全国の男性アナウンサーに推しドラマを聞く、【ご当地アナウンサーの推しドラマ】。第5回は、岩手県の「IBC岩手放送」から長谷川拳杜アナウンサーが登場。
長谷川アナウンサーの推しドラマや、岩手県の魅力、長谷川アナがオススメする岩手のスポットやグルメなどを、写真とともにご紹介いたします。
過酷だけど、岩手の新たな魅力を発見できた「蘇民祭」
――今回ご登場いただくのは、IBC岩手放送、入社7年目の長谷川拳杜アナウンサーです。現在の担当番組を教えてください!
「土曜日の朝の情報番組『じゃじゃじゃTV』やラジオ番組のほか、高校野球やラグビー、バレーボール、サッカー、それから駅伝とマラソン、競馬などのスポーツ実況も担当しております。あとは、雪合戦の実況。この実況をしているテレビ局は、全国でも数えるほどだと思います」
――雪合戦の実況!? ということは、正式な試合ですよね?
「大会があり、岩手大会は弊社が主催をしております(詳細はIBC岩手放送のHPへ)! コートを挟んで雪球を当てられた人数が少ない方が勝ちで、ドッジボールと異なるのは、球の数が多いこと、シェルターという隠れられる壁があることでしょうか。実況では、雪球が当たった人を『誰々、アウト!』と伝るほか、ストレートや、シェルターに隠れている人をアウトにするための落ちる球など、雪球の球種について説明します。ちなみに、大会に出場するのは、趣味や会社のレクリエーションの一環で出場するチームや、毎年、上位や決勝まで進出するようなクラブチームなどで、優勝すると北海道で開催される全国大会に出場できるので、強豪チームはかなり気合いが入っています。実況を担当する年は、私もIBC岩手放送チームの一員として出場していますが、いつも1回戦負けです…(涙)」
――雪が降る地域では、誰しも雪合戦をしたことがあると思うので、楽しそうです! スポーツ実況のほか、担当番組ではロケ取材などもされるのでしょうか?
「『よこっちピーマンのここで働かせてください!』というラジオ番組では、毎回ロケに行きます。お笑い芸人のよこっちピーマンさんと一緒に、さまざまな仕事を体験するべく県内にある企業にお邪魔するという番組でして、よこっちさんがゲスト、私がMC兼制作スタッフとして出演しています。取材前には企画、取材時にはMCをしながら機材を抱えて音声を担当し、取材後には編集と、ディレクター業務も担当しています。一人何役もと言うとおこがましいですが、制作、技術、編集、出演とさせてもらっています!」
――何役もこなす長谷川アナは、大学時代に山梨県のテレビ局でADのアルバイトをされていたそうですね。さらに、アルバイトがきっかけでアナウンサーを目指されたとのことで…?
「もともとは、教員を目指して大学に進学したのです。余談ですが、私はジェットコースターが大好きな“絶叫系アナウンサー”でして(笑)、教員免許も取得できて、一番好きな遊園地・富士急ハイランドに近い大学に進学したいと思い、山梨県の大学に進学しました! その後、英語と公民の教員免許を取得した一方で、知り合いの紹介で、旅行添乗員や、放送局でのADのアルバイトを経験しました。その中で、放送局でアルバイトをしていた時にアナウンサーの仕事を間近で見て、『アナウンサーとして、いろいろな情報を紹介できるのは楽しそうだな』と思って目指し、今に至ります」
――添乗員のアルバイトは初めて耳にしました。添乗員経験があるということで、長谷川アナがオススメする岩手の名所やグルメを教えてください!
「お土産話になるような場所をオススメしたいので、これからの季節(冬)でいうと、氷上ワカサギ釣り(画像下)はどうでしょう? 実は本州で一番寒い場所が岩手にあり、薮川という地域なのです。真冬には氷点下20℃あたりまで寒くなるこの地での、氷上ワカサギ釣りがオススメです。寒いのが苦手な方にとっては過酷ですが、とてもいいお土産話になりますよ! 毎年必ずプライベートで行くのですが、ここ2年は全く釣れず…(涙)。でも、氷上で食べるカップラーメンがおいしくて満喫できています!」
――氷上ワカサギ釣りは、雪国ならではですよね! グルメのおすすめはありますか?
