上杉柊平が語る遥人さまの魅力「今は俺様発言も違和感ないです(笑)」 ――ドラマ「マル秘の密子さん」インタビュー

2024/09/06 17:05

同族経営の大企業を舞台に、依頼者を必ず成功させる謎多きトータルコーディネーター(福原遥)が、社長のヘルパーだった女性(松雪泰子)とタッグを組んで、経営者一族と次期社長の座を争う物語を、ファンタジックな映像美で描き評判を呼んでいるドラマ「マル秘の密子さん」。物語は後半に突入し、後継者争いもいよいよクライマックス! そこで、九条開発の次期社長候補の筆頭である、九条家の長男・遥人を演じる上杉柊平さんに直撃インタビュー。実は天然な(?)遥人のキャラクターや俳優・上杉柊平の現在地について、存分に語っていただきました!

衣装もセットも、細かいところまでこだわったダークファンタジー

――上杉さんの今日の衣装ですが、ドラマの前半に九条遥人が着ていた派手なスーツとはだいぶ印象が変わりましたね。

「今回のドラマでは、ビジュアルでの説得力もちゃんと衣装で見せてくださっているんです。派手な服は前半で見せていた遥人のキャラクターだったんですが、撮影が終盤にかかってくる中で、遥人の立ち位置や心の変化によって少し色が落ち着いて来ているんです。社長候補として説得力のあるものを着るようになってきたというか、成功者の感じというか。ただその中でも、序盤から引き継いでいる遥人っぽさみたいな首元の遊びがあったりするので、毎回衣装は楽しいです。何個か借りてきていただいているものの中から、“どれがいいと思う?”みたいな話をしながら、シーンの心情に合わせて考えるのがすごくおもしろいですね」


――福原遥さんが演じる密子が言うように、「見た目が変われば人は変わる」ですね。

「自分の気に入った環境だったり、心地いい状態で居られることでポジティブなエネルギーが生まれると思うので、洋服もその道具のひとつなのかなと思いますね」


――このドラマには、社長の座を争うドロドロの駆け引きもありますが、全体的にファンタジックな雰囲気に包まれる不思議な世界感がありますね。

「ウェス・アンダーソン監督っていらっしゃるじゃないですか。僕も結構好きなんですけど、美術でもそこを意識しているというのを最初の段階から伺っていました。ダークファンタジーというか、細かいセットや衣装も、その方向でここまで力を入れている作品もないと思うのでおもしろいですね。今までそういう現場に立ったことがなかったので馴染むのに時間がかかりましたけど、こういう世界で演じられる機会があるのはすごく楽しいです」


――ウェス・アンダーソン監督の世界と伺って、いろんなことが腑に落ちました。

「画がシンメトリーになっていたり、キャラクターが結構しゃべるけど動かないとか、不思議な世界観は僕も好きですね」

上杉柊平インタビュー特写①
上杉柊平インタビュー特写②

TikTokでもネタにされていますけど、僕は「遥人は本気でこういうことを言える人」と、なり切っています!

――九条遥人という人物についてはどのように思われていますか?

「最初は、彼が何に悩んでいるのか想像が付かなくて、どう演じようかすごく悩みました。それでプロデューサーさんや監督さんたちとお話しして、遥人が育ってきた環境を掘り下げていく中でちょっとずつ理解していって、今に至っている感じです」


――遥人は、秘書の千秋(桜井日奈子)の強烈な推しに全然気付かなかったり、密子に洋服をコーディネイトさせたとき、試着しながら、「何を着ても似合う」と自分で言ってしまったり、愛すべき天然なところもありますね。

「それって最近ネタにされているんですよね(笑)。TikTokになっていたりするんですけど、僕がそれをネタだと思うとやれなくなっちゃうから、毎回台本を読むたびに、“遥人はそういうことを本気で言えちゃう人だ”って納得するようにしていたんです。でも最近は、違和感もなくて。俺様っぽい発言があっても何も引っかからなくなりました(笑)」


――上杉さんに似合っているからではないですか?

