「95」がいよいよクライマックス!倉地P「ちょっと男臭いかも」

2024/05/27 23:11

髙橋海人主演ドラマ「95(キュウゴー)」がクライマックスへ! テレビ東京・倉地雄大プロデューサーに最終回に向けての見どころや、キャスト、作品への思いを聞きました。

チームが一つの覚悟を決め「最大の敵」に立ち向かう

テレビ東京開局60周年連続ドラマ ドラマプレミア23「95(キュウゴー)」は、1995年の東京・渋谷が舞台の青春群像劇。

1995年3月20日、「地下鉄サリン事件」で初めて「死」を実感した秋久(髙橋海人)は、突き動かされるように現場に向かう。そこで会った同級生の翔(中川大志)から「チームに入らないか」と誘われた秋久は、翔、マルコ(細田佳央太)、レオ(犬飼貴丈)、ドヨン(関口メンディー)と共に「カッコいい大人になるため」に、時には道を踏み外しながらも、これまで体験したことのない刺激的な毎日を過ごすことになる。

そんなある日、翔が何者かに襲われる。犯人を追究する秋久、秘められていた翔の本音、秋久の初恋相手・セイラ(松本穂香)が抱える絶望、さまざまな思いが交錯する中で、チームは一つの覚悟を決め、待ち受ける「最大の敵」に向かっていく!

秋久たち「チーム」はどこに向かうのか…注目が集まる最終回に向けて、テレビ東京・倉地雄大プロデューサーに見どころや作品への思い、制作エピソードを語ってもらいました。

最初の脚本では現代の渋谷の人々はマスクをしている設定だった

――改めて、「95(キュウゴー)」という作品は、どのようにスタートしたのでしょうか。

「コロナ禍で出社が制限されていた時期に、早見和真先生の原作小説に出合いました。面白くて一気に読み終えて、その勢いで企画書を書きました」


――コロナ禍に原作と出合ったということは、企画から撮影まで、準備期間が結構あったんですね。

「そうですね。企画の段階では、新型コロナウイルスのことにも触れようと思っていたんです。それこそ最初の脚本だと、現代パートの部分でみんながマスクをしている渋谷に、高校生の秋久が降り立って…みたいな入り口でした。コロナが落ち着いてきて、行動制限もなくなったのでかなり変更になりましたけど、当時の『地下鉄サリン事件』のような、得体の知れないものへの不安が、今の僕らで言うとコロナが一番近いのかなって感じていて。そんな今だからこそ、伝わる物語なんじゃないかと思っています」

主演・髙橋海人は「人の心を動かすお芝居をされる方」

――主人公・秋久(Q)を演じる髙橋さんが「ハマり役」との声を聞きます。

「めちゃくちゃハマり役ですよね。企画が決まって、このドラマを誰にやってもらいたいか考えたときに、髙橋さんが真っ先に浮かびました。髙橋さんは『ドラゴン桜』(2021年)を拝見していて、人を惹きつける魅力があって、人の心を動かすお芝居をされる方だなって思っていたんです。マルコ役の細田さんも出演していて、2人のお芝居がとても印象に残っていたと伝えたら、髙橋さんからは『だから僕と佳央太だったんですね』って言われました」

――さえない真面目な高校生だった秋久が、仲間を得て、外見だけじゃなく内面も徐々に変わっていく様子がすごくリアルだと思いました。

「髙橋さんの役になりきる力がふんだんに発揮されています。ケンカのシーンに備えてクランクイン前からアクションの練習をしてくれていましたし、何度も台本を読み返して、真摯に役作りをして撮影に臨まれていました。カラオケでコギャルに絡まれていた秋久が、まさか自分から戦いに挑んでいくようになるとは想像できなかったですし、セイラとデートできる日が来るとも、一夜を過ごすとも思いませんでしたよね(笑)」


――5話のデートシーンでは初々しさにキュンキュンしたのに、そのあとの急展開に驚きました。告白のシーンで、キツネのお面の人たちが2人の間を通過していったのが気になっていたんですが…。

「一部、SNSでも話題にしていただきましたが、あれは『これから不穏なことが起こる』という城定(秀夫)監督の演出です(笑)」

「東京リベンジャーズ」のようにカッコよく戦うシーンも見どころ

――確かに、6話で翔が襲われ、7話で秋久やドヨンもボコボコにされました。

「キューティーハニーの大黒(勝矢)という、とんでもなく強い相手が現れる中、翔が何のためにチームを作ったのかがハッキリして、チームに覚悟ができるというか、一つの方向にまとまったのが8話です。今後、いわゆる抗争みたいなことになっていくので、ちょっと男臭いかもしれないですが、『東京リベンジャーズ』のように、彼らが一人一人カッコよく戦うシーンも見どころの一つになっています」

――アクションシーンでは、秋久が中国拳法、ドヨンがボクシングなど、戦い方も個性的ですね。

「それぞれのキャラクターごとに戦い方が違うので、そういった部分も楽しめるんじゃないかと思います。撮影中も演者の皆さんはアクション部のスタッフと動きをどう組んでいくか、ケガをしないようにという部分も含めて、練習やコミュニケーションを重ねて本番に臨んでいました。そうやって取り組んだアクションシーンが、9話、10話に盛りだくさんになっています」

1995年と現在の両方で決着「見守って受け止めてもらえたら」

――それが、1話のはじめの、翔が叫んで、秋久が走り出すシーンに繋がっていくわけですよね。

「そうですね。作品のテーマが『ダサい大人にならない』とか、『カッコいい大人になっているか』みたいなところにあって。そのために1995年を必死に生きている彼らが、どこに向かって、どうやってあのシーンにたどり着くのか、見届けていただきたいです。すべてが終わったとき、秋久の母親の悦子(紺野まひる)や、翔の母親の玲子(斉藤由貴)が子どもに対してどんな思いを持っているのかも明らかになります。また、安田顕さんが演じる現代パートの秋久も、セイラの娘である萌香(桜井ユキ)に対して一つの答えを示します」

――1995年、そして現在、両方で決着がつくわけですね。

「彼らがやっていることは決して正しいことではないし、そこを賛美している物語でもない。だけど、周りの大人の思いや、間違っていても彼らが一生懸命やったことの正体とか、そういうものを受け止めてもらえるといいなと思っています」

■profile
倉地雄大(くらち・ゆうた)
2014年テレビ東京入社。助監督やAPを経て「銀と金」(2017年)にてプロデューサーデビュー。主なプロデュース作品は、「夫を社会的に抹殺する5つの方法」(2023年、2024年)や「婚活探偵」(2022年)、「死役所」(2019年)、「電影少女」(2018年、2019年)など。

■エピソードトーク「倉地Pの推しドラマ」
「やまとなでしこ」(2000年/フジテレビ)
「好きなドラマはたくさんあるんですけど、小学生ながらに見たこのドラマの衝撃が忘れられず、思わず『ドラマを作りたい!』と心に誓ったことを昨日のように覚えています。10年後も、20年後も…。僕がそうであるように、誰かにとってずっと心に取っておいてもらえるようなドラマを作れるように頑張っています!」

テレビ東京開局60周年連続ドラマ ドラマプレミア23「95(キュウゴー)」放送情報

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取材・文/陰山ひとみ