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TVガイドみんなドラマ編集部
2022.1.31
🎤ジェンダー識者が韓国ドラマにどハマりした理由とは!? ドラマと社会の関係論📝……「私のドラマ道」vol.3 大崎麻子さん・治部れんげさん(後編)
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「ドラマ道」。
それはドラマファンが誰しも通ってきた、好きな作品や好きな俳優、ドラマを観始めたきっかけ、視聴方法……といった“ドラマへのこだわり”の道。
このコラムではドラマ好きの皆さんに、これまで歩んできたドラマファンとしての長い道のりについて熱く語っていただきます!

第3回は、ジェンダー・スペシャリストで関西学院大学客員教授も務める大崎麻子さんと、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の治部れんげさん。
韓国ドラマが大好きで、互いに良い作品を紹介しあうなど交流が深いお二人に、“ジェンダー”の目線から見たドラマ、そして韓国ドラマについて語っていただきます。
後編は、お二人がハマっている韓国ドラマについて、様々な切り口からを掘り下げます!

 

――お二人とも自他共に求める“韓国ドラマ好き”ということですが、治部さんは大崎さんの影響が強いとか。大崎さんが韓国ドラマを観始めたのは、どういうきっかけだったんですか?

大崎「最初に韓国ドラマを観たのは2003年、『冬のソナタ』(2002年、KBS2)です。当時、私はニューヨークで国連に勤めていたんですが、あるとき東京出張の際に、母に都内のホテルで娘の面倒をみてもらったんですね。当然のように一緒に泊まれる部屋を頼んだのに、母が夜になって『帰る』って言うんですよ。『観なきゃいけないドラマがある』って。それが“冬ソナ”だったんです。
 実家にヨン様のポスターが貼ってあって、母もお友達もみんなキュンキュンなってて、観終わった後に電話でお互いに感想を述べあってるって言うんです。全くイメージが湧かなかったんですが、その後DVDを借りて、ニューヨークの自宅で観たのが最初ですね。でも、その後はあまり韓国ドラマを観ていませんでした」


――そうすると、またハマったきっかけがあったんですか?

大崎「ある友人が、朝から晩まで韓国ドラマばっかり観ていて。その彼女に激推しされ、『シークレット・ガーデン』(2010年~2011年、SBS)を観たのがきっかけです。御曹司社長役のヒョンビンがイケメンでセレブで、家のインテリアもすごくて面白かった。貧富の差、階層の話も出てきますが、ストーリー展開に毎回感情を揺さぶられたんです。それが、2019年の12月のことでした。
 ドラマにハマった経験なんてほとんどなかったので、誰かに言いたくなって(笑)。2020年1月に、治部さんと海外出張に行くことになったんですが、空港ラウンジで待っているときに語っちゃったんです」

治部「ちょっとビックリしましたよ(笑)。まず財閥の御曹司と貧乏なスタントウーマンの恋という設定自体がよく分からないのに、しかも入れ替わるって何?と思いました。でも、これまで大崎さんから薦められた本などはどれも面白かったので、大崎さんの薦めだから、これも観るべきだと思って。他の人から薦められても、たぶん観ないんですけどね。忘れないように、“シークレット・ガーデン 韓国”と書いたメモが残っています」

大崎「こういうことを話すのって、人を選ばないといけないでしょう(笑)。治部さんはちゃんと受け止めて、聞いてくれましたよね」

治部「このときの出張は新型コロナウイルスの感染が広がる前、最後の海外出張でした。もし新型コロナがもう少し早く日本に来ていたら、私は韓国ドラマを観る機会がなかったかもしれません。なので、このラウンジでの会話は貴重ですね」

▶治部さんの運命を決めた(?)、フランスへの海外出張

 

――大崎さんの薦めから、どのように“沼”に落ちていったんですか?