「そうなんですかねぇ(笑)。でも、テストで言った後に、“そのセリフすごいね”って周りから言われて、確かにヤバいなって気付くことはあったりしますけど(笑)」


――そんな遥人も、話が進むにつれて窮地に立たされますが、なぜかそこまで腹黒い人とは思えない不思議なキャラクターですよね。

「お客さんは自然と密子目線で見ると思うので、九条家が悪く映ると思いますけど、九条家は九条家で守らなきゃいけないものがあるから必死で。九条家の中でも遥人が一番その思いが強いという位置付けで僕は考えているんです。だから僕から見ると密子さんは悪い人で、彼女によって引き起こされるアブノーマルな出来事に必死で対応しようとしているっていう。そのドタバタの中で、次期社長と言われる人間が翻弄されていく様がおもしろく映るんじゃないかなと思っています」

遥人にとって、この人だったら自分の思いを吐露できるかも、と思った相手が密子さん

――女性陣はベテランぞろいですが、小柳ルミ子さん、松雪泰子さん、渡辺真起子さんらが勢ぞろいする会議のシーンなど、迫力がすごいですね。

「最初は確かにすごいなって感じたんですけど、良くも悪くも慣れてしまって。それに、松雪さんも、小柳さんも、渡辺さんも、みなさん本当に素敵な方で、コミュニケーションもたくさんとってくださるんです。小柳さんはサッカーがお好きなんですけど、ちょうどオリンピックやユーロ(欧州選手権)をやっていたので、サッカーの話をしたりとか。みなさんすごく気さくに接してくださって、率先して緊張感を取り除いてくださった感じがしますね。渡辺さんが現場で声を大にして、“ここはこうした方がいいんじゃないの”と言ってくださることで、“いいシーンを作らなきゃな”っていう空気を作ってくださったり、松雪さんは、言葉にできないような感情を表情ひとつで表してくださったり、やっぱり経験ってすごいなと感じます。福原遥さんとは以前も共演させていただいたんですけど、ここまで言葉でやり取りをしたり、お互いに譲れないものをぶつけ合うみたいなお芝居は初めてなのでおもしろいです」

――遥人と密子さんには、ちょっと恋の予感も感じますが…。

「この人にだったら自分の思いを吐露してもいいかも、と思う人が密子だったのかなっていうシーンがあって、ずっと抱えていたものが出ちゃう瞬間みたいな、そういう環境を作ってくれたのが密子だったっていうことですよね。でも、心を許したわけではないと思うんです。多分、遥人の中では誰にも許さないことがあるんだけど、密子だから自分の心情を言えたっていう。まあ、密子は全員にそういうことをやっているので、遥人もまんまとやられたというか(笑)、あれがトータルコーディネートなんだろうなっていう。密子の施術を受けた感じですよね。遥人としても、自分が変わらなきゃいけないことにずっと気づいていたんですよ。それを言葉にしたことで、変わっていくきっかけになるのが7話なのかなと思います」

――そう思うと、遥人って一番孤独なキャラクターだったんですね。

「孤独だと思います。真の味方が誰もいないみたいな。自分を見ている人の目は、遥人を通り抜けて後ろの会社を見ているんだろうなって。自分のことを誰も見ていないっていう感覚を持つことは序盤の頃から決めていました」


――そういう生々しい部分がファンタジックな世界に包まれていることで、楽しくも見られるし、考えても見られる。

「いろんな要素があるし、いろんな楽しみ方ができる作品だと思います」

上杉柊平インタビュー特写④
上杉柊平インタビュー特写⑤

先のことを聞けるのは一つ一つの犯人役だけ。撮影現場でも最後の黒幕探しが巻き起こっています

――全10話と伺っていますが、7話以降の流れ、結末はご存じですか?

