にやればやるほど面白いだろうな、と演じながら感じています」


――最後に、このドラマの魅力をぜひお願いします!

「このドラマはコメディーではありますが、原作がサスペンス要素の強い作品なので、ベースとしてはちゃんと謎解きがあります。その上で、ネタをちゃんと回収する面白さ、さらに婚活に挑む一人の不器用な男性のコミカルな部分が描かれる、バランスが良い作品です。ぜひ、楽しんでいただけたらと思います!」

■Profile
向井理(むかい・おさむ)

1983年2月7日生まれ、神奈川県出身。2006年、俳優デビュー。連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」(2010年、NHK)や「麒麟がくる」(2020年、NHK)、「着飾る恋には理由があって」(2021年、TBS)など、話題作への出演多数。映画「ウェディング・ハイ」が3月12日公開予定。

「婚活探偵」放送情報

BSテレ東
毎週土曜 後9:00~

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撮影/蓮尾美智子 ヘアメイク/反町雄一
スタイリング/外山由香里