「時期は過ぎましたが、“岩泉まつたけ”といって岩泉町はマツタケの名産地ですし、あとは、岩手はビールの原材料であるホップの生産量が日本一! なので、ビールもとてもおいしいですよ。岩手の地ビール・ベアレンビールが、コクがあって一番好き、いやもう、『断トツ、マジで本当にウマい』(笑)。ほかには、先輩に誘っていただいて釣りにも行くのですが、ある時、ウニの口開けの日(ウニ漁をしてもよい日)に船頭さんが、ウニをプレゼントしてくれたのです。船の上で殻を割ってご飯に乗せて食べたウニは、最高においしくて…。歯ごたえとまでは言いませんが、粒状の突起の食感が味わえて感動しました。ちなみに岩手では、牛乳瓶にウニを詰めて売るという文化があるんですよ」
――まさか“瓶ドン”ですか? 初めて見たのですが、この企画のプレゼント(岩手グルメセット/現在は終了)の一つに、“瓶ドン(うに)”もあります!
「やはり、初めて見られましたか? もともと瓶に入れてウニを販売する文化があったためで、“瓶ウニ”と言えば何のことか分かるくらい岩手の人には馴染みがあります。全国各地にある岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」などでも、きっと販売されていると思います!」
――瓶ドンは、“映え”のさきがけですね! そして事前にご提供いただいた岩手にまつわる写真で気になったのが、「蘇民祭」。旧正月の晩から朝にかけて、災厄消除(やくよけ)と五穀豊穣を祈願して行う“裸の男と炎の祭り”とのことですが…。
「県内には蘇民祭がいくつもありまして、私が入社2、3年目の時にロケで参加したのは、伊手熊野神社の蘇民祭(写真)でした。旧正月の午後9時頃なので、真冬で氷点下5℃くらいですね。井桁に組んだ木に火をつけ、ふんどし姿の男性参加者(30人ほど)がその上に乗って『ジャッソー、ジョヤサ』と唱えることで祭りが始まります。本番はその後の、“蘇民袋争奪戦”といって、麻の蘇民袋を全員で奪い合う戦い。この争奪戦が深夜2時くらいまで続くでしょうか…。最終的には、審判の判断のもと、蘇民袋を手にした人=優勝者が決まります。ちなみに、参加者には蘇民袋の切れ端が配られ、これを持っていると無病息災のご利益があるということで、私も大切に保管してあります。おかげで大病をしておりません!」
――極寒の中でも、参加した甲斐があってよかったです…。
「いやぁ、これまでの仕事で一番つらかったです(涙)。雪の上を裸足で歩くので感覚がなくなる上に、蘇民袋の争奪戦には、地元の猛者や各地の蘇民祭を渡り歩いているような“蘇民祭の常連”も参加するので、もみくちゃにされて…。蘇民袋に触れられる様子ではなかったため諦めていると、『手を抜くんじゃない!』と注意されたので、争奪戦に参加するには熱意も必要ですね(汗)。岩手出身ながら蘇民祭について知らなかったため、興味もあってロケに参加しましたが、岩手の新たな魅力を発見できてよかったです!」
まるで大人のヒーローショー、「アトムの童」は欠かさず見ています!
――アナウンサーも体力勝負と聞きますが、まさに体力勝負! そんな長谷川アナの推しドラマを、最後に教えてください。
「今は『アトムの童』(TBS)で、第1話から欠かさず見ています! 『半沢直樹』(’03年ほか、TBS)好きということもありますが、会社員など弱者が強者に打ち勝つテーマの作品が多い(TBSの)日曜劇場枠が、特に好きですね。ドラマを見て『自分も頑張ろう!』と思えますし、『アトムの童』も大人のヒーローショーのような感覚で見られて面白いです! 私も、サラリーマンや働く者として背負うものがある部分は同じで、そういう中で努力する姿に勇気づけられからこそ、日曜日にドラマを見て翌日から頑張ろうと思えるのかもしれません」
――ちなみに長谷川アナは、どんなジャンルのドラマが好きですか?
「小学生、中学生の頃は、恋愛ものが好きでした。『大人はこういう風に関係性を深めていくんだ』と、ませた気持ちで見ていましたね(笑)。『半沢直樹』などもそうですが、憧れのような思いでドラマを見ているのかもしれません。とは言っても、私は半沢直樹のようには振る舞えません(汗)」
■Profile
長谷川拳杜(はせがわ・けんと)
1993年11月8日生まれ。岩手県紫波町出身。’16年、IBC岩手放送に入社。担当番組は、情報番組「じゃじゃじゃTV」(土曜 前9:25~)、ラジオ番組「ワイドステーション」(月曜~金曜 後1:00~4:50)の金曜MCや、「よこっちピーマンのここで働かせてください!」「歌って!笑って!民謡まわり舞台」「おしゃべり技術くん」「岩手競馬クロス」。このほか、スポーツ実況なども務める。ジェットコースターが大好きな、“絶叫系アナウンサー”。
取材・賞品協力/株式会社IBC岩手放送、岩手県産株式会「特産品プラザらら・いわて」