俳優・辰巳雄大、初主演の思い「努力の先に、道はつながる」

2022/11/25 09:09

「信長未満~」(テレビ神奈川)でドラマ初主演中のふぉ~ゆ~・辰巳雄大さん。現場の様子や俳優として芝居に懸ける思い、周囲への感謝まで、語ってくれました!

ドラマ初主演は、転生を重ねた末に記憶をなくしてニートになった織田信長!?

――「信長未満-転生光秀が倒せない-」は辰巳さんにとって単独初主演のドラマですね。まずはその感想を聞かせてください。

「素敵な役を頂けて、うれしいです。織田信長といえば、僕の事務所では木村拓哉さんが演じていたり(映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』2023年1月公開)、少し前には、King & Princeの永瀬廉が演じていたり(ドラマ「新・信長公記-クラスメイトは戦国武将-」読売テレビ、2022年7~9月放送)、芸能界でも小栗旬さんなど、そうそうたる役者さんが演じていますが、今回の僕の信長はもはやフィールドが違って、ニートなんですよ(笑)」


――織田信長が転生を繰り返した末に、記憶を失った状態で現代の日本にいるという設定ですね。しかも兄弟6人が全員戦国武将で、全員ニートだという。

「1話で『うつけシックス』と呼ばれたんですけど、『シックス』で売ろうっていうのは、V6さん以来ですよね(笑)。それぐらい、信長の『うつけ』な部分がピックアップされているので、そういう意味では誰も演じたことがない、本当に『信長未満』なんです。でも不思議なのは、記憶がないのに、要所要所に信長らしさが詰まっていて、ひと言で全員を動かす何かを持っているんですよ」


――ということは、兄弟の家康(徳川家康:田淵累生)や利家(前田利家:瀬戸啓太)たちにも、史実に基づいた「らしさ」があるのですか?

「秀吉(豊臣秀吉:高崎翔太)が策士だったり、家康が美食家だったり、利家が信長を慕っている部分などは描かれていますね。利家は信長にずっと寄り添ってくれているし、蘭丸(森蘭丸:世古口凌)と信長の関係もポイントになっています。信長がどれだけ『うつけ』でも、必ず蘭丸が正してくれるみたいな」


――「うつけシックス」が揃う撮影現場はどんな雰囲気ですか?

「めちゃくちゃ楽しいです。なんせニートなので、撮影するときは兄弟全員部屋着で、僕の衣装もほぼこのワンパターン。現場に入るときはみんなオシャレな服を着て来るんだけど、役衣装に着替えるとダラけるっていう(笑)。完全にリラックスした状態で撮影に臨むので、みんな、憧れの武将を演じている感はゼロですね。でも呼び方は『秀吉』、『家康』、『勝家(柴田勝家:上野勇希)』と呼んでいるので、その瞬間は血が騒ぐというか。戦国を生きた人たちの血が、巡り巡って辰巳雄大の中にもあると思うので、不思議と『ふっと』入る感じがあって。そういうときに、それぞれの武将らしさが出るっていうのが素敵だし、ピンチになると本分を発揮して、誰かが活躍するのが面白いですよね」

初めてだけど「あうん」の呼吸。最強のカンパニーと巡り会えた幸せ

 
――初回では、働かない「うつけシックス」が税金を払えと言われ、家を取り壊されそうになって輪ゴムで応戦する場面がありましたが、そんな面白シーンも見どころですね。

「毎回ゲラゲラ笑いながらやっているんですけど、モルックの回(第3回)とか、最終的にどういう映像になっているか放送を見ないと想像できないくらい、めっちゃアドリブな現場でした。ゲストで来てくださった、みなみかわさんの芝居も必見で、すごく熱血な回になりましたね。あと、久太郎(堀秀政:高橋怜也)がお掃除の豆知識を披露する回(第4回)では、監督のヨーロッパ企画の酒井(善史)さんがとにかくそれをやりたくて、気合いが違いました。久太郎が酒井さんの生き写しというか、その回だけ久太郎へのダメ出しがすごかったんですよ(笑)」


――確かに、暮らしに役立つ情報が満載でしたね。

「ふぉ~ゆ~で出演している情報番組の『ゴゴスマ~GO GO!Smile!』(CBCテレビ)さんとか、『バゲット』(日本テレビ)さんでもロケに行かせてもらっているんですけど、お掃除の回は、そのロケと一緒の感覚でした(笑)。モルックの回もそうだったんですけど、ドラマとかバラエティーとか、いろんな世界を行き来する自由度がある作品なので、この一作だけで終わらずに、パート2、パート3、そして劇場版と、みなさんの生活に寄り添った作品を届け続けられたらと思っています! 実はこの先の放送で、横浜といえば、っていう有名企業に乗り込む回もあるんですよ」


――あの有名企業さんですね!