「それが全然知らなくて、一個一個犯人が出てくる感じなんです。それも、それぞれご本人にしか聞かされていないので、本ができて、読ませていただいて、“お前だったのか!”みたいな(笑)。早く現場に行って、あいつに“お前か”って言いに行きたいっていうのが結構あっておもしろいです。だから台本ができるのが毎回楽しみですし、自分がどうなるのかも聞かないようにしています」


――みなさんも視聴者と同じ目線で、「誰なんだろう?」っていうのを楽しみにされているんですね。

「現場でも“あなたじゃないの?”とか、すごい議論が起きてますよ(笑)。“そういえばさっきの言動も…”とか、“動機なんて後から何でも付けられるでしょ”みたいな(笑)。でも、その中に絶対知ってる人がいると思うので、この場は笑ってるけど心の中では違うとか思ってるんだろうなって思いながら僕はずっと見てます」


――遥人ではない気がしませんか? 黒幕はほかにいるのではと。

「僕もそう思うんですけど、“実は…”って明日呼び出されたりして。でも、闇落ち終わりもいいかな。後味の悪い話って結構好きなんですよ」


――スタッフさんが、上杉さんは黙っていられなさそうだから、知らされていないのでは、と言ってます(笑)。

「あははは、確かに僕って顔に出ちゃいますから。“あなたでしょ”って言われたら隠せなさそう。“すいません、嘘付けないから、言っちゃいました”って、みんなが知ってしまうという(笑)。だから僕も本を見て知ればいいと思ってます。今後どうなるか分かりませんが、今はとにかく、父親から受け継いだ会社を自分がちゃんと守りたいっていう、まっすぐな気持ちではいます」

上杉柊平インタビュー特写⑥

大きな役を頂けるようになって、もっとたくさんの人に見てもらいたい、もっといい作品をという気持ちも大きくなった

――上杉さんは、この1年でも、「18/40~ふたりなら夢も恋も」「ワンルームエンジェル」「ミス・ターゲット」と印象深い役柄での作品が続いていますが、役者としての意識の変化はありましたか?

「特には変わらないですね。気づいたら1年、2年経ってたぐらいで。意識というか、作品ごとの向き合い方とか、こういう役をやりたい、こういう映画に出たいみたいなことも、多分、二十歳ぐらいから変わってないです。ただ、俳優じゃなくてもいいと思っていた気持ちは減ったかもしれないですね。他に好きなことができたら、いつだって俺は好きなことを追いかけると思っていたし、他にやりたいことがあるならそっちをやった方がいいって、今でも思ってはいるんですけど、納得できるところまでやりたいなと思うようにはなってるかもしれない。でも、納得できるところって多分ないから、一生続くんだろうなと思うし、俺は納得することはないんだろうなっていうのは年々分かってきましたね」


――やりたい役、やりたい作品は具体的にあったりするんですか?

「誰々監督の作品に出たいとかではなく、すっごいニュアンスなので漠然としてるんですけど、やりたいことは徐々に叶ってきていると思います。実績として、いい番手の作品をいただけるようになったということは、責任も伴うと思うし、脚本や演出だけじゃなく役者にも全員責任があって、それによって作品が良くなるかどうかの割合が変わってくると思うんです。ただ、その責任を、僕は背負わなくていいと思ってるんです。責任はあるけど、責任があろうがなかろうが、お芝居をやることは同じだから、考えなくてもいい仕事だと思っておかないと、しんどくなってくるので。とはいえそれを、“自分は責任ないので”ってやっちゃうのは違うと思うので、心の奥底で、そういう風に思っておかないといけないよねっていう」

上杉柊平インタビュー特写⑦

――責任を感じすぎることで、表現者としての自由度を抑えてしまうこともあるかもしれないと。

「そうですね。それでギュッとなってしまうとお芝居もできなくなっちゃうよねって思うんです。ただ、自分がやる作品をもっといろんな人に見てもらいたい、もっといいと思ってもらいたいっていう気持ちはこの1、2年でどんどん増えているので、それを責任と言うなら、やっぱり増えていることなのかもしれないです」

上杉柊平インタニュー特写 プロフィール用写真

■Profile
上杉柊平(うえすぎ・しゅうへい)
1992年5月18日生まれ。東京都出身。2015年、「ホテルコンシェルジュ」(TBS)にて俳優デビュー。以降、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(’16年/NHK)、大河ドラマ「麒麟がくる」(’22年/NHK)、「18/40~二人なら夢も恋も~」(’23年/TBS)、「ミス・ターゲット」(’24年/ABCテレビ)など多数のドラマに出演。10月25日に出演映画「八犬伝」が公開。