治部「2月に出張から帰ってきたあと、薦めに従って『シークレット・ガーデン』を観たら面白くて、大崎さんと同様にハマりました。最後は2話・3話まとめて観たら明け方になってしまい、翌日仕事になりませんでしたね。仕事にならないので、スーパーに買い物に行こうと思って出かけたんですけど、公園に座ってボーッとしてしまって(笑)。大崎さんがおっしゃったように、やっぱり感情を揺さぶられたんだと思います」

大崎「音楽がものすごくいいので、私はドラマの音楽が流れてくるだけで泣いちゃうくらいになりましたよ。ドラマに入り込んだら、自分がその世界にいるように感じて、しばらくはちょっと魔法にかかったようになるのかもしれません」

治部「私がどれくらいハマったかっていうと、もちろんサウンドトラックのCDを買いました。ネット配信がなくなると困るので、DVDも買いました。それを観るDVDプレーヤーも。作品によってはネット配信とDVDで字幕が違うので、見比べたりとかして。さらに、何がこんなに感情を揺さぶられるのかと思い、Excelのシートを作って分析。小説も買いましたし、日本語で読める『シークレット・ガーデン』の記事をあらかた全部読み、挙句の果てには、大崎さんやお友達と一緒に韓国語の勉強を始めてしまいました。
 ハマって1年ちょっと経って分かったのは、韓国ドラマは中毒性が高いっていうことです。今は慣れてきましたけど、ドラマの中に感情を揺さぶる装置が上手に配置されているので、免疫がない状態で見ると大変なことになります(笑)。」


――治部さんはさらに、『ジェンダーで見るヒットドラマ : 韓国、アメリカ、欧州、日本』(光文社新書)を出され、韓国ドラマについて本も書かれましたね!

大崎「私もその世界に入ったままになっちゃう経験はあったんですけど、私がだんだん薄れてきた時に、治部さんがはしかにかかったみたいになっていて。治部さんという人は理性的なイメージがあったので、韓国ドラマは本当に強烈な体験だったんだなと思いました。ちなみに韓国語の勉強が続いてるのは、治部さんだけです(笑)」

▶治部さんの著作『ジェンダーで見るヒットドラマ : 韓国、アメリカ、欧州、日本』

 

――お二人はお仲間の皆さんも含めて、頻繁に情報交換をしてるんですか?

治部「延々とやってますよ(笑)。ちゃんとしていらっしゃるので、互いに何話まで見たかを確認し、それ以降のネタバレはしません。また、ある作品について大崎さんに『ちょっと続かないかも』と伝えたら、『がんばって続けて。もう少しすると面白くなるから』って励ましてくださって。伴走してくれることで、充実したエンタメライフにつながっていますね」

大崎「治部さんも私もたくさん韓国ドラマを観ましたが、治部さんがこんなに好きになったのは、ヒョンビンのことを好きになったから? というのが私の結論です。どうですか?」

治部「ヒョンビンの出演作で、最後まで観ていないものもありますよ(笑)。顔が好みのタイプではあるとしても、それだけでは完走は難しいんです。大きかったのは、やっぱり『愛の不時着』(2019年~2020年、tvN)でしたね」


――大崎さんにも、推し俳優はいらっしゃるんですか?

大崎「私は、推し俳優という人がいないんですよね。一方で、脇役に目がいっちゃいます。『梨泰院クラス』(2020年、JTBC)で長家(チャンガ)グループの会長チャン・デヒ役を務め、『ヴィンチェンツォ』(2021年、tvN・Netflix)にも出演したユ・ジェミョンとか。女性だと、『椿の花咲く頃』(2019年、KBS)や映画『パラサイト 半地下の家族』に出演した、イ・ジョンウン。全く違う役柄を演じ分けていて、素晴らしい俳優さんです」

治部「分かります、すごいですよね!」

大崎「『愛の不時着』や『賢い医師生活2』(2020年、tvN)に出演したチャン・ヘジンも、好きですね。こうした良い俳優さんたちが脇にいるから、作品自体の質が上がるんだろうなっていう気がします」

治部「韓国では大学で演劇や映画を専攻している俳優さんが多くて、おそらく理論などを勉強しているんじゃないでしょうか。『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』(2018年、JTBC)で主演を務めたチョン・ヘインも、理系の大学に行こうと思っていたところをスカウトされて、芸能界に入ったそうです。ものを考える素地がちゃんとあるっていうところが、彼らの演技に影響している可能性はありますよね」


――先ほど話に出た、大ブームとなった『愛の不時着』については、どう感じていらっしゃいますか?

