そんなわけで、「大奥」は、第二回でいよいよ本領発揮パート1。女の園でのいじめが描かれた。
京から徳川十代将軍・家治(亀梨和也)もとに嫁いできたヒロイン倫子(小芝風花)と付人のお品(西野七瀬)が、大奥総取締・松島の局(栗山千明)はじめ女中一同からいたぶられる。上様に挨拶をすれば全員にそっぽを向かれ、割れた骨董の代償にと女中三百人分の懐紙入れを翌朝までに手作りする羽目になる。しかも、作りかけた懐紙入れはびりびりにされてしまう。ものすごくわかりやすいいじめだ。それでも気を取り直し、「この城での無用な嫌がらせやそしりは断じて許しません!」と宣言した倫子だが、家治の朝の集合に遅れたことで松島に「無礼千万!!」と言い返されて言葉に詰まった。倫子はどうなる!?
一方、家治は家治で、過去に怖い目にあったらしく、なぜか老中の田沼意次(安田顕)には逆らえない様子。半分欠けた眉毛にへの字口でいつも嫌な顔をしている田沼は、松島と結託して自分たちが操れる側室を送り込もうとするのである。
倫子と家治にとっては、どっちを向いても敵、敵、敵。ものすごいところですな、大奥って。
よく考えてみれば、女たちの頂に立つのは将軍の正室である倫子、徳川政権の頂にいるのは家治で、本来、誰も逆らえないはずなのに、なぜか家臣たちのほうがぐいぐい押してくる。多勢に無勢。逆パワハラ大奥という構図なのだ。
そんな中、完全無表情だった家治にちょっとだけ変化が。倫子が作ったトンボ柄の懐紙入れを欲しがったのである。とはいえ、いざ、寝間に入ると倫子には他に好きな男がいるのだろうと言い、背を向けて寝てしまう。ここで家治は目を閉じてないのだった。「倫子への無表情メッセージ」。今回のポイントは、ココだ。
さらに深読みすれば、自分が倫子ににっこりしたり、デレデレして好意を示したら、ますます敵が増えることをこの上様は知っているのではないか。「大奥」においては、愛されキャラは殺されキャラ。毒で事故で刺客で、いつ狙われるかわからない。命がいくつあっても足りないのである。むっつり無表情にも、相手を守るという意味があるのでは。
第三回では、側室の座を巡るバトルにもつれ込む。誰がどう仕掛けてくるか。「大奥」の本領発揮パート2である。
文/ペリー荻野
「大奥」 放送情報
フジテレビ
毎週木曜 後10:00~10:54