■エピソード「上杉柊平さんの推しドラマ」
母が木村拓哉さんが好きで、「Beautiful Life ~ふたりでいた日々~」(’00年/TBS)は見ていました。それ以外も、木村拓哉さんが出演するドラマは家でずっとかかっていた気がします。でも、あんまり家に居なかった子なので、高校生ぐらいからほとんどドラマは見ていなくて。記憶に残っているのは小中の頃に見ていた、「池袋ウエストゲートパーク」(’00年/TBS)とか、「タイガー&ドラゴン」(’05年/TBS)とか。その後に見たドラマでは、「ラスト・フレンズ」(’08年/フジテレビ)が好きでした。性同一性障害とか、DVとか、あの時のあのテーマの扱い方が衝撃的で、ああいう群像劇をやりたいってずっと思っていました。

あと、僕たち世代よりちょっと前なんですけど、みんなで見て「カッコイイね」って言ってたのは「ビーチボーイズ」(’97年/フジテレビ)。「反町(隆史)カッコイイ! 竹野内(豊)カッコイイ!」って呼び捨てでガンガン言ってました。今は絶対そんな呼び方はできませんけど(笑)。当時は「どっち派?」みたいなのが流行っていて、僕は竹野内さん派でしたけど、大人になると反町さんがカッコイイなって。ほかには「オレンジデイズ」(’04年/TBS)も良かったし、深田さんと金城武さんの「神様、もう少しだけ」(’98年/フジテレビ)とかも良かった。あの頃の金城さんって本当にカッコイイんですよ。映画だけど、金城さんが出演していたウォン・カーウァイ監督の作品も大好きです。海外ドラマは「フレンズ」(’94~’04年/米国)が好きで、もう3周ぐらい見てます。英語をめっちゃ覚えられるので、オーストラリアでも見ていたし、今も英語のメンテナンスになるんですよ。

マル秘の密子さんメインビジュアル

「マル秘の密子さん」放送情報

日本テレビ系
毎週土曜 午後10:00~
TVerで最新話を無料配信、過去のエピソードはHuluで配信中

上杉柊平さんサイン入りチェキを2名様にプレゼント!

■応募方法
下記応募フォームに必要事項を記入の上、お申し込みください。厳正なる抽選のうえ、当選された2名様に「みんなドラマ運営事務局」からご連絡(メール)を差し上げ、送付に必要な情報をお伺いします。

■応募期間:2024年9月6日(金)後5:00 ~ 2024年9月20日(火)後4:59まで

■注意事項
※当選のご連絡は、9月下旬頃にさせていただきます。この連絡をもって当選者の発表と代えさせていただきます。
※ご当選者さまの住所、転居先不明・長期不在などにより賞品をお届けできない場合には、当選を無効とさせていただきます。
※当選で獲得された権利・賞品を第三者へ譲渡、または換金することはできません。
※賞品をオークションに出品する等の転売行為は禁止致します。また転売を目的としたご応募もご遠慮ください。これらの行為(転売を試みる行為を含みます)が発覚した場合、当選を取り消させていただくことがございます。賞品の転売により何らかのトラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いませんので、予めご了承ください。
※抽選、抽選結果に関するお問い合わせにはお答えできませんので予めご了承ください。
※いただいた個人情報はプレゼントの抽選、当選者へのご連絡以外には使用しません。

2018年に発売されたファースト写真集「Deja-Vu」も好評発売中!

フォトグラファー・小浪次郎と上杉柊平が冬のNYを舞台にセッション。撮影スケジュールから場所、衣装の組み合わせまで、すべて現地の空気を感じて決めた3日間のフォトセッションが納められた“伝説の写真集”も発売中!

商品名:上杉柊平写真集「Deja-Vu」
発行:東京ニュース通信社
定価:3,300円(本体3000円)



撮影/蓮尾美智子  取材・文/幸野敦子