大崎「当時、ヒョンビンが出演するというニュースを目にしてはいたんですが、タイトルが『愛の不時着』でしょう? そのときは『この邦題、どうなんだろう?』みたいに感じてしまって、日本で配信が始まってすぐには観ていませんでした。その後、息子に『Crash Landing on You、観た? 面白いよ』って言われて。それが『愛の不時着』だったんです。で、第1回を見て、これは治部さんに教えなきゃ! とにかくNetflixに入って観なさい! と伝えたんですよね」

治部「大崎さんに言われて、数時間後にNetflixに入りましたよ(笑)。観たら、大変なことになりましたね。ヒョンビンはじめ、出演している俳優さんの魅力もありますが、脚本や演出、衣裳も良くて、韓国のエンタメのレベルが高いことを感じました」

大崎「『愛の不時着』はもちろん恋愛の行方もありますが、家族や、不自由な中での女性たちの共同体のあり方などを、上手に描いていますよね。韓国の財閥一家の家父長的なシステムや北朝鮮の村のなかで、女性がどのように甘んじなくてはいけないか、それが次の世代にどう連鎖するか。フィクションではありますが、描かれている問題は普遍性が高く、だからこそ心が揺さぶられるんだと思います」


――ドラマが、韓国社会の写し鏡になっているということでしょうか?

治部「最近観た『D.P. ─脱走兵追跡官─』(2021年、Netflixで配信)は韓国の軍隊の中を描いたドラマで、チョン・ヘインが主演。彼が軍隊に入って、理不尽に直面するという話なんですが、韓国社会に今ある問題を真正面から描き、受け取り方によってはタブーに触れているというところが重要です。問題をエンターテインメントにして、人気俳優を起用して、深夜などではなくいわゆるゴールデンタイムに放送する。エンタメ業界が正義を担うんだという意志を、韓国の作品を見ていると感じますね」

大崎「社会的であり、同時にエンターテインメントとして心を揺さぶられるっていう作品は、日本にはまだ少ないような気がします。でも、日本のドラマで最近ドはまりしたのが『きのう何食べた?』(2019年、テレビ東京)。同性カップルの人たちが直面する日本の制度的な問題が何なのか、よく分かりました。
 説教くさいドラマではなくて、社会的な問題を自然に描いているドラマがたくさん出てきたら、韓国だけでなく、日本のドラマをもっともっと観たい気がします。字幕がなくて、登場人物が話している内容が分かりますからね」

 
Profile

大崎麻子(おおさき あさこ)
ジェンダー・スペシャリスト、関西学院大学総合政策学部客員教授

米国コロンビア大学で国際関係修士号(国際人権法・人道問題)を取得後、国連開発計画(UNDP)で途上国のジェンダー平等と女性のエンパワーメントの推進を担当。世界各地で数多くのプロジェクトを手掛ける。現在は、フリーの専門家として国内外で幅広く活動中。Gender Action Platform 理事、関西学院大学総合政策学部客員教授、内閣府男女共同参画会議計画実行・監視専門調査会委員等を務めている。
主な著書:『女の子の幸福論 もっと輝く明日からの生き方』(講談社)、『エンパワーメント 働くミレニアル女子が身につけたい力』(経済界)

治部れんげ(じぶ れんげ)
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。

一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。日経BP社にて経済記者を16年間務める。ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て、2021年4月より現職。ジェンダー関連の公職に内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、東京都男女平等参画審議会委員、豊島区男女共同参画推進協議会会長など(いずれも現職)。
主な著書:『稼ぐ妻・育てる夫:夫婦の戦略的役割交換』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信:ジェンダーはビジネスの新教養である』(日本経済新聞出版社)、『ジェンダーで見るヒットドラマ : 韓国、アメリカ、欧州、日本』(光文社新書)

PROFILE プロフィール

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ドラマにまつわるコラムや、出演者・スタッフインタビューなど、ドラマをより楽しんでいただけるコンテンツを制作・掲載いたします!

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