これまで多くの小説やマンガがドラマ化され、文字や絵、映像それぞれの表現手法で、ストーリーや登場人物、世界観が描かれてきました。
なかには、ドラマに合わせて原作も楽しみたい!というドラマファンの皆さんもいるのでは!?
今回は、現在放送中の「二月の勝者-絶対合格の教室-」(日本テレビ)の原作マンガの担当編集者・加納由樹さん(小学館 週刊ビッグコミックスピリッツ編集部 副編集長)に、原作誕生秘話や原作者・高瀬志帆さんの魅力などについてお聞きしました!

『二月の勝者』の企画が始まったのは、別の企画のご提案で高瀬志帆先生にお会いしたときでした。高瀬先生の方から「すごく面白い題材がある」、と中学受験のお話をお聞きしたんです。
プロの塾講師や、塾のビジネス的な面白さ。“親子の受験”と言われるくらい、家族ぐるみで合格に向けてがんばる子供たち。ただ単に「少しでも偏差値の良い学校に行かせる」というのではなく、家庭ごとに塾通いの事情や、子供それぞれの未来を考えた学校選びの理由があることを知りました。
それまで自分自身が描いていた中学受験のイメージとはまったく違っていて、これは人間ドラマを描ける、面白いマンガになるのでは、と感じました。
当時、高瀬先生は別の作品の連載中(『おとりよせ王子 飯田好実』、徳間書店)だったこともあり、準備に数年を掛けました。「中学受験を題材にしたマンガをやる」と決まってから、たくさんの取材を行い、同時進行で毎週打ち合わせをしました。内容を詰めていくうちに、題材だけでなく、主人公の黒木蔵人をはじめ魅力的なキャラクターたちが少しずつ立ち上がってきました。
現在も、連載をしながら高瀬先生の取材は続いています。当初から高瀬先生は、中学受験塾のハウツー的なところには収まらない、教育問題や子供の自立についての大きなイメージを持っていましたが、さまざまな方たちに取材にご協力いただくなかで、そのイメージがより明確になっていったと思います。
マンガ作品のタイトルを決めるのは、本当に大変です。連載開始を前にさまざまな案が出るなかで、東京・神奈川の中学受験本番である2月1日、そして“勝者”という組み合わせが生まれました。
果たして、受験に合格するのが“勝者”なのか? 受かったら勝者・受からなかったら敗者、ということではなく、それぞれの生徒、家族の人生における“成功”とは何か。
それも、本作を通じて浮かび上がらせたいテーマのひとつとなりました。
掲載誌が『週刊ビッグコミックスピリッツ』という青年誌ですので、連載開始当初から、塾のビジネスものとしての知的喜びや、ある種のスポ根的な子供たちの成長物語というところが、魅力的なキャラクターたちの人間ドラマとして描かれていると反響がありました。
意外だったのは、ふだんはあまりスピリッツを読まないような読者層、特に女性読者の反応がとても大きかったことです。インスタグラムに多数の感想が寄せられるなど、青年誌ではあまりみられない反応があって驚きましたね。

©高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中
高瀬先生は、魅力を挙げればきりがない、素晴らしい作家さんです。
先生は圧倒的な取材量、書籍などの膨大な資料にあたっているので、描きたいことのカードをふんだんにお持ちです。キャラクター一人一人、性格や容姿、受験的なデータに至るまで、すさまじい情報を常に処理されています。
まず目立つのは、キレのある台詞回しですと、注目されがちな黒木のキラーフレーズはもちろんですが、塾の生徒同士の会話や、講師同士のやりとりが、ひとつひとつ本当に活き活きとしているんです。ちょっとした仕草も含めて、ここまでリアルに子供たちの姿を描けている作品はなかなかないと思います。
また、絵の良さ、シリアスな展開、涙を誘うドラマ、笑わせるシーンの緩急、読みやすい構成力……と、挙げていくと本当にきりがありません。
特にこの作品ならではなのは、群像劇のすごさです。黒木など強烈なメインキャラクターがいるうえに、生徒32名、講師たち、そして保護者も含めて常時100人ものキャラクターを自在に出し入れして、物語を動かす力は、良い意味で常識外れの構成力で、脱帽するほかありません。
主人公の黒木については、キャラクターデザインにとても時間をかけてくださいました。その結果、オンのぴしっとした黒木と、オフのくだけた黒木というビジュアルが生まれて、それはこの作品の大きなテーマを描く上で、ギミックとしても見事にハマりました。

©高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中
あくまで本作はマンガというエンタメですので、「面白い」というのが最も大切です。
一方でそれは、伝えたいテーマや世の中に気付いてほしいことを、説教くさくなく伝えるための最も有効な方法でもあると思います。マンガとして面白く楽しめて、いつの間にかふと、視野が広がったり、他者への共感や思いやりが生まれたとしたら、それが理想のバランスなのかもしれませんね。
担当編集としては、高瀬先生の描きたいところが心ゆくまで描けるよう、全体の流れや興味のあるところ、見たいシーンなどを都度都度ご相談させていただきつつ、雑誌や単行本という形で『二月の勝者』が世に出るときに最も良い形になるための環境を作ることを心がけています。

▶ドラマでは主人公・黒木を、柳楽優弥が熱演
ドラマ化については、大変ありがたいことに多くの放送局、制作会社からオファーをいただきました。
本作が描いているのは、中学受験という、それまではメインストリームであまり話題になっていなかった題材です。しかも必勝法やハウツーだけでなく、エンタメの中にも社会的な大きなテーマを抱えたこの作品に、たくさんのオファーをいただけたのは本当に嬉しかったですね。
メインキャストのお三方(柳楽優弥、井上真央、加藤シゲアキ)が決まったときは、高瀬先生とリアルガッツポーズをしました。本当に適役、素晴らしい俳優の皆さんで。ドラマオリジナルの設定などがありますが、あくまで原作はマンガ、ドラマは映像。表現の仕方が違うものですので、ドラマとして面白くなるための設定であれば良いと思っています。
実際の放送を観て、実写ならではの俳優さんたちの演技にほれぼれとしてしまいました。大人のキャストさん達はもちろんですが、なかでも生徒役の皆さんが、子供の目に光が宿る瞬間という難しい演技を見事にこなしているのを観て、感嘆しています。

©高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中
ドラマは素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんによって、実写ならではの魅力がたくさんあります。
原作にも、ワンクールのドラマでは入りきれない、魅力的なシーンがたくさんあります。生徒たちの頑張りや保護者たちの愛情、黒木ら講師のプロフェッショナルな一面、熱い一面。もちろん具体的でリアルな受験テクニックも、実践的なものがふんだんに散りばめられています。
ドラマで本作に興味を持っていただけたら、マンガ原作でよりこの魅力的な世界を深掘りして、楽しんでいただけたら嬉しいですね。話題のオフ黒木が、原作でもとってもかっこよく登場していますので!(笑)
📺番組情報
「二月の勝者-絶対合格の教室-」
日本テレビ系
毎週土曜 後10:00~
📕原作情報

『二月の勝者-絶対合格の教室-』(小学館刊)
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▶応募方法
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▶応募締切
2021年12月11日(土) ※「二月の勝者-絶対合格の教室-」第9回放送日
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