兵頭功海が語る次の”9ボーダー”「その時は作品の真ん中に立っていたい」

2024/05/10 22:10

川口春奈が、木南晴夏、畑芽育と姉妹役でTBS金曜ドラマ初主演を務める「9ボーダー」は、19歳、29歳、39歳の三姉妹が、各年代のラストイヤーでモヤり、焦りながら自分の生きる道を模索する物語。兵頭功海はこの作品で、畑演じる三女の八海とマッチングアプリで知り合い、交際ゼロ日婚プロポーズをする立花祐輔を演じる。今作のプロデューサーは、「下剋上球児」で兵頭ら球児たちを見出した新井順子。ふたたびの共同作業でどんな気づきを得たのか。これから先の「9ボーダー」での目標も語ってもらった。

ポジティブで勢いのある役柄と自身との共通点

――今回演じた立花祐輔は、交際ゼロ日婚を申し込んでしまうような、ポジティブで勢いのある役柄でしたね。

「衣装合わせのときに、プロデューサーの新井(順子)さんから、役の設定が書かれた紙を頂いたんです。そのときは特にお話ししなかったのですが、本読みが終わったタイミングで、〝立花は交際ゼロ日婚を申し込んでも憎まれないキャラクターにしたい〟と言われたので、そこは意識して演じました」

――結婚を申し込んだ理由が、シンガポールに行くことが決まったからとか、畑(芽育)さん演じる八海ちゃんが若いからとか、憎まれないように言うのはなかなか難しいセリフだったと思うのですが。

「そうなんです(笑)。だから、あまり深く考え過ぎずに、立花にとっては純愛で、彼なりに〝この子がいい!〟とピンと来たはずだろうと思って、純粋な気持ちで演じました」

――共感を覚えるところはありましたか?

「突発的に思ったことを言っちゃうところは共感できるなと。僕も割とそうなので(笑)。立花は、今これを言いたいとか、思ったことを曲げられない性格なので、この人と結婚したいと思ってしまったら、まっすぐ伝えずにはいられなかったのかなと。どんな反応でもくじけないところも共感できるというか、似ている部分を感じました」

――「下剋上球児」でご一緒された新井プロデューサーの作品に戻って来られたことが「飛び跳ねるほど嬉しい」とおっしゃっていました。現場ではどんなお話をされましたか?

「新井さんは毎回、僕のお芝居を見てくださって、さまざまなアドバイスをくれました。4話で、立花が八海ちゃんに、〝ほんのちょっとでも興味あることとか心が動くことがあれば、やりたいこともすぐに見つかる〟と言うシーンがあったのですが、僕は立花だから、勢いで言っちゃうのかなと思ったんです。最初に勢いでセリフを言ったら、新井さんから、〝その言い方だと押し付けているように聞こえるから、そこは一歩、大人として寄り添うように優しく〟というアドバイスをいただきました」

――確かに、八海ちゃんとの関係性の変化を感じられるシーンです。

「〝立花の言葉を聞いた視聴者のみなさんが、自分の好きなことや興味あることで頑張れるかもしれない、頑張りたいと思えるような言葉にしたい〟という意図もお話していただいて、そこから僕の中の立花がガラッと変わったんです」

――4話での立花再登場は、驚きましたが嬉しかったです。

「もともと2話までの出演しか聞いていなかったのですが、撮影中に〝友達になって出てくるかも〟と言われたんです。プロポーズを断られているので、〝友達になるってどうするんだろう…〟とは思いましたが、立花も大人なので、振られた相手だとしても、相談に乗ってほしいと言われたら乗るだろうなと。八海のことは人として好きなので。クサイ言葉になってしまうかもしれませんが、愛の種類が変わったんだろうなと。最後に〝合わなかったね〟と笑い合えるのが立花の優しいところですよね。素敵なセリフが多い、とても大事なシーンです」

――「絶対合わなかったよね」と笑い合うシーンはとても印象的です。兵頭さんご自身は、合う、合わないはすぐ分かるタイプですか?

「パッと分かります。過去に共演した方からも言われたことがあるのですが、合う人、合わない人はパッと分かるほうかなと思います」

自分が演じる意味があることが嬉しく思えるようになった

――今回、畑さんとのシーンが多かったと思うのですが、共演された印象を教えてください。

「距離の詰め方がとても上手な方だと思いました。近すぎるわけでもなく、遠すぎるわけでもなく。この前、『王様のブランチ』を見ていたら、撮影時間が長い木戸大聖くんのことはちょっといじり出していたので、すでに仲良くなっているんだろうなと。距離の取り方が上品なんですよね。先日の誕生日も、SNSに〝兵頭さんお誕生日おめでとうございます〟と載せてくださっていて。あとは、褒め上手。例えば、カフェのシーンで座っていたら、〝手がきれいですね〟とさらっと言ってくれる。褒め上手で距離の取り方の上手い、素敵な方だなという印象です」