「そこで信長が、社長さんに対して、普段は絶対言えないようなセリフを吐くっていう。すぐ謝りましたけどね。『これは信長が言うことで、僕はまったく思っていません』って。でも、ちょっと気持ち良かったです(笑)。すごく不思議なんですけど、今回は早い段階から、演じている時と休憩している時の差がないくらい、兄弟たちの空気感が出来上がっていたので、バラエティーっぽい場面になっても誰もブレないんです。エチュードとか即興芝居を常にやっているような感覚もありつつ、それがプレッシャーにならないっていう最強の兄弟でしたね。何をやっても僕らは『うつけシックス』で、それに蘭丸がオドオドしながらツッコむという。ポンポンポンと進んで行ける安心感が、全員の中にあったと思います」


――監督・脚本の酒井さんはヨーロッパ企画の所属ですが、辰巳さんもいつか一緒にお仕事をしたいと思っていたんですよね?

「ヨーロッパ企画さんでいうと、以前、『ぼくの名前はズッキーニ』という舞台で本多力さんと共演したんです。僕は力さんのことも大好きで、ヨーロッパ企画さんのお話も聞いたりしていました。それが今回、酒井さんとご一緒することができて、お話もたくさんさせていただいて。この間、ヨーロッパ企画さんの『あんなに優しかったゴーレム』を観に行ったんですけど、やっぱりすごいチームだなと、あらためて思いました。僕は舞台も大好きなので、いつかご一緒できるように、末永く関係性を保っていけたらいいなと思っています」

ふぉ~ゆ~と河合郁人と。良い仲間と支え合って進んできた

――今回のドラマについて、ふぉ~ゆ~のメンバーはどんな反応でしたか?

「こっしー(越岡裕貴)は今年1月の舞台『GARNET OPERA』で信長役をやっていたので、今回、信長を演じると決まった瞬間、『こっしーに挨拶に行かなきゃ』と思って。でもすごくないですか? ふぉ~ゆ~の4人の中に信長が2人いるって(笑)。こっしーには、わざと堅苦しく、『失礼します。このたび、信長をやらせていただくことになりました』みたいな挨拶をしたんですけど、めっちゃウケていました。僕はふぉ~ゆ~の結成当時から、お芝居をやりたいと言い続けているので、みんな本当に喜んでくれるんですよ。福ちゃん(福田悠太)は『辰巳、来たね!』って。『やったじゃん!』っていうよりは、『ついに来たね、良かった良かった。何なら遅いぐらいだよ』みたいなことを言ってくれるリーダーなんです」


――最高の仲間ですね!

「福ちゃんとは仕事のことも結構話すので、『やっと来たね』って言ってもらえるのはうれしいですよね。松崎(祐介)は松崎で、本当のファンになってくれるというか『信長未満』を放送している時の画面を、写メして送ってきてくれるんですよ。初回放送の後にそのまま出演させていただいたバラエティー『関内デビル』も、写真付きで『見てるよ~』って送ってくれて。そういう男なんで、すごく愛してくれるんです」


――辰巳さんは、A.B.C-Zの河合郁人さんとも親友の間柄ですが、お互いの活動について、今はどんな思いがありますか?

