金井成大インタビュー前編「ダンダラ羽織りに男の血が騒ぐ」

2022/02/10 09:09

現在、WOWOWプライムにて放送中のドラマ「薄桜鬼」。同作で、沖田総司を演じる金井成大さんに独占インタビューした前編。

さまざまなメディアミックス展開を繰り広げる「薄桜鬼」の実写ドラマで、“新選組一”といわれる剣の腕前を持つ沖田総司を演じるのは、舞台やドラマで活躍する金井成大さん。

ドラマ「最愛」(TBS系、’21年)以来、2度目の「TVガイドみんなドラマ」登場ということで、インタビュー前編ではドラマ「薄桜鬼」について伺います。

人を思う気持ち、命の考え方、集団の中で生きることへの沖田の思いが格好いい

――「薄桜鬼」は、ゲームやアニメのイメージが強かったので、本編のクオリティーの高さに驚き、30分ではもったいないほどの“秀逸な時代劇”だと感じました!

「そうなんです。『薄桜鬼』というゲームが原作でありながら、“新選組”を時代劇として全面に描いていくんだな、とキャストの皆とも話していました。魅せるアクションもあれば、殺陣のシーンもあるので、苦労した部分はありました。池田屋のシーンでは、僕の身長が高い(184cm)あまりに、部屋の中で刀を振り切れなかったのは残念でしたが(涙)、僕も映像を見たときに『時代劇だ!』という印象を受けました。そこに『薄桜鬼』のキャラクターと原作の世界観が混ざったような形で、ほかで見たことない実写化だな、と感じましたね」


――今回演じている沖田総司は、“天才的な剣の使い手”。ほかのキャストの方より殺陣を相当練習されたのですか?

「違う武器やアクションはこれまでにもありましたが、日本刀は初めてだったので苦労しました(汗)。重さがあると聞いていたので、重い模造刀を購入して見よう見まねで振ったり…。自己流のクセがつかない程度に、重さに慣れるために握っていましたが、刀を持つと男は振りかざしたくなるみたいで(苦笑)。特に、寄りのシーンでは本物に近い作りの刀を使用したので、結構な重さを感じました(汗)」


――“天才的”なだけあって、体の一部として刀を操れないといけない?

「そうですね(汗)。そういう理由もあって、購入しました。あとは、撮影期間中は京都にいたので、一日の撮影が終わった後も撮影用の刀を借りて、なるべく触るようにしたり。剣の先生以外にも、東映京都撮影所に長くお仕事をされている方など、いろんな方を師匠と仰いで教えてもらいました」

――ちなみに、沖田総司の剣に掛けて、金井さんご自身で天才的、これは誇れる! というものはありますか?

「誇れることかは分かりませんが、よく周囲から、『みんなと考え方が違う』と言われますね。あまりにも言われ過ぎて、一時期は言われないようにしないと、と思った時期もありましたが、ほかの人が思いつかないことを考えるという意味では、誇れることなのかもしれません(苦笑)。あ、計算が得意です! 合理的な計算。余計なことをするのが苦手かもしれないですし、無駄な時間もあまり好きではなく…。ほかの人のスケジュールを見て、あなたはこれ、あなたはあれ…というように、人に作業を分配するのが好きです。他人の適材適所を見極めるのが得意かもしれません」

――皮肉屋といわれる沖田ですが、いざという時に千鶴を守ったり、物事を俯瞰して見ているので、今のお話からすると、金井さんにピッタリだと思います!

