個性的な登場人物たちが、サウナに癒やされ日々ぶつかる壁を乗り越えていく姿を描く「湯遊ワンダーランド」。
シュールな世界観も話題の今作の魅力を、主人公・きつこを演じるともさかりえさん、弟のやっちゃんを演じる須賀健太さんにたっぷり伺いました!
まんきつ先生の自叙伝漫画を、ともさかりえ主演で初の映像化
――ドラマを拝見して、サウナの良さを知ることもそうですが、どこか生きにくさを感じている登場人物たちが、生きるための希望を見つけていくストーリーでもありますね。
ともさか「漫画家のきつこは、常に壁にぶち当たり続けている人です。勝手に追い詰められている、みたいなところもありますけれども(笑)。弟のやっちゃんがサウナを勧めてくれたように、ちょっとしたことがきっかけで力が抜けたり、生きやすくなったりする何かが詰まっているお話だな、と感じます」
――ちょっと風変わりな姉と弟の関係も、すごく素敵に描かれています。
ともさか「(須賀に)良かったね」
須賀「良かったです(笑)」
ともさか「私も実際に弟がいるので、小さな頃に弟と遊んでいた記憶が蘇りました。だからなのか(須賀が)超かわいく思えるんです。ドラマの中では、弟の家に転がり込んで暮らしている設定なので、肩身が狭いはずなのに、すごく態度がデカいし、弟にすごい文句も言うし、ダメダメなお姉ちゃんです」
須賀「あははは」
ともさか「やりたい放題なんですけど、きっと身内だから甘えられて、素直な自分でいられるんだと思うんです。きつこは、社会に出るといろんなことを閉ざしてしまって人とうまくコミュニケーションを取れないタイプですけど、唯一、きつこらしくいられる相手がやっちゃん。一方やっちゃんも、ああだこうだ言いつつ、きつこのことを受け止めてくれて見捨てない。優しい弟ですよね」
須賀「僕がお姉ちゃんだったら、ちょっと嫌な弟ですけどね」
ともさか「本当?」
須賀「そこが僕の中でのポイントなんです。原作の漫画でもお姉ちゃんに対して辛辣というか、『それは違う』とか『だからダメなんだよ』みたいなキツイことを結構言うんですよ。でもそれだけじゃなくて、実はお姉ちゃんのことがすごく好きなんだなっていうのを感じたので、それがちょっとしたところで透けて見えるように、というのは意識しています。でも本当に、子どものままでいる二人だな~と。大人になると、弟に助けを求めることって、できなくなると思うし、一緒にはしゃぐこともしなくなるだろうけど、この二人は自然とそれをしているから。傍から見ているとカワイイなと思える二人ですよね」
ともさか「本当にそうだね」
――須賀さんはご自分でも、弟キャラに見えるというか、「童顔なので」とおっしゃっていますが…。
ともさか「理想の弟みたいなね」
須賀「理想の弟! これ、絶対文字にしてください(笑)」
ともさか「やっちゃんって、謎に説得力あるようなことを言うけれど、よくよく紐解いてみると、『いやいや違うから』っていうツッコミどころが満載なキャラ。そこが多分カワイイところで、それをきつこは真に受けてすぐ信じちゃうから、バカな兄弟だな~と(笑)。でも、そのバカさがカワイイというか。傍から見たら、依存し合っているおかしな姉弟だけど、そこを『こいつらカワイイな』と思ってもらえるように演じられたらと思います」
須賀「僕、ともさかさんのお芝居をめちゃくちゃ見ていて、ずっと素敵だなと思っているんです。僕が言うことでもないけど、今回の役もぴったりというか。『湯遊ワンダーランド』は台本が特徴的なので、普通にお芝居をすると“やってる感”が出ちゃうようなセリフが結構あるんですけど、本読みのときからそれが一切なくて。この空気に入っていけばいいんだなって、すごく助けていただいています」
ともさか「え~嬉しい! 実は今回の本読みは大変だったんです(笑)。会議室にみんなでぎゅうぎゅうに座って、ものすごく真面目な雰囲気の中で、『ちょっと読んでみましょうか』と始まって。1話の冒頭で、きつこが悪い夢を見て『うわぁ~』とか叫ぶシーンを『ちょっとやってみましょう』と。あの雰囲気の中で、いきなりテンションマックスで本読みするのが、すごく恥ずかしくて(笑)」
須賀「確かにお話の内容の緩さに比べて、結構おごそかな雰囲気の本読みでしたね(笑)」
ともさか「すごく心細かったから、そんな風に思ってくれていたなんて、ありがたいです」
須賀「すごく素敵でした」
「サ道」のように愛される作品になって、サウナに行く女性が増えたら嬉しい
――物語では、主人公のきつこがサウナと出会い、少しずつ人生が変わっていく様が描かれていきます。ともさかさんは、実際にサウナを体験されていかがでしたか?
