名作ドラマの陰に、名曲あり――。
ドラマに欠かすことができないもの、その一つが音楽。
国民的大ヒットとなった主題歌や、名シーンの後ろで流れていた劇伴(げきばん=BGM)など、あの曲がドラマを観る側の気持ちをぐーっと高めてくれた……そんな経験は誰しもあるはず。
今回はドラマから飛び出し、1980年代を代表するバンドを生み出した名曲を紹介します。
今回ご紹介するドラマは、1985年10月9日から同年12月25日まで日本テレビ系列にて、全12話が放送されたテレビドラマ『ハーフポテトな俺たち』です。
今では司会やタレントなどで大活躍の中山秀征が、ABブラザーズとして活動していたころの初主演作が本作。
出演は、当時モデルとしても人気があった湯江健幸(現・湯江タケユキ)や香坂みゆき、柳沢慎吾、桑名正博、今井美樹、河合美智子など。また、PJやヒロコ・グレース、ヒルビリー・バップスの宮城宗典など、意外なキャストも登場します。
当時、リアルタイムでこのドラマを見ていたんですが、なんといっても主題歌を歌うレベッカが印象的でした。キャスティングした方は、ほんと良い仕事をしています。
オープニングで流れる「ガールズ ブラボー!」には、レベッカが演奏している映像が使われ、NOKKOの元気なライブパフォーマンスが、ドラマのオープニングの勢いを感じさせてくれました。

日本テレビ系「ハーフポテトな俺たち」
▶イラスト:emi555
ストーリーは、高校2年生の野村薫(中山秀征)がアルバイトをするハンバーガーショップが主な舞台。そこで出会う同級生の秀吉(湯江健幸)や静(河合美智子)、年上の松本早苗(香坂みゆき)、宮坂正三(柳沢慎吾)、店長の堀田亮介(桑名正博)。アルバイトを通じて出会うそれぞれの事情を抱えた人たち、その社会の中で、恋や友情に悩む思春期の心情を描いたドラマでした。
僕は年齢も近かったこともあり、このドラマを見て、ハンバーガーショップのアルバイトや、綺麗なお姉さんの先輩像に憧れたものでした。
特に湯江さんが演じる秀吉くんがハマり役で、着ている服装がお洒落で、不良なんだけど影がある感じなど、少女漫画に出てくる“気になる男子感”がハンパなかったです。
そして主役のヒデちゃん(この頃から、僕のなかでは中山さんではなく「ヒデちゃん」でした)の、優柔不断な感じ、冴えない感じ、まさに悩める高校生男子を映したような頼りない感じに共感。
噂では打ち切りで短くなってしまったということですが、いやいや、このころ中高生だった、特に男子にとっては最高のドラマだったのではないでしょうか。
最終回は「2人のメリークリスマス」という題名で、主人公の薫が一皮剥けて、ちょっとほっこりするんですが、そこで流れる挿入歌がレベッカの「Maybe Tomorrow」。
元気なレベッカがしっとりバラードを歌っている感じもグッとくるんですが、歌詞の内容がシーンにハマって、更に盛り上げてくれています。
そして、このドラマと音楽で特に伝えたかった部分は、エンディングテーマ。
ここでかかるのが、レベッカを代表する名曲「フレンズ」です。
このドラマでは、薫(ヒデちゃん)と静(河合美智子)の関係がどうなるのか、微妙な感じで進行していきます。
最終回で2人の関係が進展して、そのエンディングで「フレンズ」が流れる……何度も言いますが、レベッカをキャスティングした方、本当にグッジョブです。
番組放送中の10月21日に発売されたシングル「フレンズ/ガールズ ブラボー!」はオリコン3位、11月1日発売のアルバム『REBECCA IV 〜Maybe Tomorrow〜』はオリコン1位を獲得しました。
間違いなく、このドラマの影響もあってのセールスだったと思います。
Profile

クニモンド瀧口(流線形)
2003年に、流線形として音楽活動を開始。
2020年、NHKドラマ「タリオ -復讐代行人の2人-」のサウンドトラック『Talio』を流線形/一十三十一の名義で発表のほか、3枚のアルバムをリリース。
音楽プロデュースの代表作として、一十三十一『CITY DIVE』、ナツ・サマー『葉山ナイツ』、古内東子「Enough is Enough」などがある。
2019年にはクリエイティブディレクター南貴之氏と、シティポップとファッションのイベント『FASCINATION』を開催するなど、今日のシティポップブームの立役者の一人。

TVガイドみんなドラマ編集部
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