「そうですか(照)? 僕の演じた沖田は、みんなと会話しているけど、頭の中では先の先まで考えていて、その上で、彼なりの発言をしているんです。会話の最終地点を分かっているけど、自ら引っ張っていくことはしない…。近藤(勇/演:田中幸太朗)さんに対しては感情的になってしまいますが、それ以外は、みんなを遠目から見ているのが沖田です。おそらく、自分のことも俯瞰して見られる人なので、格好いいなぁ、って。初めて千鶴に会った時も、「斬っちゃいましょう」と言いましたが、本心では思っていないんですよね。自分がそういう風に言えば、周囲が止めるだろうと、全てを見越しての発言です」


――そういう、「え?」と周囲が思うような発言をするから、皮肉屋といわれるのでしょうか…。かっこいいところを持って行きそうな気もしますが(笑)、インタビューなどで「沖田総司の皮肉屋的要素は、僕にもある」と仰っていた、その真意はずばり!?

「例えば、いいなと思っている人のことを誰かに紹介する時、マイナスというかツッコミどころのある部分を言ってしまうタイプです。僕としては良い意味として捉えてほしいですが、当然ながら、言葉通りに解釈されますよね(涙)。『どうしようもないヤツだから…』は、僕としては『どうしようもなさがいい、面白い!』と伝えたいのに、文字の通りに認識されて、終わり…みたいな(涙)。あとは、文章を書くにしても、全部いいことだけだと偽善だと感じるからスパイスを効かせたりするのですが、曲解されます…(汗)。ブログのタイトルを『駄文』にしているのも、『いいことばかりで埋め尽くしていないですよ~』という、僕なりのアピールです」

――ちなみに、千鶴を演じる若柳琴子さんが紅一点ですが、若柳さんとの撮影エピソードがあれば教えてください。

「僕は、徐々に話していきましたね。撮影当時、彼女は16歳くらいだったと思いますし、急に、30歳近くの男の人から話しかけられても困るじゃないですか(笑)。キャストの年齢層も20歳前後、30歳前後と幅が広かったので、周りのキャストも含め、ちょっとずつ話しながら距離を縮めていきました。面白かったのは、山崎烝を演じている永田(崇人)のことを同級生くらいに思っていたみたいで…。実際は28歳なので、『え? 俺、そんな?』と、崇人は複雑そうでしたが(笑)。あとは、『この人はどう思う?』と、自分以外のキャストについて聞いたり。若柳さんも、ズバッと答えてくれるので、楽しかったですよ」
  

――では最後に、“新選組”と言えばダンダラ羽織ということで、羽織に袖を通した時の思いと、沖田の見どころを含めた今後の物語についてお願いします!

「袖を通した時は、撮影現場でもみんなが『いくぞー!』みたいな気持ちになりましたし、テンションが上がりますよね。敵がどこにいるのか、はたまた敵かどうかも分からないのに『あの池田屋か!』と殺気立つ気持ちです。『これが、この日本を変えた歴史的な日か!』って(笑)。物語としては、新選組の話が軸にありながらも、『薄桜鬼』の魅力が4、5話以降から徐々に見えてきます。史実と異なる部分も含めて、新選組のため、千鶴のために命を懸ける部分など、登場人物が厳しい立場になればなるほど、視聴者の方には面白く感じていただけると思います。つらくなればなるほど応援したくなるし、悲しいけど感動する…、そんな感じでしょうか。沖田に関しては、武士としてもかっこいいですし、人を思う気持ちや命の考え方、集団の中で生きることに対する彼の思いなどが格好いいので、そういう彼の内に秘めた思いに注目してください」
  


  
■Prolife
金井成大(かない・そんで)

1990年5月7日、岩手県盛岡市出身。’10年に舞台、翌年にドラマ初出演を果たす。以降、「BROTHERS CONFLICT」シリーズ、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズなどの舞台を中心に活躍。昨年は、「最愛」(TBS系)、「ボクの殺意が恋をした」(日本テレビ系)、「刑事7人」(テレビ朝日系)など、テレビドラマで活躍の場を広げている。キューブ若手俳優サポーターズクラブ「C.I.A.」のメンバー。

「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」放送情報

WOWOWプライム
毎週金曜 後11:30~
※WOWOWオンデマンドで全話アーカイブ配信あり

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撮影/蓮尾美智子