福士蒼汰✕遊川和彦スペシャル対談レビュー②

2024/05/01 16:04

アラサー男女7人の“アイ”の物語を、名手・遊川和彦が書き下ろした「アイのない恋人たち」(ABCテレビ・テレビ朝日系にて2024年1~3月クール放送)。このドラマにおいて33歳の売れない脚本家・久米真和を演じた福士蒼汰と、自身の若き頃をシナリオの久米真和に投影させたと語る遊川和彦。今回初タッグとなったお二人が、作品についてじっくり語るスペシャル対談から美味しいトコロを抜粋して2回にわたりご紹介。第2回はドラマの結末について語り合います。
 


まさかまさかではありましたよ。
こんなに全員が幸せになるんだと(笑)


――当初から、最終回の結末は予想できましたか。

遊川 よく最初から結末が分かって書いたという脚本家がいますけど、それは絶対ないですよ。五里霧中で書いてて、少しずつ霧が晴れてくる。最初から分かってたら面白くない。そういう意味では、今回とても面白かった。とりわけ愛ちゃんは、だんだん晴れてきた感じがしました。

福士 僕は真和と愛が結ばれることはないと思ってました。

遊川 別れ方が難しいとは思ってましたね。だから好きですよ、最終回の2人の別れのシーン。素晴らしかった。

福士 結末とか僕は想像してなかったです。この話は何かを成功させるとかではないから、その関係性もどうなろうが、人間の成長は描かれる。結ばれても結ばれなくても、それは描かれると思ってました。でも、まさかまさかではありましたよ。こんなに全員が幸せになるんだと(笑)。

遊川 最終的にはちゃんと自分の居場所は見つかってほしいとは思ってました。最後にみんな「ここにいる」と言ったのは、自分の居場所が見つかったよっていう表現です。演じる方は難しいと思うんですよ。なんで急に「ここにいる」って言うんだって(笑)。

福士 僕は納得してました。

遊川 この仕事をして、福士蒼汰がどんどん芝居がうまくなっている理由が分かった。日々努力して、鍛錬してるんだよね。たぶんイメージでいうと僕とは真逆だけど、クールなところとか、共通点もちゃんとあった。僕は嫉妬しつつ、真和を演じてもらったことを感謝してます。

福士 僕はどんな難しい脚本でも自分ができる範囲を広げればいいと思ってます。試されてそれをクリアしていくと、自分は表現者としても能力が上がるかなと。

遊川 やっぱりうまくなる理由が分かった。

福士 ありがとうございます。歳を取った真和の物語も見てみたいですね。脚本、よろしくお願いします(笑)。

(「アイのない恋人たち 公式シナリオブック」より抜粋・再構成)


■Profile

福士蒼汰(ふくし・そうた)
1993年5月30日生まれ、東京都出身。2011年デビュー以来、数々のドラマ、映画、舞台で幅広く活躍。昨年はHulu「THE HEAD Season2」にて、念願の海外進出を果たした。ドラマ「大奥」(’23年/NHK総合)では、Season1,2に別の役で出演し、大きな話題となった。WOWOW「アクターズ・ショート・フィルム4」(’24年)では、初監督作品「イツキトミワ」を手掛けた。

遊川和彦(ゆかわ・かずひこ)
脚本家・映画監督。1955年10月24日生まれ、東京都出身。1987年、TBS系ドラマ「家庭の問題」で脚本家デビュー。社会現象を起こしたドラマ「女王の教室」(’05年/日本テレビ系)で第24回向田邦子賞を受賞。NHK朝ドラ「純と愛」、ドラマ「曲げられない女」(’10年/日本テレビ系)「家政婦のミタ」(’11年/日本テレビ系)「過保護のカホコ」(’17年/日本テレビ系)「同期のサクラ」(’19年/日本テレビ系)など話題作を手掛ける。

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定価:2,200円(本体2,000円)
発行:東京ニュース通信社
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【主な掲載内容】

●全9話シナリオを完全収録
●写真で振り返る「アイのない恋人たち」~シーン写真名場面集
●人物関係図
●スペシャル対談 主演・福士蒼汰×脚本・遊川和彦
●遊川和彦あとがき