絶賛放送中のドラマ「正直不動産」。すでに「正直不動産ロス」ですが、そんな時だからこそ、「うさPの正直アフタートーク」第2回をお届けします!
今回も、番組のプロデューサーであるうさPこと宇佐川隆史Pに、ネタバレありの“正直アフタートーク”を披露していただきます。何やら怪しい展開の第5回、そして、後半戦のヒント、PR動画制作の裏側について伺ってきました!
眼鏡やジャージ、○○姿の“ダサかわ永瀬”にも注目です!
――「うさPの正直アフタートーク➀」では、オファーのお話を中心に、第1回や第3回のネタバレを伺いました。制作陣のみなさんの思いが届いているからこそ、「TVガイドみんなドラマ」にも、「毎週火曜日が楽しみです!」と視聴者のみなさんからのコメントが届きます。
「本当に、一番うれしい言葉なのです! 週半ばの大変な火曜日だからこそ、ドラマを見て、『明日も頑張ろう!』と思ってもらいたいですよね。ドラマという枠を超えて、生活を楽しくできないか、と考えながら常に制作しています。『このドラマのために今週も頑張る!』、とみなさんが思うような作品にしたいですし、一緒にみなさんと楽しみたい。そんなに簡単な話ではないと分かっていますが『頑張ればいつか芽が出るかもしれない』、と私たちも自分自身を鼓舞しています」
――正直者になった永瀬も頑張れば芽が出る、と私たちは信じています!
「本音を言ってスッキリして終わる作品はこれまでもたくさんありましたが、その後の尻ぬぐいというか、リカバリーまで描いているのが今作の特徴だと思います。現実世界だと、本音を言ったら後が大変ですよね。それと同じように、永瀬もそこから逃げずに再び立ち上がっていく。そこが、この物語が支持されている理由の一つなのかなと感じています」
――苦労というと、高層マンションから風呂なしアパート住まいになった途端、永瀬のヘアスタイルも一変しましたね(苦笑)。
「監督やスタイリストさんなど、扮装部のこだわりです。あの永瀬に対しても、『かわいいー♡』というみなさんからの反響がめちゃめちゃ大きくて、ガッツポーズでした(笑)」
――眼鏡スタイル一つとっても、眼鏡の中に髪の毛が入っているというちょっとダサい具合が、これまた素敵です!
「ははは、お目が高い(笑)。かわいいだけではダメで、情けなさや頼りない感じ、仕事中の永瀬とは異なるところを見せたい、というシーンでもありますから。監督が、皆さんが見たいものをちゃんと感じ取って、しっかり見せている。なぜかそういうところに、個人的には毎回感動しています(笑)。撮影の途中から、私はPR準備のために現場の立ち合いから離れたりもしたのですが、撮影現場で見ていないシーンについては、『あのシーンは大丈夫かな…』という心配ではなく、むしろ『あのシーンはどうなってるだろう!』と期待というか、視聴者目線でワクワクしていました(笑)。それほど、監督をはじめとする今回の現場チームは、本当に熱意があって、時間がない中でも何か楽しませたいと努力しているので、信頼感しかなかった。撮影現場での努力が決して無駄にならないようにと、チームは今も一丸となって編集に取り組んでますし、私も今こうして必死になってPRしております(笑)」
――まだまだ高層マンションに戻れそうにないので、かわいい永瀬さんなのか、山下さんなのか…、まだまだ見られそうですよね?
「見られると思いますよ、サービスショットです! アパートのシーンで言うと、確か第4話で、足をぶつけて『狭いだろ』とつぶやくシーンがありましたが、あれは山下さんのアイデアだと聞いています。『ここでは遊ぼう』と、面白い案を出してくださったり、何気ないところにも全力を尽くしてくださるのが山下さんです」
――ちなみに、アパート住まいでも筋トレグッズだけは、段ボールから出されていました(笑)
「そうです(笑)。あれだけ(第1話の冒頭参照)永瀬は筋肉があるし、『すぐにまたタワマンに戻ってやる!』と思っているから、(住む場所は堕ちても)筋力は落とさないよな、というところですよね。家が変わってもダンベルだけ出されているというのも、山下さんのアイデアだそうです」
――先ほどPRの話がありましたが、放送以外の日にも動画をアップするなど、様々な仕掛けや工夫で楽しませてもらっております。
「動画制作の数は、当初の構想から倍に増えて、現在は毎週4本公開しています(30秒予告、1分予告、正直ダイジェスト、キリヌキ動画)。反響のお礼やTwitterの反応を見て企画したりと、まさにライブ感覚で増やしているのですが、さすがにちょっと多すぎたでしょうか(笑)。ただ、火曜日以外の日も『次はどんな話だろう』『あのシーンが面白かった』と楽しんでもらいたいので、完成はギリギリですが、最後まで完走したいと思います!」
――その動画のタイトルも、「今日の T.M.Revolution~」など秀逸すぎて笑わずにはいられません!
