ドラマの小道具にフィーチャーする前編。今回は、世界展開も行う「MOTHER HOUSE」を直撃!
ドラマを見ながら、背景に映るバッグやアクセサリー、洋服など「小道具」に目を奪われたことはありませんか? そこで今回は、多くのドラマに衣装提供を行っているブランド「MOTHERHOUSE」を手掛ける株式会社マザーハウスの広報・小田靖之さん、清原直実さんに、「ドラマ×ブランド戦略」についてお話を伺いました。
いかに『MOTHER HOUSE』というブランドを理解してもらうか
――「#家族募集します」「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(ともにTBS系)、「うきわー他人以上、友達未満-」(テレビ東京)など、現在放送中のドラマで、バッグやアパレル、ジュエリーなど、「MOTHERHOUSE」のアイテムをすごく目にします。
「ありがとうございます。もともとは、バッグをメインにご提供しておりましたが、ここ数年、私たちもアパレルにも力を入れ始めて、お洋服のご提案もするようになりました。例えば、バッグとお洋服のコーディネートでご連絡をいただいたり、反対に、私たちからスタイリストさんに新商品の情報をお伝えするなど、随時、情報共有をさせていただいていますね。今クールのドラマでは、仰ったように、『うきわ~』『#家族募集します』『TOKYO MER』それから『白い濁流』(NHK BSプレミアム)と、特に多くの作品にご提供しております」
――どのような商品をドラマに送り出されているのか、具体的に教えていただけますか?
「『うきわ~』では、門脇麦さんが使われていたオレンジ色のショルダーバッグと、特徴的なデザインのバッグの2つ、西田尚美さんが着けられているイヤリング(ピアスをイヤリングに加工)。そして、『#家族募集します』で木村文乃さんが持っているリュックですね。アパレルでは、藤野涼子さんが『白い濁流』で着用されたブラウスも提供させていただきました。少し前ですと、『半沢直樹』(TBS系)で江口のりこさんが持っていたトートバッグ、『監察医朝顔』(フジテレビ系)で、上野樹里さんの胸元に光っていたネックレスもですね」
――今クールは本当に多いですよね。ちなみに、どういった経緯で商品提供を始め、現在に至るのですか?
「もともとは、京阪商会(※1)さんなどからお声掛けをいただいていたんです。でも私たちとしては、我々のプロダクトをドラマに提供することに、当初は目的を見いだせていなかった部分もありました。ただ、京阪商会さんが定期的にご連絡をくださっていたこともあり、『我々にも何か協力できることがあるんじゃないかな』という思いが徐々に芽生えていったんですよね。それで、少しずつお貸しするようになりました。そこから今では、だいたい20人ほどのスタイリストさんと個別に連絡を取り合うなど、お付き合いをさせてもらっています」
――ドラマの小道具さんだけでなく、スタイリストさんとの繋がりも重要なのですね。
「そうです。ドラマに出た小道具や衣装がまとめられたサイトをご覧になられた上で、マザーハウスのことも調べてくださっているようで…。ほかには、SNSや店頭で見てくださったスタイリストさん、インターネットで調べて連絡をくださる小道具の代理店さんもいらっしゃいます。ただ、我々にはプレスルームがあるわけではないので、基本的には店舗(本店・秋葉原)に来ていただいて、ご提案することが多いんですね。なので、そこでいかに『MOTHER HOUSE』というブランドを理解してもらうかが、すごく大事だと思っているんです。もちろん、私たちがドラマの背景を理解することもしかりで。スタイリストさんとお互いに理解しながらお付き合いをさせていただく中で、我々も一ファッションブランドとして定期的に新商品をご提案し、認知を広めていきたいと考えています」
――確かに、理解の共有は大切ですよね。そんな貴社は今年、創業15周年を迎えましたが、当初からドラマをブランド認知の場所として考えていたのですか?
「昔から考えていたか、と聞かれると、そんなに意識していなかったというのが正直なところです。そもそも、マザーハウスという会社自体が、『途上国から世界に通用するブランドをつくる』という理念が強い会社でもあります。なので、最初はマザーハウスの活動自体を応援してくださる方の支えが大きかったんですよね。もちろん、今も変わらず応援してくださるお客様も数多くいらっしゃいますが、一方で、私たちの理念をより多くのお客様にお伝えするには、ファッションとしても“楽しい”“かわいい”を感じてもらいたいと思っています。だからこそ、これまで支えてくださったお客様へはもちろん、ファッションとしての認知をより広めていきたいと考えています。そういう意味も込めて、『ファッション性の高い媒体や、認知拡大に繋がるドラマや映画などの作品への露出もあっていい』と思ったのがきっかけですね」
――マザーハウスの企業理念、「MOTHERHOUSE」というブランド。この共存を求めて、ドラマをブランド認知の場所として考えられたのですね。次回の後編では、この共存を掘り下げながら、テレビの影響力と集客についてお話を伺います。
※1「京阪商会」…ドラマやバラエティー番組、映画などを対象とした持道具を専門にリースする企業
■お話を聞いたのは…株式会社マザーハウス・小田靖之さん
マーケティング・広報のほか、同社初のフードブランド「Little MOTHERHOUSE」の責任者を務める。株式会社マザーハウス・清原直実さん、マーケティングチーム所属。
■取材協力…株式会社マザーハウス
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念とし、’06年にバングラデシュからスタート。今年、創業15周年を迎えたそのモノづくりは、6つの生産国と5つの販売国に広がり、国内では34店舗を構える。
▶「#家族募集します」 木村文乃さん演じる礼の愛用バッグ
「#家族募集します」
TBS系 毎週金曜 後9:00~
「自転車に乗るシーンが多い母親役で、バッグは自転車のカゴに入れる」というオーダーから、軽くてリュック型の「カゼマトウ」(写真)を提案。劇中でたびたび登場している。