アラサー男女7人の“アイ”の物語を、名手・遊川和彦が書き下ろした「アイのない恋人たち」(ABCテレビ・テレビ朝日系にて2024年1~3月クール放送)。
このドラマにおいて33歳の売れない脚本家・久米真和を演じた福士蒼汰と、自身の若き頃をシナリオの久米真和に投影させたと語る遊川和彦。今回初タッグとなったお二人が、作品についてじっくり語るスペシャル対談から美味しいトコロを抜粋して2回にわたりご紹介。初回は主人公・真和というキャラクターについて掘り下げます。
頑張ってるけど報われない、でも強気。女性にはモテたい、だけど恋愛はめんどくさい。
――まず遊川さんから、「真和」というキャラクターをどう発想したか、お話しいただけますか。
遊川 今回は、申し訳ないけど、自分の若い頃をイメージしてます。だから、名前に自分の和彦の「和」を入れた。これは「女王の教室」の志田未来さんが演じた生徒「和美」以来です。
福士 脚本家の方が脚本家のキャラクターを書くというのはかなり意味がある。絶対自分が投影されてしまうものじゃないですか。自分しか知らない、遊川さんのエッセンスが入っているんだろうなと思っていました。
遊川 頑張ってるけど報われない、でも強気。女性にはモテたい、だけど恋愛はめんどくさい。実際、30代の頃の僕はそうだった。「ごめん、今結婚する気がない」とか「今仕事の方が大事だ」とかいうセリフがあったけど、あれも実際言ったことがある、または言いそうになったことがあるんです。
福士 実際の言葉だったんですね。
遊川 こういう人間なんですよ。
福士 僕はこの役は、試されていると感じました。最初、遊川さんから「かっこつけないで」という話が僕だけじゃなく、キャスト全員にもあったのですが、自分が演じる上では、甘くなりすぎない、優しくなりすぎないというところが、一番ポイントだと思いました。僕は思っているより少し多めに嫌な奴の要素を入れないと、そう見られないかもしれないので(笑)。それはまずいなと。
遊川 いいバランスだったかもしれない。真和を嫌なやつが演じたら、ただの嫌なやつになってた可能性もあるんだよね。
福士 嫌なやつなのに、なんで魅力的なんだろう、モテるんだろうというところを嫌な一面と同時に表現しないといけないから、表裏一体で難しいですけど、演じて面白い部分でした。
遊川 この人は微笑みという武器があるからね。いいことも悪いことも表現しちゃう。
福士 一度微笑むと、嫌な奴感が一気に消えてしまうんです(笑)。
(「アイのない恋人たち 公式シナリオブック」より抜粋・再構成)
■Profile
福士蒼汰(ふくし・そうた)
1993年5月30日生まれ、東京都出身。2011年デビュー以来、数々のドラマ、映画、舞台で幅広く活躍。昨年はHulu「THE HEAD Season2」にて、念願の海外進出を果たした。ドラマ「大奥」では、Season1,2に別の役で出演し、大きな話題となった。WOWOW「アクターズ・ショート・フィルム4」では、初監督作品「イツキトミワ」を手掛けた。
遊川和彦(ゆかわ・かずひこ)
脚本家・映画監督。1955年10月24日生まれ、東京都出身。1987年、TBS系ドラマ「家庭の問題」で脚本家デビュー。社会現象を起こしたドラマ「女王の教室」で第24回向田邦子賞を受賞。NHK朝ドラ「純と愛」、ドラマ「曲げられない女」「家政婦のミタ」「過保護のカホコ」「同期のサクラ」など話題作を手掛ける。
好評発売中!「アイのない恋人たち 公式シナリオブック」
定価:2,200円(本体2,000円)
発行:東京ニュース通信社
★お求めは、全国書店・ウェブストアにて
【主な掲載内容】
●全9話シナリオを完全収録
●写真で振り返る「アイのない恋人たち」~シーン写真名場面集
●人物関係図
●スペシャル対談 主演・福士蒼汰×脚本・遊川和彦
●遊川和彦あとがき