「あぁ、よかったです、楽しんでもらえて。タイトルは一人で考えてつけているので、おそらく私の趣味し好が丸わかりだろうなと。最近それに気づいて、途端に恥ずかしくなりました。もう遅いですが(汗)」
――公式ホームページの動画ページにあるコメントも、見るたびに変わっているような…?
「よくお気づきで! 初回放送の10日ほど前に『この動画欄のコメント、(プロデューサーが)直接書き込めるようになってる…』と気づいたことから始まりました。ちょうどその頃、初回の編集が間に合うかどうか奮闘していたタイミングだったので、『鋭意編集中』など普段ではお伝えできないことや、山下さんの代名詞である『山Pは人類のキセキ』を入れてみたりして…。すると、気づいた方から『期待しています!』『頑張って間に合わせて!』など、Twitter上でお返事をいただいたのです。その時に、『もしかしたら、この動画欄が一風変わった交信ツールとなるのでは?』とひらめき、また鳥肌が(涙)。それ以来、制作側としての思いをちょっと踏み込んで書いてみたり、タイトルに悩んだ際には思い切って相談してみたりと、皆さんに投げかけております。ただ何分、一人で更新しているので滞ることもあるかと…。その際は、『今日は忙しいんだな』と思って、どうか許してもらえたら嬉しいです(汗)」
――放送以外の部分での、情報量とチャレンジにびっくりです。放送の話に戻りまして(笑)、先ほど放送された第5回では、「社内スパイが桐山だった」とう衝撃の展開で終わりました。なぜ桐山(市原隼人)が?
「桐山という人物はもともと、登坂不動産で成績1位を取って、それを足掛かりにして次のステップに行くという、現実主義者。そこに、目の前で鵤(高橋克典)の車に乗ったという、決定的な事実が加わった。『桐山が、そんな卑怯なことをするはずがない…』とは思いながらも、永瀬は疑わざるを得なかったんですよね…」
――永瀬vs桐山のバトルがもう少し描かれるのかな、と思っていましたが、今後はどうなっていくのですか?
「後半戦は、『登坂不動産VSミネルヴァ不動産』が本格的に始まっていきます。第5話で、ようやく鵤(高橋克典)が出てきますからね。そういう部分も踏まえて、スパイだと言われた桐山が、本当は味方なのか敵なのか、これは今後の物語を左右するところでもあります。むしろ、桐山がスパイだったことで、物語のキーパーソンとなっていくのか…(秘)」
――桐山がキーパーソンですか? 第5話を見た限りでは、敵としか思えません(怒)。
「これからは、桐山の過去も描かれていきます。その過去から、彼がこの仕事に就いている理由も明かされますよ。まさに、『桐山っていったい何者?』。 そんな彼に対峙していく永瀬の言動にも注目です!」
――桐山って何者? 何を考えているかよく分からなくて、嫌なヤツしか思えないのですが…(汗)。
「“ターミネーター”みたいですよね。でも心の中は冷酷なわけではなく、むしろ熱いというのが最高なんですよね(笑)。市原さんは、『すごい』の一言です。演技を見ていても、商談中に一度も瞬きをしていないのじゃないか、なんて思ったほど。あの笑顔や、目を逸らさない感じが、市原さんにしかできない桐山となっていて…。市原さんにお願いできて、本当によかったと思っています」
――確かに、“ターミネーター”のようで隙を与えない感じですよね。そんな桐山も気になるのですが、やはり登坂社長が何者なのかも非常に気になります。永瀬のことを見抜いていますよね?
