「素晴らしき哉、先生！」（ABCテレビ・テレビ朝日系にて2024年7～9月クール放送）の脚本・演出を務めたのは、タクフェスの主宰や俳優としても活躍する宅間孝行。物語へ込めた想いや教職員たちへのエール、ドラマを彩ったキャストたちの撮影秘話を全3回でたっぷりとお届け！
（本稿は発売中の「『素晴らしき哉、先生！』公式フォト＆シナリオブック」内の一部記事を抜粋、再構成したものです）
きっかけは「＃教師のバトン」。教師の現実はドラマよりも大変です
――本作を作るに当たって、まずはどんなことを描こうと考えましたか？
「世間を賑わせている教師のニュースは、刑事事件だったりとセンセーショナルなことが多いのですが、それよりも教師生活の日常に触れた問題を提起したいなと考えました。きっかけとなったXの『＃教師のバトン』は今でもフォローしていて、日々いろいろな情報が入ってくるんですけど、印象的だったのは1話で取り上げた万引きのエピソード。劇中でも使ったんですけど、僕も実際に『万引きをしたら学校に連絡の上、先生に迎えに来てもらいます』という張り紙を見つけたんですね。『なんで教師が行くの？ おかしいだろう』と思ったり『本来は親が担うべき責任を教師が負い過ぎていないか』と感じて、張り紙を写真に撮って、スタッフとも共有したほどです」
――『＃教師のバトン』はXを中心に、大きな話題になりました。
「『先生がスタバのカップを持って学校に行っていた！』と言われていたり……。ドラマでも『お酒を買っていた』『下着を買っていた』という取り上げ方をしましたが、現実ではさらに上を行くというか……。教師の皆さんは周囲の目も気にしつつ、部活の有無、修学旅行だなんだのイベントなど、授業以外のやらなければいけないことが多すぎる。さらに修学旅行の下見に生じる費用は全部自腹らしいんですよ。普通の企業だったら経費じゃないですか。でも先生たちは割とさらっと『自腹です』と言っていて。ほかにも地方の学校だと車通勤になりますけど、公立の学校だと自宅から市や県をまたぐことも多くて『ここまでは交通費を支給できるけど、ここをまたぐと出ない』ということも多いんですよ。それを取材してこっちは初めて知るんですけど、一方で教師も『え、世間って経費で出るの!?』という状態で、世間知らずみたいなこともあったりして。『＃教師のバトン』を見ていると、働き方に関する苦言や困りごとが多いですね」
――実際に先生たちに取材やリサーチをしたそうですが、その中で印象的だったことはありますか？
「これはモンスターペアレントですね。『親にこんなことを言われた！ あり得ないですよね!?』みたいな。結局、いろいろな話を聞いていると、問題のある子供たち、問題があると言われているような子供たちって、往々にして親との関係に基づいているというのがすごくあって。やっぱり家庭に何らかの問題……と言ってしまっては齟齬があるかもしれませんが、そういったことが影響していることが多くて。一方の先生たちも長い経験で見越しているところもあって、親や家庭になにかあるのかもと調べたりすると『やはり……』ということも多いそうです」
（「『素晴らしき哉、先生！』公式フォト＆シナリオブック」より抜粋・再構成）
■Profile
宅間孝行（たくま・たかゆき）
1970年生まれ、東京都出身。俳優、脚本家、演出家、映画監督。劇団「東京セレソンデラックス」主宰を経て、現在は「タクフェス」主宰。監督作品に映画「あいあい傘」（’18）、「LOVE HOTELに於ける情事とPLANの涯て」（’19）、脚本を手掛けたドラマに「花より男子」シリーズ（’05、’07、’08）、映画「くちづけ」(’13)、映画「ヒートアイランド」(’07）などがある。YouTube連続ドラマ「THE BAD LOSERS」シーズン1＆シーズン2が現在配信中。
好評発売中！「『素晴らしき哉、先生！』公式フォト＆シナリオブック」
定価：3,000円（本体2,727円）
発行：東京ニュース通信社
【主な内容】
●生田絵梨花 とじ込みピンナップ＆グラビア＆インタビュー
●ドラマ名シーンフォトアルバム
●特別公開！ キーアート・メイキング集
●幻の結末が収録！全8話シナリオ完全版
●脚本・演出／宅間孝行ロング・インタビュー
●人物関係図・大人編＆生徒編
●現役の先生たちの「声」
●完全網羅！ 星陽学園高等学校 生徒名簿
●撮影オフショット
表紙カバーは「通常版」と「Amazon版」の2種類！
Amazonにて「【Amazon.co.jp 限定】『素晴らしき哉、先生！』公式フォト＆シナリオブック Amazon限定表紙版」をご購入の方に、通常版とは異なる表紙／裏表紙絵柄の「『素晴らしき哉、先生！』公式フォト＆シナリオブック」をお届け！ Amazonでのご購入についてはこちらをご覧ください。
※表紙カバー以外は通常版と同じ内容となります
通常版カバー
Amazon限定表紙版カバー
取材・文／高橋ダイスケ 構成／袴塚信彦