ドラマの小道具にフィーチャーする前編。今回は、世界展開も行う「MOTHER HOUSE」を直撃!
ドラマを見ながら、背景に映るバッグやアクセサリー、洋服など「小道具」に目を奪われたことはありませんか? そこで今回は、多くのドラマに衣装提供を行っているブランド「MOTHERHOUSE」を手掛ける株式会社マザーハウスの広報・小田靖之さん、清原直実さんに、「ドラマ×ブランド戦略」についてお話を伺いました。
ドラマは『MOTHERHOUSE』を伝える媒体の一つ
――前編では、ドラマ=ブランド認知の場所だと伺いましたが、こう考えられた一番のきっかけは何だったのでしょうか?
「『MOTHERHOUSE』は現在、国内に34店舗を構えていますが、私たち広報の視点でいうと、我々のブランドを知らない方がまだまだ多いなと思うんです。そうなると、『認知度が低いな…』と肌で感じるわけですよね。店舗には、通りすがりで入店されるお客様もいらっしゃいますが、どちらかと言えば、何かの目的を持って来られる方が多いです。バッグに限らずとも、私たちのブランドを知っているお客様が来店されるので、アプローチもしやすい。つまり、店舗の中にいるとどうしても、『お! 「MOTHERHOUSE」って結構、認知されているじゃん!』と感じてしまうんですよね」
――確かに、店舗の中と外では、認知度に対する捉え方に差があるのかもしれませんね。
「そうですね。先ほどお話ししたように、私たちは普段、『MOTHERHOUSE』を知らない方々とコミュニケーションを取ることが多いので、そういう観点から、店舗発信だけで届けられない方に向けてアプローチができないかな、と。そのツールが例えば、広告や雑誌、新聞。若年層に向けては、テレビとか…」
――そこで、「テレビ=認知拡大の場所とする戦略もあるんじゃないか」と?
「テレビの影響力が徐々になくなっているとは言われますが、それでも数百万人、数千万人が見ている媒体の一つですよね。そういった場所に、『MOTHERHOUSE』をファッション目線で使っていただけるものがないかな、と考えたんです。それこそドラマに、作品の雰囲気や役柄に合うバッグ、お洋服をご提案できていけば、認知拡大に繋がるのでは、と。もちろん、視聴者の皆さんが衣装クレジットを見ることは少ないかもしれませんが、スタイリストさんたち横の繋がりや芸能人の方への認知の広がりもあると思っています。スタイリストさん=目的を持たれたお客様だと思っているので、その明確な目的をお聞きして、どのようなイメージのバッグや洋服を持ちたいのか。しっかりヒアリングさせていただいています」
――“スタイリストさん=明確な目的のあるお客様”という観点からすると、商品が並ぶドラマ=直営店舗という考え方もあるのでしょうか?
「店舗と言いますか、『MOTHERHOUSE』を伝える媒体だと思っています。だからこそ、スタイリストさんに『MOTHERHOUSE』のことをいかに認知してもらえるか、を考えているんです。マザーハウスとして長いスパンで見ると、お客様はもちろん、スタイリストさんに我々のブランドに興味を持ってもらい、理解してもらうことがすごく大事。だからこそ、スタイリストさんに対しても、私たちからしっかりとご提案することを常に意識しています」
――ドラマから、お客様への認知拡大、店舗への来店に繋がったと実感した時は、どういう時ですか?
「毎日、各店舗から日報が上がってくるんですが、『ドラマを見て初めて「MOTHERHOUSE」を知りました」というお客様の声を聞いた時でしょうか。今クールですと、『うきわ-他人以上、友達未満-』(テレビ東京系)で提供した『テ デ クミタテ』(写真下)ですね。オンラインショップでお客様から『実は、「うきわ~」を見てデザインに一目惚れしました』というお問い合わせをいただき、『ドラマを細かいところまで見てもらえているんだな』とあらためて気づきました。
――接客という意味では「店舗もドラマも変わらない」とお話しいただきましたが、つまり、接客する場所が異なるということでしょうか。
「はい、目的性や角度がちょっと異なるだけです。なので、基本的には相手(お客様、スタイリストさんや小道具さん)の求めているものを聞きながら、ご提案をしていく。私たちも、貸し出しの先にある“もっと面白いこと”をしたいので、関わらせていただく以上は相手のことを理解したいんですよね。その方が、仕事に楽しさがプラスされますし、提案したプロダクトが使われた時、嬉しくなるんです。もっと言うと、コンテンツに沿ったものづくりができると、我々マザーハウスの“ものづくりの精神=クラフトマンシップ”を語れるようになると思いますし、なりたいなと考えています」
■お話を聞いたのは…株式会社マザーハウス・小田靖之さん
マーケティング・広報のほか、同社初のフードブランド「Little MOTHERHOUSE」の責任者を務める。株式会社マザーハウス・清原直実さん、マーケティングチーム所属。
■取材協力…株式会社マザーハウス
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念とし、’06年にバングラデシュからスタート。今年、創業15周年を迎えたそのモノづくりは、6つの生産国と5つの販売国に広がり、国内では34店舗を構える。
▶「うきわ~」で麻衣子(門脇麦)が二葉さんと初めて外出した時のバッグ
「うきわ-他人以上、友達未満-」
テレビ東京
毎週月曜 後11:06~
レザーを再利用して作られた「リンネ」(写真)は、一つとして同じカラーリングがない。この特徴が、ドラマの淡い雰囲気と絶妙にマッチしていた。