「草刈(正雄)さんが演じているからこそ、厳しくも永瀬を見守る登坂という存在が、嘘でなく真実になる。登坂と永瀬の関係性も、非常に魅力あるものとなりました。後半では、その関係性も明かされていきます。そもそも、永瀬とはどういう関係なのか。なぜ永瀬は登坂不動産に勤めていて、この会社に対して何を思っているのか。逆もしかりで、登坂社長が永瀬や社員に対して、何を思っているのか、など…。過去にも繋がっていきますし、その過去には、鵤やマダム(大地真央)が絡んでいるのではないかと。いわゆる因縁ですね」
――人間関係が複雑に絡み合っていく、と思っていていいですか??
「登場人物のセリフや行動の一つ一つが、後半では色々と繋がっていきます。何十年と時代がさかのぼることもあり、それはまるで、バブル時代からの不動産業界を描く“大河ドラマ”とも言えるのかもしれません。長く続く不動産業界に携わっている人々の物語も描いています」
――となると…、登坂社長、マダム、鵤さん、やっぱりこの3人は何かありますね?
「あ…り…ます…ね(弱風)。ここまで匂わせて何もないというのも面白いですが、今回は王道で、ちゃんと何かあります(汗)。ちなみにマダムを演じる大地さんのキャスティングは、満場一致でした。謎を秘めていて妖艶で、となると大地さんしか考えられなかったですよね。これまた大地さんが台本をお気に召してくださり、撮影現場でも『面白い!』とよく仰っていたと(笑)」
――永瀬をはじめ周囲の人間のことを見抜いている気がして、単なる大地主のマダムというだけではなさそうです。
「そうです。むしろ、大地主の顧客だからこそ見えているものがあると思います。不動産業って長く続けば続くほど、人間関係も深く繋がっていくのだと思います。今回は、それにプラスして根本(ノンジ)さんの脚本が光っていますからね。とにかく毎回毎回、初稿が来るのが楽しみでしょうがなかったのです。誰よりも最初に、この面白さを知ることができる、そして一緒に、『さらに面白くするには…?」と考えていく。プロデューサーとして、これ以上ない幸せですよね。脚本家の根本さん、このドラマに誘ってくれた黒沢、山本の両統括には感謝しかありません」
――後半戦は、登坂社長、マダム、鵤にも注目していきます。最後に、大河部長(長谷川忍)がよく言っていた「1位じゃなきゃ意味がない!」に掛けて、うさPが思う「『正直不動産』はこれが1位!」と思うことは何ですか?
「真面目な話になってもいいですか? 『ドラマを見た人が元気になるように』とは制作者の間でよく言われる言葉なのですが、それをとことん突き詰めたらどうなるだろう…。この問いに、最良のキャストとスタッフで、全力で答えたのが今作だと思います。だからこそ『毎週火曜日、このために仕事を頑張っています』という声を聞いた時、本当に涙が出ました(涙)。次の火曜日を待ってくれている方々が、さらに楽しい気持ちになるように、お楽しみ動画も試行錯誤しながら作っています。知的好奇心に満ち溢れた原作、根本ノンジさんの超エンタメの脚本、小田和正さんの主題歌、佐橋俊彦さんのテーマ曲。どれも素晴らしくてテンションが上がりますよね。そして、前回のアフタートークでも少しお話しした『頑張れ正直者!』の言葉は、実はみなさんに向けたメッセージでもあります。今を一生懸命生きている人は、みんな正直者。そんなみなさんを私たちは応援しています!」
――ありがとうございました。正直者の永瀬が、第6話以降どう描かれて行くのか、第1話のような強風も期待してしまいますが、彼の成長も見守っていきます! 次回は、最終話(第10話)後の「うさPの正直アフタートーク」でお会いしましょう!!
■お話しを聞いたのは…
宇佐川隆史(うさがわ・たかし)プロデューサー
’02年、NHK入局。大河ドラマ「龍馬伝」(’10年)からドラマ部へ。演出として、連続テレビ小説「半分、青い。」(’18年)、「“くたばれ”坊ちゃん」(’16年)、「4号警備」(’17年)など。プロデューサーとしては「うつ病九段」(’20年)や「家出娘」(’22年)を担当。現在は、ドラマ10「正直不動産」のプロデューサーを務めている。山下さんと一緒に仕事をすることになり、「うさP」と呼ばれていることを必死に隠そうとしたが、無駄だったそう…。
「正直不動産」放送情報
NHK総合
毎週火曜 後10:00~