日本テレビ系朝の情報番組「ZIP!」で放送されるドラマ「サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days」に出演する奥平大兼さんにインタビュー。
隕石衝突による地球最後の31 日間が描かれ、曜日ごとに主人公が変わるリレー形式で物語が進んでいく「サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days」。
本作で火曜日の主人公・椿木宙(つばき そら)を演じる奥平さんに、作品への意気込みや演技に対する思いなどを聞きました。
自分が体験してきた“高校生らしさ”を出せたら
――本作は曜日ごとに主人公が変わり、各話の長さは約8分間。斬新な形の連続ドラマですが、オファーを受けてどのような印象を受けましたか?
「このような形式の作品に参加するのは初めてなので、全然予想がつかないです。『お芝居の形とかが変わるのかな?』と想像しつつ、自分にできることを精一杯やって、撮影現場で流れを掴みながら演じていけたらと思っています」
――そして、ドラマは朝の情報番組「ZIP!」で放送されますね。
「朝学校に行く前、ちょうど家を出発するタイミングで『ZIP!』が終わるんですよ。中学も高校も、『終わった! よし、じゃあ学校に行こう』という感じでした。朝ご飯を食べてちょっとゆっくりしながら『ZIP!』を見て…言うなれば、朝のルーティンですね。朝の一部だった番組にこうして出演させていただけるのは、すごく嬉しいです」
――出演が決まったときの周囲の反応はいかがでしたか?
「家族が一番『おお』って驚いていました。リビングで家族と一緒に見ている番組だったので。役者の友達は、『面白そうだね』とか『楽しみにしてるよ』と言ってくれています」
――奥平さんが演じられる椿木宙について、脚本を読んでの印象や、役作りでイメージしていることはありますか?
「台本を読むだけでは、どういうお芝居をするのかまだ想像ができなくて。撮影現場に行って、『みんなはこういう風に演じるのか』というのを頭に入れることで『じゃあ、自分はこうしたいな』という気持ちが出てくるんです。このシーンでこういう動きをしようとか、こういう言い回しをしようとかはまだ考えていないです」
――監督と相談したり共演者の方の演技を見たりしながら、ということですね。
「そうですね。監督ともお話しして考えられたらと思います。僕も役と同じ現役高校生なんですけど、最近若い子の感覚が失われつつある気がしていて…(笑)。ちょっと童心に戻りつつ、撮影現場も楽しめたらと思います。宙には、『そんなこと思いつくんだ!』と驚かされることもありますね。現役高校生なりにというか、僕自身が体験してきた“高校生らしさ”を出せたらいいなと思います」
――奥平さん的、この作品の見どころは?
「まだクランクイン前なので具体的に挙げるのは難しいですが、各話が短いので、朝手軽に見られるのは一つですね。あとは、地球が滅亡するというSF的な大きなテーマですが、その中で出てくる人たちはリアルで現実味があるというか。だからこそ、僕自信もお芝居するのがすごく楽しみです。本当にそういう状況になったら、こういう風に思うのかな…と想像したりします」
――もしも本当に地球に隕石が衝突することになったら、残された時間をどう過ごしますか?
「とりあえず、お金を全部使いますね(笑)! あと一か月で地球が滅んじゃうってなったら、やりたいことも絶対にできなくなってしまうので。友達とか、今まで仲良くしてきた人たちとご飯を食べたり、いっぱい話して、最後は楽しくぱあっと終わりたいです!」
――“好きなことをやり尽くす”という感じですね! さて、放送開始の3月1日は火曜日。奥平さんがトップバッターですね。
「そっか、そう考えると緊張しますね(笑)。でも、最初だからといって意識することなく、(視聴者の方に)『明日も見たいな』と思っていただけるようなお芝居ができたらいいなと思います」
――火曜日と聞いて連想するものはありますか?
「学生なので、時間割が出てきますね。月曜だったら“週の始まり”とかイメージあると思うんですけど、火曜日…。けど、週の初めなので、頑張る曜日ですかね」
――奥平さんにとって、週初めは“頑張るスイッチ”が入っているタイミングなんですね。
「月曜日が憂鬱っていう気持ちはあまりないですね、やることは変わらないので(笑)。曜日によってやる気が出ないな~となると、仕事に対するテンションも変わってしまいそうなので、モチベーションは崩さないようにと思っています」
――ちなみに、好きな曜日を挙げるとしたら?
