細胞生物学の権威で、宮中歌会始の選者を努める歌人・永田和宏 んは、 妻であり同じく高名な歌人の河野裕子さんを12年前、ガンの闘病の末に亡くした(享年64)。
「たとへば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか」
河野裕子教科書にも掲載されてきたこの有名な歌は、若き日、煮え切らない態度の自分に対して河野さんが奮起を促した歌だと永田さん自身は解釈してきた。
ところが河野さんの死後、実家の押し入れから、彼女が結婚前に綴っていた大量の日記が発見される。その記述によって、実は「ガサッと」の歌が生まれた時期、河野さんは2人の男性との恋心で苦しい葛藤の日々を送っていたことが明らかになっていく。
「訊くことはつひになかつたほんたうに俺でよかつたのか訊けなかつたのだ」
永田和宏ドラマは、永田さんが綴った手記をもとに、出会いから結婚までの2人の青春の日々を描く。