新人女性騎手が主人公の土曜ドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」の放送を前に、主演を務める平手友梨奈さんにインタビュー!
騎手の夢を諦めずに挑み続けるヒロイン・芦原瑞穂。彼女の情熱が、人生を諦めていた人々の心に火をつけ、桜花賞を目指していく。プロデビューするも成績が振るわず、地方にある廃業寸前の緑川厩舎に迎え入れられた瑞穂を演じる平手さんに、演じることへの思いや、厩舎メンバーとの撮影エピソードを伺いました。
お馬さんに乗ること自体が初めてで、2カ月前から練習しました
――すでにクランクアップされているとのことですが、撮影を振り返っていかがでしょうか?
「短かったようで長かったし、長かったようで短くて…。ほかの現場ではなかなか経験できないような現場でした」
――どんな経験を?
「お馬さんと一緒に撮影することもそうですが、騎手や競馬が題材の作品はほとんどないと思うので、そんな作品に出演させていただけたことが、貴重な体験でした」
――競馬の魅力も感じられましたか?
「競馬自体、正直全然知識のない状態だったので、この作品をきっかけに競馬についてたくさん知ることがありました。私は騎手の役だったので、騎手の方の大変さを少しでも味わえたというか、感じることができたと思います」
――演じられた瑞穂は、どんな女性なのでしょうか?
「瑞穂は幼いころからずっと馬と一緒に暮らしてきた女の子です。なので、現場ではできるだけお馬さんのそばにいました。それは、意識してやっているというよりも、私自身が大好きなので、隙があれば触れ合ったりしていたんです」
――馬には、撮影前から触れ合っていたのですか?
「お馬さんに乗ること自体が初めてだったので、撮影の2カ月くらい前からお馬さんに乗る練習をさせていただきました。その練習で初めて(緑川厩舎の調教師である)緑川光司役の中村(蒼)さんにお会いしたんです。2人で木馬に乗って練習をした時には、中村さんの足がプルプル震えていて…(笑)。筋肉痛だとおっしゃっていたのがすごく印象的でした」
――中村さんはご苦労されていたんですね! 平手さんはいかがでしたか?
「最初からうまくいったわけではなくて、練習を重ねるごとに乗れるようになりました。競馬学校の先生にも直々に教えていただいて…。先生の動画を見て学ぶこともあれば、言葉で学ぶこともありました」
前編からもう少し優しく迎えられたかった(笑)
――中村さんとは今回が初共演ですが、共演されていかがでしたか?
「撮影の前に乗馬の練習でお会いしていた時と同じで、人柄や人間性も本当に穏やかで、始まってからもそのままなんですけど、クランクインの時には、役作りでひげを生やしていて、見た目もだいぶ変わられていて。光司のイメージ通りだったので、『あ、光司さんだ』と思いました」
――緑川厩舎の厩務員は、頑固で融通の利かないカニ爺(大地康夫)やゲンさん(小沢仁志)、失声症の木崎誠(板垣李光人)など、個性豊かなメンバーばかりですが、撮影はいかがでしたか?
「厩舎のメンバーとはだんだん仲良くなっていって、ドラマと同じように時間を経ていくうちに打ちとけていった感じです。これまで出演した作品数が多いわけではないので、ほかの現場のことは分からないのですが、なぜかこの現場では、大先輩たちにすごくいじられていました(笑)。物語の後編(12月25日放送)では、みんなで一緒に成長していって、一つの目標に向かって一緒に頑張っていこうという姿が見られると思うのですが、前編(12月18日放送)も、もう少し優しく迎えてほしかったです(笑)」
――大先輩たちからは、どんないじられ方をされたのでしょうか?
「天候があまり良くない時に、『私が撮影の時は絶対に晴れるから、緑川厩舎の誰かが雨男だ』と言ったんです。そしたら皆さんに『俺は違う』と言われて…。最終的にはなぜか『(雨女は)瑞穂だ』ということにされました(笑)」
――瑞穂は地方競馬でダサい勝負服を着ると聞いて、とても気になっています。それはどんな服だったのでしょうか?
「中央競馬の時も合わせると合計で4着くらい着ましたが、ジョッキーの勝負服は結構派手なんです。そこにどうダサさをプラスするのかを衣装さんが考えてくださったので、ドラマで見ていただきたいです」
――瑞穂のように、努力をしても結果が出なかった経験はありますか? また、そんな時にはどのように乗り越えていらっしゃいますか。
「瑞穂は最初、何が何でも勝ちたいという女の子だったんですけれども、勝ちたい理由が自分のためではなく、緑川厩舎のためというふうにだんだん変わっていくんです。自分のためではなく誰かのためにというところはとても共感できます。私自身、努力しても結果が出ないときは、切り替えている感覚はないのですが、とことん落ち込んで、とことん反省して、ということを繰り返しています」
お馬さんに振り落とされるシーンの出来上がりが気になります!
――大変だったシーンや、共演した馬との思い出があれば教えてください。
「お馬さんは全然怖くなかったです。お馬さん自身は大変だったと思うんですが、私は現場にお馬さんがいる方が安心できて、いない日やスタジオ撮影の時はすごく不安でした。瑞穂が何度も乗っては振り落とされるシーンがあるのですが、お馬さんの動きがテイクごとに毎回違うんです。最終的に光司さんに対してセリフを言わなければいけないんですけど、どこにいるのか分からなくて(笑)。『光司さんはどこだ?』って見渡して探しちゃったので、完成がどうなっているのか気になっています」
――やがて瑞穂は、魚のような目をした馬“フィッシュアイズ”と出会うことになります。ご覧になっていかがでしたか?
「本当のフィッシュアイズはいないので、想像しながら演技をする感じでした。でも、原作者の古内一絵さんが現場に来てくださった時に、フィッシュアイズの写真を見せていただいて、『フィッシュアイズって本当に存在するんだ』と思いました」
――競馬が分からなかったとおっしゃっていましたが、本作に出演したことで興味は湧きましたか?
「私は乗り手の方だったので、競馬をやってみたいというより、馬に乗りたい気持ちの方が強いです。今後、プライベートでも時間があれば乗りたいなと思います」
■Profile
平手友梨奈(ひらて・ゆりな)
2001年6月25日生まれ。愛知県出身。2015年8月、欅坂46の一期生オーディションに合格。CDデビュー以降センターポジションを務め、2020年1月まで欅坂46の中心メンバーとして活動。2020年12月25日に1stデジタルシングル「ダンスの理由」をリリース。女優としては2018年9月「響 -HIBIKI-」で映画初出演にして初主演。TVドラマは「ドラゴン桜」(TBS系)などに出演。
「風の向こうへ駆け抜けろ」放送情報
NHK総合
12/18(土)、25(土)後9:00~
撮影/蓮尾美智子 ヘアメイク/Mao
スタイリング/清原愛花 衣装提供/SARARTH(イヤカフ、ピアス)