――出演が決まった際に、「交際ゼロ日婚には縁がある」とおっしゃっていました。放送後のSNSでも反響がありましたよね。

「作品が重なり、たまたま縁があってプロポーズするシーンが多いのですが、反応していただけてすごく嬉しかったです。僕が『騎士竜戦隊リュウソウジャー』という作品で演じたカナロは、一族の再興のために婚活するというキャラクターだったので、ゼクシィのCMが決まったときにも、〝カナロが結婚成功してる!〟みたいな反響をいただきました(笑)。少し前まで、演じているときは自分自身を消したいと思っていたんです。だから、この役とこの役が同じ人とか何とか言われるのも嫌だったのですが、最近は、僕自身が演じる意味があることを嬉しく思えるようになりました」

――「下剋上球児」の塚原あゆ子監督の演出を受けて、「自分があっていいんだ」と思えたと、以前、インタビューでおっしゃっていましたよね。

「そうです。あのときの経験でお芝居に対する考え方も変わったなと感じています」

――役柄もそうですが、先日、26歳になられて、結婚がだんだんと身近に感じられるようになった部分もあるかと思います。兵頭さんの結婚観を教えてください。

「僕自身が4人きょうだいなので、将来は結婚して家族を作りたいという思いはあります。子どもができたらきょうだいを作ってあげたいなとか、まだ漠然と考えている段階です。ただ、立花みたいに、デジタルで指輪は渡さないかな(笑)。僕はきちんと手渡ししたい。あと、カフェでひざまずきもしないです。プロポーズは思い切って海外に行くのもいいですし、家でさりげなくいうのもいいですよね」

〝そこに生きている〟と感じた商店街での撮影

――「9ボーダー」の撮影で印象的だったシーンを教えてください。

「2話で八海ちゃんが木戸くん演じる陽太のことが好きだと気づいたあとに、〝言わなきゃ伝わらないよ〟とアドバイスするシーンがあるのですが、実際のお客さんがいるリアルな商店街で撮影したんです。お店が閉まったらそこの照明はなくなるし、普段の買い物客とあわせてエキストラさんもいて、ものすごい人通りの中で車も通れば自転車も通る。本当にそこに生きている感じがありました。肉眼で見ると結構、昔の雰囲気が残るというか、ちょっとレトロな感じの町並みなんですけど、ふくだ(ももこ)監督が撮った画を見るとすごくキラキラしている世界に見える。実際の町並みとドラマの町並みのきれいさがまた違うのも印象的でした」

――最近、心が動いたことを教えてください。

「ドラマを見ることかもしれないです。『9ボーダー』の川口春奈さんと松下洸平さんの桜のシーンはすごくきれいで心が洗われるような映像でした。自分が出ていないシーンですが、撮影現場に行きたかったです。あとは、先日、友人が出ているドラマを見てウルウルしました(笑)。〝絶対見て〟と連絡があったので見たら泣きそうになって。心が動きました」

――どの作品でウルウルされたのでしょうか。

「20歳からの仲間である綱啓永くんが出ている『366日』です。彼が月9と言われる枠のメイン回でとてもいいお芝居をしているのを見て、〝ウワーッ〟となりました。負けていられないなという気持ちも湧いて来ましたね。『9ボーダー』はもちろん、まだまだこの先も頑張らないといけないなと思わせてもらいました」

――素敵なエピソードですね。19歳の9ボーダーで上京されたそうですが、兵頭さんご自身も29、39のこれから来る9ボーダーは意識されているのでしょうか。

「9ボーダーどころか、トゥエンティファイブぐらいから〝もうアラサーか〟と意識しています(笑)。先日、26歳になり、誕生日のイベントに綱啓永くんと中沢元紀くんとお会いする機会があって、綱くんに〝25と26って全然違うよね〟とサラッと言われてグサッときてました(笑)」

――今後の29、39ではどんな自分になっていたいですか?

「『CODE』『下剋上球児』と連続ドラマに続けて出演させていただいた頃から公言しているのですが、29歳までにはまず、ゴールデン帯と言われる作品で真ん中に立っていられる俳優になりたいです。鈴木亮平さんや坂口健太郎さんを見て、29歳までにそれを叶えたいと思いました。そして、39歳までには、新井さんと塚原さんの作品で真ん中にいられたらな…と。それはちょっと…頑張ります!!」

■Profile
兵頭功海(ひょうどう・かつみ)
1998年4月15日生まれ。福岡県出身。「NEW CINEMA PROJECT」オーディションでグランプリを獲得し、映画「五億円のじんせい」で俳優デビュー。『騎士竜戦隊リュウソウジャー』のカナロ役で注目を集める。最近は、「CODE-願いの代償-」「下剋上球児」「となりのナースエイド」、映画「蒲団」「みーんな、宇宙人。」など多数出演。

「9ボーダー」放送情報

TBS系
毎週金曜 後10:00~



取材・文/石本真樹