津田健次郎「穴には…入りたくないですね(笑)」――『滅相も無い』インタビュー

2024/05/14 17:05

次世代の演劇界と映像界を牽引する存在として注目を集める異才・加藤拓也が、脚本・演出を担当するドラマ「滅相も無い」(MBS/TBSドラマイズムにて毎週火曜深夜放送中)。突然日本各地に現れた「穴」に入ることを決意した人々が、「穴」に入る前に語り残しておきたい「自分」とは? 中川大志、染谷将太、上白石萌歌、窪田正孝、堤真一ら豪華キャストの出演も話題の本作で、ナレーションを務める津田健次郎が、物語の不思議さを語ります。
 

“分かりやすさ”ばかりが重要視されがちなエンターテインメント界に、風穴を開ける作品になるかもしれませんね


――どこにつながっているか分からない「穴」が出現した世界というSFチックな設定の中で、人間の哀れさやおかしみを描いていく独特の読後感を持つ作品ですが、脚本を読んだご感想から聞かせてください。

「脚本を一読しただけで、他にはないような面白さと不思議な味わいを感じました。こういう脚本をテレビドラマで放送しようという制作陣の勢いに感動を覚えましたし、チャレンジングなことをやろうとしている現場に呼んでいただけたことに感謝しました」

――ナレーションのトーンについては、どのように決めていったのですか?

「基本は淡々とした語り口がいいのかな、という僕なりの考えを持ちながら、まずは監督とご相談しようと思って現場に入りました。現場では特に監督から指示などはなく、テストで入れた声を『その感じで』と言っていただいて、スムーズに収録が進んだ感じです。画面で起きていることに多少は寄り添う場面もありましたが、基本的には一定の距離を保つことを意識して臨みました」

――加藤監督にはどのような印象を持たれましたか?

「監督とは初めてご一緒したのですが、ものすごく飄々とした落ち着いた雰囲気の方だなと思いました。静かで淡々としているのですが、冷たいわけではなく、きちんと愛情があるのは伝わってきて。今回はナレーションとしての参加でしたが、また機会があったらぜひ役者としてもご一緒してみたいです」

――映像をご覧になって、脚本から印象が変わった部分はありましたか?

「紙芝居的なアニメーションが入っていたりとか、回想シーンでは舞台的な手法で物語が進んだりとか。こう表現するのか! と驚きました。僕がナレーションを入れる段階では、まだ『穴』の形状は見られなかったので、放送でグロテクスさにまたまた驚かされてしまいました」

――お気に入りのエピソードをひとつ挙げるとしたら?

「染谷将太さん演じる菅谷くんのエピソード(2話)は、切なかったですね。初恋の相手と何度も再会するんだけど、その距離感がリアルでしたし、彼が穴に入らないという決断をしたという結末も『なるほど』と唸らされました。他の登場人物も、みんな『普通』で親近感を持ちやすいと感じました」

――ナレーションとして全話を俯瞰してご覧になった津田さんにとって、「穴」とは何でしょう?

「人間の心に空いた穴が具現化したもの。あるいは、社会の歪みのようなものから生じた穴だと考えるのが、分かりやすいのかなと思いました。ただ加藤さんは、まったく違う捉え方を用意しているかもしれないし、何も用意していないのかもしれない。『穴』の受け止め方はみなさん違っていいと思いますし、全話見た後に1話から見直してみたら、また違って見えるのかもしれないなとも感じています」

――視聴者が考察を展開する前提で、脚本側が伏線を仕掛けて回収していくことが当たり前になっている今、答えを出さないまま話を進めるのは非常に挑戦的ですよね。

「僕はヨーロッパの監督の不条理系な映画を観る機会が多いので、ハッキリした定義がない作品も楽しめるタイプなのですが、確かに“分かりやすさ”ばかりが重要視されがちなエンターテインメント界に、風穴を開ける作品になるかもしれませんね。加藤さんにその意図があったかどうかは、僕には分からないですけれども。『穴』というのはフックでしかなくて、そこから人間の興味深い本性が浮かび上がっていく。僕としてはだんだん『穴』が現れた理由はどうでもよくなっていって、人間の面白さに興味を持って見終えました」

――ちなみに津田さんは「穴」があったら入りますか?

「入りたくはないですね(笑)。登場人物たちは自分の物語をこちらの世界に残していきますが、僕はそれも残していきたくないです」

――なるほど。では最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

「他にはない独自の世界を作り出している作品なので、まずは1回、見ていただけたら。そして最後までご覧いただいた暁には、どんなことを感じたか、周りの人と話し合ってみてほしいです。僕もみなさんがどうやってこの作品を受け止めたのか、ぜひ聞いてみたいです」
 

■プロフィール
津田健次郎(つだ・けんじろう)
6月11日生まれ、大阪府出身。血液型O型。アニメ、洋画吹替、ナレーターなどの声優業、舞台や映像の俳優業を中心に、映像監督や作品プロデュースなど幅広く活動している。アニメの出演は「呪術廻戦」の七海建人役、洋画吹替は「スター・ウォーズ」シリーズのカイロ・レン役など多数。連続テレビ小説「エール」(’20年/NHK総合)で語りを務めたほか、俳優としてドラマ「最愛」(’21年/TBS系)、「グレイトギフト」(’24年/テレビ朝日系)、ドラマ10「大奥」Season2(’23年/NHK総合)などに出演。

「滅相も無い」放送情報

MBS 毎週(火)深0:59~
TBS 毎週(火)深1:28~
※MBS動画イズム、TVer、Netflixでも配信中

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撮影/尾崎篤志 取材・文/須藤美紀