越山高校野球部が甲子園出場を目指す姿を描き感動を呼んだ「下剋上球児」のメモリアルブックが絶賛発売中! その中から、越山高校野球部の球児を演じた若き俳優たちにまつわる座談会を抜粋してお届けする第3弾は、2016年度入学生を演じた中沢元紀(犬塚翔役)、兵頭功海(根室知廣役)、伊藤あさひ(椿谷真倫役)、小林虎之介(日沖壮磨役)、橘優輝(久我原篤史役)、生田俊平(楡伸次郎役)の6人。個性派ぞろいのメンバーを、それぞれどう感じてどう演じたのか? 固い絆で乗り切った6人が撮影を振り返ります!
(本稿は発売中の「『下剋上球児』公式メモリアルブック」内の一部記事を抜粋、再構成したものです)
オーディションで集まった僕たちが、今後の人生を共に過ごす仲間に。これからの僕らの“下剋上”も見守ってください!
――みなさんが演じた役柄には3年間で変化がありました。
中沢「僕は、最初に(監督の)塚原(あゆ子)さんから犬塚翔の履歴書のような物を頂いたときは、自分と似ているなって思う部分が多かったですね。例えば内に秘めた闘志とか。僕自身も自分の中で燃えるものがあっても、それをあまり表には出さないタイプなので。でも、翔は中学時代から地元で有名なエースっていうのがあったので、そういう技術面では不安もありました」
――小日向文世さん演じるおじいちゃんからも期待されていて。
中沢「そうですね。そのおじいに見せる顔と学校で先生や球児たちに見せる顔が違っていた。だから、そこは意識して演じていました」
生田「確かに。おじいに向ける、あの笑顔いいよね。それも含めて元紀がやったから、翔がやわらかいキャラクターになった気がするよ」
伊藤「わかる。台本を読んだだけだと、嫌な印象が強かったからね。なんと言うか…」
兵頭「孤高のエース」
伊藤「そう! でも、元紀がやってかわいらしい笑顔の翔になったし、愛されキャラになったんだと思う」
――キャプテン椿谷真倫もすごく成長したひとり。最初は野球の素人でしたもんね。
伊藤「はい。だから、このドラマの中で一番成長する姿を見せられる役だなと思っていましたし、その幅をどう生かせるか考えていました。ただ、3年生のときにキャプテンになるので、そこまでの過程を計算しながら演じるのが難しくて」
――成長の度合いを調整するのが?
伊藤「そうですね。『最後は試合に出ているよ』と説明されたのが、撮影が進んでいく中でのことだったんです。なので、初心者が試合に出るほど成長するのを、どう表現するべきか不安だったんです。でも、高校生の3年間は、精神的にも肉体的にも、ものすごく成長する時期だと思うので、高校生だからいいや! と思い切ってやりました。最初に僕が設定した裏テーマは、かっこいいところをゼロにすること。かっこよさは3年生になってから見せればいいと思ってやっていました」
生田「真倫はキャラっぽいというか、最初の頃は、いきすぎじゃないかと思うくらい初心者丸出し感を演じていたんですよ(笑)」
伊藤「最初は遊びすぎました(笑)。僕、普段は、あまり現場で『やりすぎ!』って言われないんですけど、今回は言われてしまいました(笑)」
小林「塚原さんも『もう、手に負えない。ここから3年生までの過程は自分で考えてやって!』みたいになっていたもんね(笑)」
伊藤「匙を投げられた(笑)」
生田「最初は、『真倫はこれでどうやってキャプテンになるん?』って思ったよ(笑)。でも、あさひは話が進んでいく中で、少しずつキャプテンらしい部分をうまく出してきた。それが今につながっているので、マジですごいし、今、その過程を計画していたって言っていたので、やっぱり培ってきた経験が生きているんだなって尊敬しています」
――椿谷同様、最初は野球初心者だったのが久我原です。
橘「そうですね。でも、性格的な部分で言うと、久我原は最初からすごく明るかったんです。はじめは周りが暗くても自分だけは明るいようなキャラクターでしたが、だんだん友だち思いの明るさになってきて。みんなでいろんな経験をしていく中で〝仲間〟っていう意識が強くなっていったんだと思います」
――その変化は、演じていても楽しかったですか?
