島根県が県の創生事業の一環として制作し、ひそかな話題となっているドラマ「しまねがドラマになるなんて!」。
これまで、地方自治体のロケツーリズム事業による誘客の事例や、フィルムコミッションによる制作支援は多くみられますが、“県が主体となって”ドラマを制作し、テレビで放送されるということは、なかなかありませんでした。
島根県の、島根県による、島根県のためのドラマ。
12/22(水)の最終回放送を前に、その制作の裏側を、島根県広聴広報課広報戦略グループのグループリーダー・板垣譲次さんにお聞きしました!

―――島根県のイメージ発信事業の施策として制作された「しまねがドラマになるなんて!」ですが、そもそもこの事業を開始することになったのは、どういった経緯だったのでしょうか?
「日本全体の課題でもありますが、島根県においても人口減少が続いていることから、令和2年に『島根創生計画』を定めました。この計画に沿って、若者や次代を担う子どもたちが増えることで活気にあふれ、県民一人ひとりが愛着と誇りをもって幸せに暮らし続けられる島根を創るため、さまざまな施策を進めています。
特に、県内での定住やUターン・Ⅰターンの促進に取り組んでいます。今後、進路選択を迫られる中高生に加え、子どもの進路選択に影響力が強い親世代への働きかけを行うことで、島根の暮らしに良いイメージをもっていただき、将来も島根で暮らす選択を促すために、このイメージ発進事業を行うこととなりました。
一方で都会に暮らす若者向けには、移住先の選択肢に加えていただくために、三大都市圏で交通広告やWEB広告などにより、“人間らしい、温もりのある暮らし”ができる島根のイメージ発信『いいけん、島根県』プロモーションも令和2年度から始めています」
―――イメージ発信事業の中で、「ドラマ制作」を募集することは早い時期から決めていたのでしょうか?
「令和2年秋以降、事業内容を検討していくなかで、ターゲットとする中高生やその親世代に届きやすい、共感してもらいやすい手法は何かと考え、テレビドラマを選択しました。
企画提案の募集は令和3年3月下旬に始め、企画提案審査会を6月10日に開催しました。審査会で委託先候補者(以下、「コンソーシアム」)を決めたあとに、詳細について協議し、最終的には7月に契約に至りました」
―――いくつか提案があるなかで、今回のドラマ企画に決めた理由は何でしょうか?
「まず他の企画提案に比べ、県民もよく知っている食材・食品や場所をドラマの中に織り交ぜていたことから、県民の興味・関心を引きやすいと思われたことです。
また、地元の新聞社(山陰中央新報)と組み、ドラマの放送翌日にドラマのテーマを深掘りした記事を掲載して、県民に伝えようとする内容も良い提案だと思いました。
作品タイトルは、県民の皆様に自分たちの地元がドラマの舞台になることに驚いていただき、さらには『ずっと暮らしていきたい、ふるさとなんだ』という発見や会話のきっかけとなればと思い、『しまねがドラマになるなんて!』としました。そして、日々の暮らしの中で当たり前に目にする食品や伝統芸能など、地元の日常風景を“ヒーロー化”させてドラマに登場させたのです」
―――ドラマの脚本を読んだときやキャストの皆さんをご覧になったとき、いかがでしたか?
「“将来の定住を促す”という事業目的に沿うような内容とすることにこだわりました。脚本では、上手に私たちが伝えたい内容を盛り込んでいただいたと思っています。
主演の田鍋梨々花さんの起用は企画提案時からあり、写真を拝見するととても可愛らしく、透明感もあり、かつ著名なドラマへの出演経験もあったので、とても期待のできる方だと思いました。男子高校生役の3名(椿原慧、平木幹太、林裕太)についても、それぞれ登場人物の特徴に合った方が選ばれていると思いましたので、作品の出来上がりが楽しみでしたね」
―――ドラマ制作が進んでいくなかで、制作陣にアドバイスや要望をしたことはありましたでしょうか?
「私たちはドラマ制作に関して全くの素人なので、大半はコンソーシアムにお任せしました。
ただ、方言を使う度合については、最近の若い皆さんは方言がきつくないので、高校生役のセリフはそれほど強い方言を使わなくてもよい、という提案はしましたね。
また、ドラマに登場する島根の特産品などは、ほとんどがコンソーシアムの企画提案によるものですが、県全域から取りあげてもらえるようお願いしました。例えばキンニャモニャ食堂のメニュー(サザエカレー、かつライス)など、県から提案したものも一部あります。
もちろん、新型コロナ感染予防対策をしっかり行っていただくことも要望しました」