ともさか「撮影では、いろんな施設に行かせていただきましたが、それぞれ違う個性を持つサウナで、本当に面白かったです。この間の撮影で、(千葉)船橋の『クアパレス』に行ったんです。ベルサイユ宮殿をイメージして建てられたような歴史あるサウナで、調度品もツタンカーメンの置物とか、雰囲気が独特すぎて印象的でした(笑)」
須賀「ちょっと怖いな~(笑)」
ともさか「かと思えば、一番最初のサウナロケでお邪魔した、(神奈川)川崎の『朝日湯源泉 ゆいる』のように、女湯もサウナも広くて快適に過ごせる施設もあって、そこはすごく良かったです」
――「ゆいる」は行ったことがあります。
ともさか「あ、本当ですか!? 良いですよね」
――サウナも水風呂も良くて、外気浴(戸外の新鮮な空気に直接触れること。サウナ室→水風呂→外気浴、というサイクルを繰り返すのがサウナの一般的なスタイル)のスペースもあって充実していますよね!
須賀「番組を見て、こういう話で盛り上がってほしいです(笑)」
ともさか「これを機にサウナに行く女性が増えたら嬉しいですね」
――須賀さんは、お姉さんのきつこにサウナを勧める役柄ですが、実際に、ご自身がサウナに行かれることはありますか?
須賀「僕、早乙女太一さんと仲が良いんですけど、彼が相当サウナ好きで。誘われて、有名な『草加健康センター』に行きました。でも、熱すぎて…」
ともさか「サウナが?」
須賀「はい。いろんな施設の中でも結構温度設定が高い方で。入ったら入ったで気持ち良いんですけど、僕もきつこと一緒で、最初はルールが全然分からなくて」
ともさか「知らなかったら入り方が分からないよね~」
須賀「暗黙の了解みたいなものがありますから」
ともさか「一緒に入っている人の視線にドキドキしたりね。でも、サウナが気持ちいいことはよく分かったので、改めてちゃんと行きたいと思う施設はたくさんありました。(東京)新大久保の女性専用サウナ『ルビーパレス』は、韓国人のおばちゃんたちが明るくて元気で。サウナの後に食べた韓国料理が美味しくて、プチ旅行した感じになるんですよ」
須賀「そのくだりは原作でもすごく気になりました」
ともさか「サムギョプサルがすっごく美味しくて」
須賀「そういうのは良いですね~」
――サウナの後は食べ物も美味しくなると言われています。
須賀「上がってすぐのビールとかも美味しいですよね」
ともさか「絶対そうだと思う。『ルビーパレス』での撮影日は朝からサウナに入って、水風呂のシーンを撮って、一番最後に食事のシーンだったので、“染みる~”っていう感じで。心の底から『ウマい!』という言葉が出ました(笑)」
――ともさかさんは、「サ道」(19年、21年/テレビ東京系)にも出演している三宅弘城さんがサウナの師匠だということですが。
ともさか「三宅さんとはお仕事をご一緒する機会が多くて、これまでさんざんサウナ愛を教えてもらったのに、私が全然付いていけなくて(笑)」
須賀「そうなんですね」
ともさか「三宅さんからは “水風呂のためのサウナ”なんだと教わっていたので、水風呂に入れた時も三宅さんに報告しましたし、このドラマが決まったときも報告しました(笑)。『サ道』もあんなに愛される作品になったので、このドラマもそうなれたらいいなと思います」
料理とお酒でリラックス(須賀)
熱いお風呂で無心になれます(ともさか)
――きつこは、サウナと出会うことで人生の壁を克服していきます。お二人が壁を克服するのはどんな方法ですか?