橘「はい。自分だけ明るくいるよりも、みんなと騒いでいたほうが楽しいですね(笑)」
生田「『俺、大丈夫?』とかって言ってたもんね。今じゃもう、好き勝手やってるけど(笑)」
小林「マジで第7話からノリノリ! でも、生き生きしている感じが、すごくいいなって思ったよ」
兵頭「僕は久我原(を演じる橘)って天才だと思う。存在自体が天才というか」
伊藤「オーディションから目を引いていたもんね。絶対に見ちゃう」
橘「この髪型だからでしょ!(笑)」
兵頭「いや、見た目もそうだけど、話し方とか声、『ここでこういう動きをするんだ⁉』って思うような発想力。そういう全部が今まで見たことのない人種というか(笑)。本当にすごいなと思いました」
――兵頭さん演じる根室も後半どんどん自信を増していった役柄。野球選手としての成長が著しかったです。
兵頭「根室は家庭環境が複雑だったので、最初は僕も不幸な人っていう印象を持っていたんですよ。だから、そう見えるようにお芝居を作っていたんです。でも、塚原さんから、『根室はそれを不幸だと思っていなくて一生懸命頑張っているし、めっちゃ笑うこともある。そういう子のほうが視聴者の人は応援したくなるよ』って教えていただいて。だから、あまり暗い男の子にはしないようにと思っていましたね。それに野球の面でも見る見る成長していくので、最後はどこまでいっていいのか? というのも気にしていました」
――根室の成長度合いを?
兵頭「はい。最終的に根室は社会人野球チームに所属するまでになるので、その片鱗はちょっとずつ出していこうと思っていましたね」
――生田さんが演じたのは楡。わりと問題児でしたよね。
生田「最初は、マイペースで協調性のない不思議ちゃんって言われていたんですよ。僕自身は協調性があるタイプだと思っているので、楡が自分とかけはなれすぎていてどうしよう? っていう感じでした(笑)。考えて考えて出した答えはひとまずはボーっとしておこう!というものでした。でも、『大人への不信感だけは忘れないで』って塚原さんに言われていましたし、チームメートに対しても、このチームじゃ甲子園には行けないだろうなっていう目で見ていたので、第1、2話はすごくやりづらかったです。でも、塚原さんから『10話あるんだから、野球部のみんなとは仲良くなるんじゃない?』と言っていただいてからは、めちゃくちゃやりやすくなって。だから、第3話以降は笑ってもいますし、どんどん僕自身に寄せていきました」
――楡が視力が悪いのを隠していた理由が、眼鏡をかけるのが嫌だったからなのには驚きました(笑)。
生田「〝眼鏡くん〟って言われるのが嫌なだけだったんですよね(笑)」
――小林さん演じる壮磨は、最初は野球部ですらありませんでした。
小林「最初の頃に関しては、『ヤバい! これは俺、できねえかも!』って、マジで思いました。僕はオラオラもしていないし、どうしようって。だから、『ROOKIES』や『クローズ』シリーズをめちゃくちゃ見て、不良の研究をしたんです(笑)」
生田「そこから!?(笑)」
小林「そう(笑)。それに赤髪の頃は、常に葛藤も抱えていたので演じていてしんどかったです。でも、坊主頭になって野球部に入ってからは楽しくなって。というのは、さっきも出たように、久我原しか盛り上げ役がいなかったんですよ。だから、久我原がいない撮影は、とにかく静かで。それで、じゃあ、もうひとりの盛り上げ役を壮磨にするかってことでシフトチェンジしました(笑)」
――キャラ変ですね(笑)。
小林「だから、赤髪のときと坊主頭になってからを比べると同じ人物に見えないときもあるんですよ。でも、高校生って何かのきっかけでガラッと変わることがあるので、途中からよく笑ったり、大声で引っ張ったりするようになりました」
――では椿谷キャプテン、みなさんを代表してメッセージを。
伊藤「いろいろな意味ですごく挑戦的なドラマだったので、それを最後まで見届けてくださった視聴者の方々には、本当に感謝しています。僕たちはオーディションで選ばれて集まったので、最初は顔見知りでも何でもなかったんです。でも、今は、役者であることとかを通り越して、今後の人生を共に過ごす仲間になれた感覚がすごくあります。だから、ドラマ的にはひと区切りですが、僕ら自身の下剋上もこれから見守っていただけたらと思います」
(座談会の完全版は「『下剋上球児』公式メモリアルブック」をご覧ください!)
