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TVガイドみんなドラマ編集部
2022.1.28
🎤ドラマの中で女性や恋愛はどう描かれてきた? ジェンダー視点のドラマ論📝……「私のドラマ道」vol.3 大崎麻子さん・治部れんげさん(前編)
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「ドラマ道」。
それはドラマファンが誰しも通ってきた、好きな作品や好きな俳優、ドラマを観始めたきっかけ、視聴方法……といった“ドラマへのこだわり”の道。
このコラムではドラマ好きの皆さんに、これまで歩んできたドラマファンとしての長い道のりについて熱く語っていただきます!

第3回は、ジェンダー・スペシャリストで関西学院大学客員教授も務める大崎麻子さんと、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の治部れんげさん。
韓国ドラマが大好きで、互いに良い作品を紹介しあうなど交流が深いお二人に、“ジェンダー”の目線から見たドラマ、そして韓国ドラマについて語りあっていただきます。
前編は、ドラマにおける“女性の描かれ方”を掘り下げます!

▶ジェンダー・スペシャリスト、関西学院大学客員教授の大崎麻子さん

 

――お二人は元々、どういう接点で知り合ったんですか?

大崎「ざっくりいうとママ友なんですが、2011年くらいにTwitterで知り合いました。私も治部さんも実名でやっていて、ジェンダーのこと世界とのギャップ感といったことをつぶやいたら、治部さんもすごくつぶやいていて。『この人、凄い』と思って、フォローしたんです。どこかの時点で、フォローし合ったのかな」

治部「当時は上の子が2歳で、二人目がお腹にいるぐらいの時期でした。大崎さんからTwitterで、『この絵本がいい』とか教えていただいて、それが良い絵本だったのを覚えています。一方、国際的な視点でいろいろ書いていらっしゃっていて、すごくかっこいいな、という感じで見ていました」

大崎「治部さんもすごくシャープでしたよ。ジェンダーのことや社会的なこと、日常で感じられてることをぶった切っていて、面白いと思いました。その後、ママ友たちで、日本のことを俯瞰で見る“グローバルママネットワーク”というリアルなネットワークを作ったんですよね。そこに治部さんにも入っていただいてて、ママ友軍団でワークショップを開いたりしました」


――お二人にとって、思い出のドラマとは?

大崎「私はやっぱり、『北の国から』(1981年~1982年、フジテレビ)。純くんと同じ学年なんですよ。子ども目線で観ていましたから、東京からいきなり北海道に連れて行かれて大自然の中で生活する、お母さんと会えなくなってしまうっていう話が、とてもインパクトがありましたね。
 大人になってからは親目線。夫婦間の複雑な事情や、そこに子どもを巻き込むことの意味を考えさせられました。今ならどんな目線で、どの立ち位置から観るんだろうっていうのはちょっと興味ありますね。この年齢になって、これから未来の世界や社会を持続可能な形で、子供たちや次の世代に残していかなきゃいけないと考えるようになったときに、あのドラマを見たら、今度はどの登場人物に共感して、どんな発見があるのかなって考えます」

治部「私は『東京ラブストーリー』(1991年、フジテレビ)ですね。ちょうど高校1年生だったんですけど、その年代ってああいう恋愛ものが好きなので、よく観ていました。クラスの友達がみんな観ていて、放送の翌日には学校に行くと必ずその話をする。リカみたいな強い子はいないんですけど、ちょっとぶりっ子っぽいあの子は、さとみちゃんみたいだよね、みたいな。
 女子高生の日常を楽しくしてくれる作品だったと思います。時代を振り返って考えても面白いですし、テレビで皆が同じものを観て、ある種共有できる時代だったなというのが、記憶としてありますね」


――記憶に残る俳優さんは、どなたかいますか?

大崎「記憶に残ってるのは『池中玄太80キロ』(1980年、日本テレビ)に出演していた、坂口良子さん。舞台が通信社で、主演の西田敏行さんが契約カメラマン、坂口さんは通信社の記者役でした。ものすごくかっこよくて! 1980年代に、自立して綺麗で、颯爽と歩いて働く女性、その衝撃を覚えています。こんなかっこいい人になりたい、と思った記憶が残っています」

治部「私は、鈴木保奈美さんが出演しているドラマをよく観ていましたね。印象に残っているのが『愛という名のもとに』(1992年、フジテレビ)。バブル崩壊の背景にしながら、格差の問題や働く社会の問題を描いていました。
 でも、このドラマを語る人は全員、チョロ(倉田篤、演:中野英雄)っていう証券マンについて語ると思います。フィリピン人のホステスに入れあげてしまって、客から集めてきたお金を彼女にあげて、最後はどうしようもなくなって自死してしまう。バブル当時の証券会社の営業のえげつなさ、さらに性暴力に関する問題提起もあって。社会問題をかなり入れながらエンタメにする、よく出来た作品だったなと思います」

▶東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の治部れんげさん

 

――お二人の専門であるジェンダーについて描いてるな、と考えたドラマはありますか?

