「海のはじまり」「くるり~」…ドラマ撮影協力が増えた理由を東急電鉄に直撃

2024/12/17 17:05

この夏、ドラマに東急大井町線の駅が立て続けに出てきました。「くるり~誰が私と恋をした?~」(TBS系)では尾山台駅が、そして「海のはじまり」(フジテレビ系)では九品仏駅が。考えてみると近年駅の改札やホームのシーンが登場するドラマが増えているような気も…。ということで今回は実際に鉄道会社を直撃して、ロケ撮影に協力している意図やご苦労などを伺いました。

お話を伺ったのは、東急株式会社社長室広報グループ報道担当の篠崎桃子さんと東急電鉄株式会社広報・マーケティング部広報CS課主事の平林利之さんです。

弥生(有村架純)が電車から降りる場面は、万全の体制で撮影!

――今日はよろしくお願いします。篠崎さんは本社の広報ということですから、依頼はロケのお仕事だけではないですよね?

篠崎「そうですね、それ以外にも取材の依頼ですとかいろいろ」

――撮影をしたいという依頼の数は多いですか?

篠崎「多いですね。ドラマ撮影に関しては、特に今年の春~夏にかけて『くるり~』と『海のはじまり』が連続していましたから」

――依頼というのは、急に来るものなんでしょうか。

篠崎「そうですね。ギリギリなことも多いです。来週撮りたいですとか」

――それは急ですね!

篠崎「はい。ただそれも作品によって違っていて『海のはじまり』はだいぶ早い段階でお話を頂戴して、まだドラマの構想段階で一度制作の方と打ち合わせを行いました。監督からぜひ東急沿線を舞台にしたいんですというお話をいただいて」

「海のはじまり」で登場した九品仏駅

――風間監督、熱心な方ですもんね。

篠崎「実際はドラマの構想が具体的に進んでいく中で、海をメインの舞台とした作品になったんですけど、ヒロインの有村架純さんの住んでいる場所としてぜひ九品仏をというお話をいただいたので、約1か月間制作の方と密に連携しながら調整を進め、いざ撮影、という流れでした」

――具体的な撮影のご苦労などはありましたか。

篠崎「この作品でいえば九品仏ってすごく小さな駅で、ホームもあまり幅がないですし、改札機も3台で狭いので、やっぱり撮影中はお客さまのご利用が妨げられてしまうので、そこは事前に撮影は何時から何時までとお伝えをして、タイムスケジュールもかなり詳細に事前に組んで。制作側の方にもすごく協力をいただきました」

撮影に使われた九品仏駅ホーム

――結構時間かかるんですか?

篠崎「改札から出てくるだけのシーンとかですと、ほんとに30分、1時間とかで終わるんですけど、今回は有村架純さんが電車から降りるところを駅のホームでカメラが待ち構えて撮るという難易度が高いシーンがあったので。本番は一発勝負なんですけど、その前に代役の方でリハーサルをして、というようなことも含めて2時間ほどかかりました」

――運行している中で撮るんですもんね。

平林「他のお客さまにご迷惑をおかけしないこと、列車の運行に影響がないかなど、こちらから撮影に関して条件を出させていただくこともあります。今回はできるだけお客さまの利用が少ない休日の夜に撮影をお願いしました。列車もリハーサル含めて3本だけということで計画しました」

――大変ですね~。それは前の駅から乗ってくるということですよね?

篠崎「まず始発の大井町駅からエキストラさんに乗車いただいて…」

――あ、乗客の方は全員エキストラさん?

篠崎「全員ではないです。有村さんが降りる号車とドアを事前に決めておいて、その周辺の映りそうなところに立っていただく感じですね」

――すごいなあ。結構短いシーンだった気がしたけど…。お二人は毎回立ち会われるわけですよね。

篠崎「はい。駅構内での撮影は必ず広報が立ち会います」

「くるり~」では尾山台がヒロインが住む街に

協力はすべて無償!コロナ禍を機に「沿線を盛り上げたい」

――ドラマ以外にもバラエティーでの協力依頼も多いですか。

篠崎「そうですね。多くいただいております」

――『アド街ック天国』とかしょっちゅう出てきますよね。

平林「多いですね。嬉しいことに」

――それもすべて立ち会うんですよね。

平林「街ロケの時は先にご希望を伺うことが多いですね。それで1回ロケハンに行って、こういう形でこうなら撮れますよというようなことで。車庫とかですと現場の社員にも来てもらって。いろいろな車両を見せたいというご希望なら、この日なら揃いますということで、車両の順番を入れ替えて並べたり」

元住吉駅の車庫

――協力体制がスゴイですね。

篠崎「そうですね。じつは当社は撮影協力をすべて無償でさせていただいておりまして」

――全部無償なんですか!