■プロフィール
中沢元紀(なかざわ もとき)<写真中央左>
’00年2月20日生まれ。茨城県出身。WEB CMドラマ「メゾンハーゲンダッツ 〜8つのしあわせストーリー〜」で俳優デビュー。野球のほかハンドボールの経験がある。主な出演作はドラマ「埼玉のホスト」(’23年)、映画「沈黙の艦隊」(’23年)など。
兵頭功海(ひょうどう かつみ)<写真中央右>
’98年4月15日生まれ。福岡県出身。高校生時代は野球の名門校で活躍。近年の出演作は、ドラマ「ドラフトキング」「ドロップ」「CODE-願いの代償-」(’23年)、’24年3月1日(金)から全国公開予定の主演映画「18歳のおとなたち」などがある。
伊藤あさひ(いとう あさひ)<写真右から2番目>
’00年1月19日生まれ。東京都出身。小学校2年生から中学校2年生まで野球に励んでいた。’17年に俳優デビュー。’24年1月現在、「正直不動産2」(NHK)に出演中。’24年5月~上演予定の舞台「ロミオ&ジュリエット」でミュージカル初挑戦。
小林虎之介(こばやし とらのすけ)<写真右端>
’98年2月12日生まれ。岡山県出身。小学校1年生から高校3年生まで野球を経験。高校時代は、それまでの内外野から、劇中と同じキャッチャーにポジションを変更。ドラマ「遺留捜査スペシャル」(’23年)、映画「18歳、つむぎます」(’23年)などに出演。’24年春放送の「PICU 小児集中治療室 スペシャル 2024」に出演する。
橘優輝(たちばな ゆうき)<写真左から2番目>
’02年4月27日生まれ。大阪府出身。’23年にドラマ「女神の教室~リーガル青春白書~」で俳優デビュー後、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(’23年)や、「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」(’24年)ほか、立て続けに話題作に出演。’24年1月クールは「厨房のありす」(日本テレビ系)に出演中。
生田俊平(いくた しゅんぺい)<写真左端>
’98年4月3日生まれ。青森県出身。強豪・青森山田高校の野球部に所属し、’16年、第88回選抜高校野球に出場。ドラマ「ドラフトキング」(’23年)、映画「リボルバー・リリー」(’23 年)、CM「PLAY ブランドムービー Vol.2 情熱篇」(’23年)などに出演。
出演者インタビューやスタッフに聞く制作舞台裏で「下剋上球児」の世界を深く振り返る公式メモリアルブックが発売中!
やる気のある部員は1名のみの弱小高校野球部が、甲子園初出場を目指す姿を通して、監督、部長、選手たちを始め、学校や町でチームを支える人々など、さまざまな登場人物たちの愛と成長を描いたドリームヒューマンエンターテインメント。このドラマの魅力を、撮影終盤に実施した出演者のインタビューや、クランクアップ密着レポート、放送終了後だからこそ明かせる舞台裏の制作秘話など、あらゆる角度から掘り下げた決定版のメモリアルブックが発売中です!
■主な内容
・出演者インタビュー(鈴木亮平/黒木華/井川遥/小日向文世)
・制作者座談会(脚本・奥寺佐渡子×演出・塚原あゆ子×プロデューサー・新井順子)
・越山高校野球部〝同学年″座談会
・2014年度入学組(菅生新樹、財津優太郎、鈴木敦也)
・2015年度入学組(福松凜、奥野壮、絃瀬総一)
・2016年度入学組(中沢元紀、兵頭功海、伊藤あさひ、小林虎之介、橘優輝、生田俊平)
・伊達さゆりが選ぶ名場面コラム
・オーディション舞台裏トーク
・シーン写真で振り返る名場面集
・公式資料大公開!登場人物プロフィール&小道具
・オフショット特集&クランクアップ密着レポート
ほか
■商品情報
「下剋上球児」公式メモリアルブック
定価:2200円
発行:東京ニュース通信社
■Blu-ray&DVDも4月12日(金)発売決定!予約・詳細はこちら
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取材・文/髙橋栄理子 撮影/武重到