「土曜日が好きです。お仕事をしていると土日休みっていう感覚はないんですけど、土曜日は“休みの日”というイメージがあって。次の日も休みって思うと嬉しいかな。やりたいことができる曜日だと思います」
オーディションは、ありのままの自分を見てほしい
――今回、月曜日の主人公がオーディションで選ばれましたね。奥平さんは、オーディションを受ける際に大切にしていることはありますか?
「自分を取り繕ったり、もっと言えば、猫をかぶったりするのがあまり好きではなくて。できるだけ自分の素を出したいというか、自分の素を見て判断していただきたいと思うので、失礼がない限りはできるだけフラットにいるようにしています」
――印象に残っているオーディションは?
「やっぱり、最初のオーディションですね。デビュー作(映画『MOTHER マザー』、’20年)はオーディションだったんですけど、とにかく初めてだったので何も考えられていなかったです。最低限のことをやろうというか…。初心の気持ちは今でもあるので、印象に残っているオーディションです」
――ありがとうございます。では、今後の活動への意気込みや目標を教えてください。
「自分のお芝居で相手のお芝居を変えることができる、そんな役者になりたいです。『MOTHER マザー』で、母親役の長澤まさみさんと2人でお芝居をさせていただいたときに、ここで泣けたらいいね、みたいなシーンがあったんです。でも、テストでは泣けなくて…。泣くのを我慢する芝居をしていたんですけど、本番で長澤さんのお芝居を目の前にしたら本気で泣いちゃって。泣くつもりはなかったんですけど、長澤さんのお芝居に引っ張られて…」
――奥平さんご自身も思いがけない、“本当の涙”だったんですね。
「それって、すごいなと思って。もちろん簡単にできることではないですが、そんなシーンに出合えたら嬉しいです」
――活躍が増える中、演技や仕事に対する意識の変化、気付きなどを感じることはありますか?
「作品を重ねるごとに、このシーンをいいものにするためにはどうしたらいいんだろうとか、撮影の楽しみ方とか、そういったことを自分で考えられるようになったのは最近の変化ですね。演技のレパートリーは経験で増えていくと思うので、セリフを覚えることで精一杯だったところから、周りの演技を見て自分はこういうことがしたいと思えるようになったりと、演技の引き出しが前より増えていると思います」
――ちなみに、奥平さんの“推し”ドラマは?
「初めて『このドラマ好きだな』と思ったのは、『JIN−仁−』(TBS系、’09年)です。ちっちゃい頃めちゃくちゃ好きで、その時はまだお芝居がどうこうっていうのはもちろん分らなかったんですけど、シンプルに面白くて憧れた作品ではありますね。最近も見返しました(笑)!」
――その年を代表する、大ヒットドラマでしたね。
「ちなみに映画で言うと、昨年公開された河瀨監督の『朝が来る』ですかね。同世代の蒔田彩珠さんが出演されていて。昨年のアカデミー賞でご一緒させていただいたのをきっかけに見たんですけど、内容はもちろん、お芝居もすごくて。すごいお芝居をする同世代の先輩がいるんだなと思うと自分も頑張らないと、と思えて、やる気をもらいました。いつか共演できたら嬉しいです」
■Profile
奥平大兼(おくだいら・だいけん)
2003年9月20日生まれ。東京都出身。2020年、映画「MOTHER マザー」で俳優デビュー。演技未経験ながらオーディションを勝ち抜き、メインキャストの周平役に抜擢される。同年、「恋する母たち」(TBS系)でドラマに初出演すると、「ネメシス」(日本テレビ系)、「ナナフシギ」(LINE NEWS動画プロジェクト『VISION』シリーズ)など話題作に出演。待機作に、映画「マイスモールランド」(5月6日公開)、主演ドラマ「WOWOWオリジナルドラマ 早朝始発の殺風景」(今年放送予定)があり、また、現在「卒業式に、神谷詩子がいない」(日本テレビほか)に出演中。
「サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days」放送情報
日本テレビ
3/1(火)スタート 毎週月曜~金曜 前7:50頃~
※日本テレビ系「ZIP!」で放送
■キャスト
火曜日の男子高生:椿木宙(奥平大兼)
水曜日の女子高生:観月未希(南沙良)
木曜日の物理教師:渡会実(北村一輝)
金曜日の喫茶店主:金島陽子(真木よう子)
月曜日の引きこもり:佐藤開(西岡星汰)
撮影/尾崎篤志 ヘアメイク/荒井智美
スタイリング/小林祥子