篠崎「そうなんです」

――…そうなんですか。ロケーションサービスの会社をお作りになっている電鉄さんもあるなかで、広報が窓口になっているというのはそういうことなんですね。

篠崎「はい。よく驚かれます。何回も確認されます」

――(笑)そうだと思います。

篠崎「先ほど申し上げたように撮影には立ち会いが必要ですし、広報の人数も限られているので、数多くご依頼をいただく中ですべてをお受けできるわけではないんです。やはり駅や沿線のPRにつながるかどうかを判断基準にしていて」

平林「それに対して、現場も含め協力していこうということです。さっきの車庫の話でも現場の助役が全部立ち会いますし、車両を並べ替えるのもそれなりに労力がかかりますが、やっぱりみんなで盛り上げていこうということですね。少しずつ種をまいて、そういう姿勢がだんだんと全社的に理解されてきています」

――沿線のイメージ、ひいては東急全体のイメージを上げることが、こうしたロケーション協力を推進しているひとつの目標ということになるんでしょうか。

篠崎「そうですね。街や駅の魅力を知ってもらうということもそうですし、やっぱりドラマに出ると聖地巡礼のような形で遊びに来てくださる方もいらっしゃるので」

「西園寺さんは家事をしない」の舞台となった二子玉川

――そうか、直接的に乗客が増えるんだ。

篠崎「放送当日のSNSでは、これ九品仏だよね、とか、最近大井町線多いよね、とか(笑)、そういった声が想像以上にありました。住んでいる方も喜んでくださいますし」

――確かに知っているところが出てくると嬉しいですよね。

平林「ある時期までは鉄道も、複々線にしてとか、路線を伸ばしてとか、沿線にどれだけ施設を増やすかというようなインフラ整備や再開発といった視点で、会社のイメージ作りやブランディングを考えていたと思うんです。それが一段落して、今あるものを有効に使っていこうと」

複々線化工事が行われる東横線多摩川橋梁(1994年)

――なるほど。撮影協力に積極的に取り組もうというきっかけのようなものはあったんでしょうか?

篠崎「他社さんのケースで、ドラマの舞台になってたくさんの方が訪れて街がすごくにぎわったという事例を見たっていうのもありますが、やはりコロナ禍で鉄道がすごく落ち込んでしまった時期に、何とかして盛り上げたいというような思いもありましたね」

平林「全社的な広がりということではコロナ禍は大きかったですね。コロナ禍を契機に駅とか現場も、みんなで盛り上げていかなければいけないと」

――危機感のような。

平林「のるるん(東急電鉄のキャラクター)を個別に駅ごとのデザインで出したり」

――そんなのがあるんですか?

平林「はい。それで投票をやってどこののるるんが1位だったとか」

――洋服を変えるんですか?

平林「はい、洋服を変えて。季節によって変えている駅もあります」

篠崎「制服着せ替えセットも公式サイトで発売しています(笑)」

着せ替えセット(駅長&作業服)

東急沿線ならではの街の雰囲気が強み。まだまだおすすめの駅も!

――ドラマのロケ協力ということで、他の電鉄さんと比べて東急沿線の差別化ポイントのようなものはありますか?

篠崎「あくまでご依頼いただいている中での印象なのですが、当社の沿線の街の雰囲気を気に入っていただいて東急線で撮りたいという声が多くて。『くるり~』の尾山台も、主人公は仕事を頑張っているOLの女性なんですけど、商店街もありつつ落ち着いていて、ちょっと高級感もある、そんな尾山台のイメージが主人公のキャラクターに合っていると判断いただいた。そういう街の雰囲気が当社の強みなのかなと」

尾山台駅前の街並み

――大井町線ってそうですよね。下町風情もあるけれども東急ならではの空気感がちゃんとある。

篠崎「メディアの方とお話しした時に、大井町線、最近ドラマによく出てるよねという声をいただくので。いい作品と駅がうまくマッチして、いい循環になれば嬉しいです」

――最後に、お二人からロケにおすすめの駅とかありますか?

平林「最近リニューアルした池上線の戸越銀座、長原、旗の台といった駅は、もともと木を使っていたんですけど、リニューアルしてよりウッディになったのでおススメです。あと僕は二子玉川駅の出身なので、思い入れがありますね」

戸越銀座の新しい木造駅舎
木造屋根が美しいホーム(戸越銀座)

篠崎「わたしは世田谷線ですね。世田谷線にしかない独特のあたたかくてローカルな雰囲気が大好きで。全編成で車体の色が全部違うのもおススメです。招き猫のラッピング電車もありますよ」

――世田谷線、最近お客さん多いですよね。

篠崎「最近インバウンドの方も多いんです。住宅地の風景が人気なのと、やっぱり招き猫が可愛いとの声を多くいただきます」

招き猫のラッピング電車

――世田谷線の車内は撮影のハードル高そうですね。

篠崎「そうですね。車両貸し切りは有料でできるんですけど、ダイヤ調整が必要なので、お早めにお話を頂けると嬉しいです!(笑)」

――ご依頼はお早めにということで。今日はありがとうございました。
 
 
 

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■応募期間:12月17日(火)17:00 ~ 12月31日(火)16:59
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取材・文/武内朗 画像提供/東急電鉄株式会社