―――オール島根ロケ、県民の皆さんがエキストラに出演されるなど、県民の皆さんのご協力はどのように取られたんですか?
「エキストラ募集はコンソーシアムが行い、Twitterでの告知や地元の演劇関係の団体、演劇部のある高校に声をかけたと伺っています。ロケ地の選定や交渉についても、基本的にはコンソーシアムで行われ、県としては、県の関係部署が所管する場所での撮影許可手続きを支援しました。
苦労したことは、撮影場所の確保ですね。新型コロナ感染の拡大で撮影許可が取れず、急きょ代替の場所を探す必要が生じたこともありました。コンソーシアムによるオーディションでも、新型コロナ感染防止対策の徹底は苦労されたと伺っています」
―――ドラマを実際にご覧になって、いかがでしたか?
「大変満足しています。5分間という短い時間の中で、友人や地域の大人など、島根の暮らしの良さである“人と人の繋がり”をよく表現していただいていると思います。テンポも良く、あっという間に時間が経ってしまう感覚でした。
放送が始まってからの反響は、番組公式サイトでの意見募集やSNSでの投稿などでは肯定的なご意見が多かったです。中には『島根で生まれ、育ったことを誇りに思う』とか、『ふるさとを守りたいと思った』といったようなものもありました。視聴率も、第9話までで世帯平均が13%を超えており、多くの方にご覧になっていただいたと考えています」

▶▶島根県広聴広報課の板垣さん
―――ドラマの登場人物は、「地元に残る」「一人暮らしを始める」「東京に出る」「また移住する」「島根で結婚する」など、様々な未来を描いています。そこで、板垣さんが考える“ふるさと”とは何でしょうか?
「私自身は、大学進学を機に県を離れましたが、卒業後もそのまま県外で暮らすという選択肢は考えもしませんでした。島根(ふるさと)に帰ること、親の近くで暮らすのが当たり前という感覚だったので、そうした場所が”ふるさと”と考えていました。
一方、島根には、移住してこられる方を受け入れる人や地域があります。そうした方々にとって、島根は第2・第3の”ふるさと”になると思っています。」
―――そんな島根県の良いところ・良いもの、板垣さんのオススメをぜひ教えていただけますか?
「いくつかありますが、まずは街がコンパクトでまとまっているので、生活しやすいこと。海山が近く、いつでも自然と触れ合えることですね。
また、島根は知る人ぞ知る温泉天国で、いたるところに特徴的な温泉があります。あまり知られていないかもしれませんが、島根は日本酒発祥の地! きれいな水と美味しい米から作られる美味しい日本酒がたくさんあることもお薦めしたいです。
そして、人と人のつながりや地域の助け合いが残っていること。それにより、ドラマにも登場しましたが、石見神楽をはじめ、地域の人が守り伝える伝統文化が各地に残っていることも、島根の良いところだと思います」
―――最後に、このドラマを観る県民の皆さん、さらにYouTubeを通じて観る県外の皆さんに、この作品の魅力・みどころをお伝えください!
「このドラマは高校生の目線で、日々の暮らしの中で見過ごしがちな、地域の助け合いや絆が残る人間関係、若者のチャレンジを温かく見守り、応援する友人や大人が周りにいるありがたさを描いています。
県民の皆さんには、改めてそんな島根の暮らしの良さを実感していただき、今後も島根で暮らすことについて家族で語り合っていただきたいと思います。
また、県外の皆さんには、島根の暮らしの良さを知っていただき、移住を検討していただいたり、移住されないまでも旅行で訪れたり、各地で行われるイベント等に参加するなど、島根に関心を持ち、何らかの関わり合いを持っていただけるとうれしいです。
12月22日の最終回、ぜひご覧ください!」
【番組情報】
しまねがドラマになるなんて!
TSKさんいん中央テレビ
毎週水曜 後8:54~
🎁島根の“いいもの”セット、差し上げます!

島根県の特産品「出雲ぜんざい」「しじみ」をセットにして、抽選で10名様にプレゼント!
■応募期間
2021年12月21日 (火)〜2022年1月31日(月)
■対象
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■応募方法
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