大崎「優れたドラマは、たいてい描いていると思います。それが社会のありようを示す重要な要素だから。主人公が女性だとして、どのような生き方をしようとも、優れたドラマだったら必ず背景として、その時代、社会、家庭をしっかり描くでしょう。でも、真正面からとらえたっていうドラマは、何があったでしょうね?」

治部「NHKの朝ドラは一貫して女の一代記なので、正面から描いていると思いますよ。それこそ『おしん』(1983年~1984年、NHK総合)は、いま問題となっているジェンダーイシューがてんこ盛りです。身売りさせられ、学校にも行けない姿は、発展途上国の女の子が置かれてる状況と重なってきますし。
 フォーカスするかしないかは作風によって違いますが、その人物の状況をリアルに描こうとすると、必ず何らかの形でジェンダーの問題は入ってくるのかなと思います」

大崎「いま思えば『池中玄太80キロ』も、子ども心には坂口良子さんのかっこいい姿が残っているんですが、坂口さん演じる鳴山暁子は最終的に、池中玄太と結婚します。そして3人の娘たちを育てる立場になって、彼女は急に家のことを全てするわけです。それが当然で、それをやってこそちゃんとした女性っていう描かれ方をしていました。
 かつて観ていたドラマを今見直すと、ジェンダーという点で、日本という国がどう変わってきたかも透けて見えて、面白いですよね」

▶大崎さんと治部さんは、ジェンダーに関する内閣府の委員を共に務めるなど交流が深い

 

――その後、時代とともに、女性の描かれ方はどのように変化していったのでしょうか?

治部「結婚をゴールにすえるかどうかが、一つのポイントでしょうね。私はディズニーのプリンセス映画を分析したんですが、結婚がゴールになるっていう作品は、1990年代ぐらいまでだと思います。例えば『白雪姫』(1937年)とか『シンデレラ』(1950年)、『リトルマーメイド』(1989年)は結婚がゴールですよね。でもその後は結婚しないどころか王子様に興味がないとか、有色人種のプリンセスが出てきて、明確に結婚がゴールではありません。相手も王子様じゃなくて泥棒とか、『アラジン』(1992年)のように女性の方が社会的な地位が高いカップリングが出てくる。
 一方ドラマでは、『東京ラブストーリー』の赤名リカが結婚してないっていうのが、当時としては革新的。でもそうすると、好きだった男性はぶりっ子のところに行っちゃう(笑)。それはやはり、1980~1990年代の文法だなっていう感じはしますね」

大崎「確かに、そのころの一連のトレンディードラマって、結婚するときに専業主婦になるか、それとも仕事を続けるかを悩む。今なら、そんなことないでしょう。もう少し経って1990年代になると、結婚しても仕事は辞めないけど、子育てとの両立に悩む。
 例えば、西荻弓絵さんの脚本で、山口智子さんが主演した『ダブル・キッチン』(1993年、TBS)。キャリアウーマンの主人公は結婚してもバリバリ仕事を続け、子どもが生まれても必死で両立しようとします。終盤で、保育園で熱を出した子どもを迎えに行った野際陽子さん演じる姑に「母親失格!」と叱責され、大バトル。最終的には夫の海外転勤のタイミングで仕事を辞めます。とてもリアルに描かれてたなと思います」


――女性の「恋愛」・「結婚」の描かれ方も変化していったと思いますか?

大崎「1995年、中山美穂さんが主演した『For You』(フジテレビ)という月9ドラマがありました。中園ミホさんの脚本です。主人公は、恋人が事故で亡くなった後に妊娠に気づき、出産したシングルマザー。一人で頑張って子供を育てる中で、恋に落ちるというお話です。
 超メインストリームの月9が、シングルマザーのラブストーリーということで当時話題になったんですよね。1995年以降は普通の設定になりましたから、時代というタイムフレームで見るとドラマの変遷が分かります」

治部「2000年代ですけど、いわゆる伝統的ではないタイプの恋愛ものも出てくるようになりますよね。内館牧子さんが脚本を書いた『年下の男』(2003年、TBS)では、風吹ジュンさん演じるお弁当屋のおかあさんが、弁当を買いにくる高橋克典さんと恋に落ちる。非現実的ではありますが、そんなシチュエーションがありました。50代の女性と年下の男性との組み合わせにしたところが、F2層(35~49歳)だと思われる視聴者の心をすごく打ったんじゃないかなと思います」

大崎「社会にはシングルマザーの恋愛も、年齢差のある恋愛も、BL(ボーイズラブ)もいくらでもある。でも、それが社会の中でどの程度認知されているのか、ドラマが一つのバロメーターになる気がしています」



Profile

大崎麻子(おおさき あさこ)
ジェンダー・スペシャリスト、関西学院大学総合政策学部客員教授

米国コロンビア大学で国際関係修士号(国際人権法・人道問題)を取得後、国連開発計画(UNDP)で途上国のジェンダー平等と女性のエンパワーメントの推進を担当。世界各地で数多くのプロジェクトを手掛ける。現在は、フリーの専門家として国内外で幅広く活動中。Gender Action Platform 理事、関西学院大学総合政策学部客員教授、内閣府男女共同参画会議計画実行・監視専門調査会委員等を務めている。
主な著書:『女の子の幸福論 もっと輝く明日からの生き方』(講談社)、『エンパワーメント 働くミレニアル女子が身につけたい力』(経済界)

 

治部れんげ(じぶ れんげ)
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授

一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。日経BP社にて経済記者を16年間務める。ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て、2021年4月より現職。ジェンダー関連の公職に内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、東京都男女平等参画審議会委員、豊島区男女共同参画推進協議会会長など(いずれも現職)。
主な著書:『稼ぐ妻・育てる夫:夫婦の戦略的役割交換』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信:ジェンダーはビジネスの新教養である』(日本経済新聞出版社)、『ジェンダーで見るヒットドラマ : 韓国、アメリカ、欧州、日本』(光文社新書)

PROFILE プロフィール

TVガイドみんなドラマ編集部
ドラマにまつわるコラムや、出演者・スタッフインタビューなど、ドラマをより楽しんでいただけるコンテンツを制作・掲載いたします!

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