「郁人とは昔、ルームシェアしていたぐらい親友ですからね。郁人はA.B.C-Zになる前から、ずっとバラエティーに出る準備をしていて、自分はそこに行くんだっていう強い思いで努力していたんです。僕も郁人には、演技が大好きだから芝居をやりたいってずっと話していて。そのために模索していた期間を2人で過ごしていたので、まず郁人がバン!とテレビに出たのがめちゃくちゃうれしかったし、刺激にもなりましたね。でも本音を言うと、やっぱり親友だから、どこかで若干の悔しさもあるみたいな。だから今回、僕も初主演を果たせたことで、『俺ら、来たな!』っていうところに入れたのかなって」
 

――道は違っても、共に夢を追える関係なんですね。

「最終的に『一緒に売れよう』っていう気持ちは持っていたけど、35歳で2人してこんなにテレビに出るとは思わなかったから。郁人はいつか出ると思っていたけど、本当に2人して同じようなタイミングでね。これはなんか…俺ら親友、『持ってるな』って(笑)

役者としての目標に向かい、一生懸命やっていけばきっと道はつながる

――とはいえ、辰巳さんは役者だけでなくバラエティーでも弾けています。河合さんと一緒に出た「すこジャニ~ルールだらけの旅~」(フジテレビ、2020年、2021年放送)では、辰巳さんが面白過ぎると話題沸騰でした。

「それもありがたいですよね。ドラマに出たい映画に出たい、芝居やりたいっていう気持ちは変わらないけど、バラエティーにもたくさん呼んでいただけるようになって、僕はあそこでちょっと人生変わりました。もともとテレビが大好きで、バラエティー番組も大好きなので、そこに自分がいるっていうのはめちゃくちゃうれしいことだし、演技の幅も広がると思うんですよ。バラエティーの僕を見てくださった方に、『この吹っ切れたキャラ、辰巳くんに任せられるんじゃない?』と思ってもらえたらありがたいですし。そう考えると、この年齢までジャニーズでそんなに出ていなかった僕が、みなさんに伝えられることがあるとしたら、自分が一生懸命やっていることに間違いは一個もないっていうことだと思うんです。今でも迷いはあります。僕はずうっとずうっと迷い続けてはいるんですけど、自分が動いて、一歩踏み込んで、一生懸命やったことは絶対に無駄じゃないと思いますね」


――迷って止まるのではなく、迷いながらも進み続けると。

「本当はバラエティーに出るのが怖かったんですよ。もうお芝居に呼んでもらえなくなるのかな、シリアスな役が遠のくのかなって。役者さんならみんなあると思うんですけど、僕も例外ではなく、悪者を演じたい欲があるので、そんな役はもうやれないんじゃないかって、怖い気持ちもありました。今まで舞台では狂気をはらんだ役もやらせていただきましたが、いつか映像の世界でもやりたいっていう願いもあるので。でも今は、全部いつかのためにつながると思ってやっています。これやって大丈夫かな~と思っても、一生懸命やっていたら絶対誰かが認めてくれると思うし。目標に向かって、直線じゃなくてもどこかでつながると自分で思っていれば、つながるんだなって、あらためて思いましたね。それに、バラエティーに出ていなかったら『信長未満』にも出演できていないかもしれない。こんな素敵な作品の座長になれなかったかもしれないですから(笑)」

いつも愛をありがとう!

――「TVガイドみんなドラマ」では、ファンの皆さんがコメントを投稿できるのですが、ドラマ「信長未満」のページに「#辰巳雄大」を付けての投稿を求めるアピールコメントをお願いします!

「怖いですねー(笑)。でもうれしいです。僕としては、今日取材に来てくださったこともそうだし、読者の方にも、『辰巳雄大を見つけてくれてありがとう』っていう気持ちが、まずは一番にあるんです。長いジャニーズ人生の中で、ついに主演ドラマをやらせていただいて、それをみなさんに届けられる幸せをかみしめています。初回放送のときも、『#辰巳雄大』をトレンド入りさせてくださったり、『#信長未満』が盛り上がったりして、本当に感謝しています。なのでぜひ、この『信長未満』と共に、わたくし辰巳雄大も、秋ドラマの中で盛り上げていただけたらうれしいです。いつも本当にたくさんの愛をありがとうございます。僕、もうすぐ誕生日で、11月25日で36歳になるんですよ。なので、誕生日プレゼントに『#辰巳雄大』でコメント待ってます! 僕も読みますからね!」

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■Profile
辰巳雄大(たつみ・ゆうだい)

1986年11月25日生まれ。埼玉県出身。2011年4月より、4人組グループ「ふぉ~ゆ~」メンバーとして活動するほか、役者として舞台を中心に活躍する。近年はバラエティー番組にも多く出演し人気を博している。

「信長未満-転生光秀が倒せない-」放送情報

テレビ神奈川
毎週火曜 後11:00~


撮影/尾崎篤志 取材・文/幸野敦子