奈津(檀れい)と共に、江戸で仲睦まじく暮らす半兵衛(水谷豊)。その一方で用人の勝谷(岸部一徳)は、半兵衛の身の回りの世話を奈津に取られてしまった、とへそを曲げてしまう。半兵衛は、そんな勝谷のために、半兵衛に「欲を捨てる」という隠居の作法を伝授した幸之助(前田吟)を訪ねるも、幸之助は若い娘・花枝(大友花恋)に入れあげており、隠居生活などどこへやら。さすがの半兵衛も言葉を失ってしまう。
そんな中、江戸で火事が頻発。老中・松平定信(杉本哲太)が焼け出された町人たちへ公儀から下される給付金・下付金に頭を痛めている一方、半兵衛の息子で使い番の新太郎(田中偉登)は、部下の定火消・秋川(河相我聞)の活躍もあって、上役からの評価を上げていた。
勝谷、奈津と共に貧しい村の老人たちを慰問した半兵衛は、田畑を失い病に苦しむ仙吉(山口良一)を見舞う。「娘のお里が江戸で金を稼ぐと言って家を出たまま連絡もない」と自暴自棄になる仙吉に、「娘を探してやる」と半兵衛が約束し、元気づける。
その頃、帰宅した半兵衛らを待っていた新太郎は、誰よりも早く火事の現場に到着する秋川の手際の良さに疑問を抱いていた。大火事にならず民のためになっているならと激励する半兵衛だが、焼け出された町民たちのことが気に掛かる。しかも、かわら版の「火事場泥棒番付」では、熊田屋が一番に儲けているという噂だ。店主の茂蔵(金田明夫)が、甘い言葉で焼け出された町民たちに金を貸していることもあり、新太郎に熊田屋を野放しにすべきではない、と半兵衛が強く進言する。
そして、またも江戸の町に火事が発生した翌日、火付盗賊改方同心の文蔵(山中崇史)が半兵衛を訪ねてきた。頻発する火事のことで気になることがあるという。江戸を脅かす火事にまつわる、ある奇妙な偶然があるようで…⁉