新人女性騎手、芦原瑞穂(平手友梨奈)は養老牧場を営んでいた父を震災後に亡くした。
その後、中央の競馬学校を卒業し、プロデビューするものの成績は上がらず苦しんでいた。そんな瑞穂を迎え入れたのは、地方競馬の鈴田競馬場の緑川厩舎だった。そこは、今にもつぶれそうなボロボロの厩舎で、やる気のない調教師・緑川光司(中村蒼)と、頑固で融通の利かないベテラン厩務員たちと馬には優しいが人には心を閉ざした失声症の若い厩務員がいた。
そこは、社会のあぶれものばかりが居る藻屑(もくず)の漂流先と言われ、他で使い物にならないと言われ者たちのたまり場だった。
【キャラクター&キャスト】
・芦原瑞穂(平手友梨奈)
女性騎手。物心ついた頃から馬に接し、騎手学校ではトップだったが、中央競馬でデビュー後は伸び悩み。地方競馬の鈴田にやってくる。志半ばで亡くなった父をバカにした人たちを見返したいと頑張っていたが、光司たちとの出会いにより、一緒に戦う仲間の存在を知り、過去から解放され仲間の為にレースに挑む。
・緑川光司(中村 蒼)
緑川厩舎の調教師。G1を制した元スタージョッキーだったが、八百長疑惑で引退しダメな連中ばかりが集まる「藻屑の漂流先」と呼ばれる厩舎を率いる調教師。瑞穂のひたむきな姿に、希望を取り戻す。
・木崎誠(通称:アンちゃん)(板垣李光人)
緑川厩舎の失声症の厩務員。端正な顔立ちの美青年。究極に愛想が悪く無口。誰よりも熱心に馬の面倒を見る。そのおかげで馬の不調を見抜くことも。瑞穂の出現で次第に自信と声を取り戻す。
・徳永隆明(通称:トクちゃん)(高橋侃)
川厩舎の厩務員。お調子モノで、自称緑川厩舎唯一のマトモな人間。実は他の競馬場で借金トラブルを起こし、緑川厩舎に流れ着いた。エセ関西弁でノリがよく厩舎のムードメーカー!?
・山田源治(通称:ゲンさん)(小沢仁志)
緑川厩舎の厩務員。人に言えない過去を持ち人生を諦め、いつも酒臭い酔っぱらい。老齢の牝馬ツバキオトメだけは異様に溺愛している。強面だが、根はやさし男。誠の再生に尽力を尽くす。
・蟹江茂貞(通称:カニ爺)(大地康雄)
緑川厩舎の厩務員。厩舎の創設時からの古株の厩務員。耳が遠く、その為か声が必要以上にデカい。最初は、「女がワシの馬に乗るなんて縁起でもない!」と塩を撒くほどの昔ながらの人。
・大泉幸正(石井正則)
鈴田市競馬事業部の広報課職員。鈴田競馬を盛り上げ守ろうと必死、その一案として瑞穂にバラの勝負服を着せ話題作りを画策。少しズレてはいるが競馬場を守りたい気持ちは強い。
・池田 満(降谷建志)
鈴田競馬場のリーディング(最多勝)ジョッキー。リーディングジョッキーでも寮暮らししかできない鈴田に見切りをつけ、妻と子供の為に、JRAに移籍しようとしている。
・佐々本 貴士(奥野壮)
瑞穂と同世代のJRAスーパールーキー。中央の競馬学校では、真面目がゆえ瑞穂にキツく当たるが、地方から桜花のトライアルレースに挑んでいる瑞穂を温かく受け入れる。
・月柴久明(池内博之)
鈴田市で代々不動産業を中心に手広く事業を営む企業の三代目。鈴田を牛耳る馬主。女性好き。瑞穂にセクハラをしようとして揉めて以来、緑川厩舎を目の敵にする。
・沢田奈保美(剛力彩芽)
ベルフォンテーヌの馬主。したたかで上昇志向が強い女性。ベルフォンテーヌが中央馬になることを望んでいる。女性騎手の瑞穂には冷ややか。しかし心の底では競走馬を愛している。
・芦原 一樹(玉山鉄二)
瑞穂の父。生産牧場で働き、G1で活躍した馬・シーギリアを引退後も面倒見るため養老牧場を経営、誰より馬を愛し瑞穂を愛した人。一樹の馬への思いが、後に瑞穂を騎手に向かわせる。
・山名隆一郎(奥田瑛二)
鈴田の大企業・ヤマナ自動車の会長。愛馬・シーギリアが引退し、瑞穂の父・一樹が亡くなった後、競馬から身を引く。父親を亡くした瑞穂を気遣い桜の植樹に誘う。騎手になった瑞穂を陰で支えていく。
【スタッフ】
・原作
古内一絵「風の向こうへ駆け抜けろ」
・脚本
大森寿美男