須賀「僕はお酒を飲んじゃいますね」
ともさか「お酒を飲む時間が好きなの?」
須賀「そうですね。あとは自分でおつまみを作るのも好きで、作りながら飲んだりしています。何かあるとどうしても考えごとをしちゃうけど、料理を作っている時は無心になれるので、それが良い切り替えになって。そこにお酒があるとさらに良い、みたいな感じですね」
――得意料理は?
須賀「簡単なやつですけど、僕、カルパッチョが好きなので、ガーリックオイルとかを作り置きしています」
ともさか「すご~い!」
須賀「それで具材を和えたりとか、圧力鍋で無水カレーを作ったり」
ともさか「美味しそう! 私も家だと、旦那さんが飲むので、それに付き合って1杯くらい飲んだりするけど、基本はなくても全然楽しめるタイプ。自分をリラックスさせるのはやっぱりお風呂かな。ボーっと浸かっている時間が無になれるというか」
須賀「長く入るんですか?」
ともさか「私は熱いお風呂にガっと浸かりたいタイプなので、長い時間は無理なんだけど、まんきつ先生に、お風呂に入れると良いっていうお塩とお酒を頂いたので、それを1本丸々入れて入ろうかなって」
須賀「飲みたくなっちゃいますね(笑)」
ともさか「飲まない、飲まない(笑)。それを頭からかぶるとすっごく浄化されるって教えてもらったので、今日はそれをやってみたいなと」
須賀「お~、良いですね!」
きつこがサウナを知るほどに、周囲との関係が動き出す。ちょっとした日常のやり取りも楽しんで!
――ドラマでは、第3回の最後できつこが初めて“整う”体験をしました。その先の見どころを教えていただけますか?
須賀「視聴者の方も、僕ら姉弟の関係に大分慣れてきた頃かなと思うので(笑)。ここから後半はホラーテイストがあったり、コアな方向に行くので、ぜひ置いていかれないように楽しんでもらえたらなと思います」
ともさか「原作を愛読していらっしゃる方にとっては、『あ~、このシーンだ』っていう場面をふんだんにピックアップしているので、そういうところも楽しんでいただきつつ、きつこがサウナを知っていくとともに、人との関係や家族との関係が少しずつ動き出していく様子を見守ってもらえたら。かといって大きなドラマが起こるわけではないんですけど(笑)」
須賀「あははは」
ともさか「ちょっとした日常に焦点が当たっているのが面白いドラマだなと思うので、そういう小さなやりとりを楽しんで、面白がって見ていただけたら嬉しいです」
■Profile
ともさかりえ
1979年10月12日生まれ、東京都出身。近年の主な出演作はドラマ「それってパクリじゃないですか?」(23年/日本テレビ系)、「大河ドラマが生まれた日」(23年/NHK総合)、「忍者に結婚は難しい」(23年/フジテレビ系)、「アシガール」(17年/NHK総合)など。「湯遊ワンダーランド」は17年ぶりのドラマ主演作となる。
須賀健太(すが・けんた)
1994年10月19日生まれ、東京都出身。’99年に子役としてデビュー。「人にやさしく」(02年/フジテレビ系)の五十嵐明役で注目される。以来、数多くのドラマや映画に出演。近年の出演はドラマ「城塚翡翠」シリーズ(22年/日本テレビ系)、「准教授・高槻彰良の推察」(21年/フジテレビ系、WOWOW)など。
「湯遊ワンダーランド」放送情報
BSテレ東
毎週土曜 深0:00~
(テレビ大阪 毎週土曜 深0:55~)
※TVer、Leminoで配信
撮影/蓮尾美智子 取材・文/幸野敦子
ドラマの世界観を追体験! 公式サウナガイドが発売決定
ドラマ「湯遊ワンダーランド」公式サウナガイド きつことととのう初めてのサウナ
発売日:2023年9月25日(月)
※一部、発売日が異なる地域がございます
定価:1,800円
発行:東京ニュース通信社